傾く方へ

seitennosei

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傾く方へ。

好きにされた。

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上下に揺れる視界。
私の動きに合わせてギシギシとベッドが軋んだ。
手を置いている木内さんの胸からはトクトクと早い鼓動が微かに響いてくる。
それでも顔を見ると涼し気で。
「焦らしてんの?まさかこれが全力?」
そう言って必死に動く私を煽った。
「ぅ…うるさ、い。まだ…これからぁあ、やぁっだぁ…。」
言い終わる前。
木内さんが私の腰を掴み下から突き上げた。
そして探る様に掻き回している。
「わざとポイントずらしてたな?」
「やだっ…おく、だめぇ。」
「あー、ここ。ホント気持ち良い…。」
腰にある手を引き剥がそうと抵抗すると、逆に両手を捕らえられ引き寄せられる。
そして木内さんの上に倒れ込んだ私の顔を抑え、額をくっ付けると楽しそうに囁いた。
「あー、ホント可愛いな。」
耳からゾクゾクと全身を駆け抜ける感覚。
全て支配されていく。
どうせ逆らえない。
抵抗を諦めた私に木内さんは優しくキスをすると、そのままゆっくりと腰を動かし出す。
私の腰も勝手に動き出した。
好きな人に執着されて支配されて。
振り払っても拒否してもしつこく虐められて。
それを嬉しく思ってしまう事が本当に悔しい。
私は再び泣き出した。
「くやしいぃ…」
嗚咽と共に呟く。
頬に伝う雫を優しく拭う指。
「最初にした時もユリ泣いてたな…。」
愛おしそうな眼差しで微笑んだ後、身を起こし私ごと身体を反転させてきた。
上から慈しむ様に見下ろし私の頭を撫で続ける。
「ごめんな…。もっと泣かしたい。」
「…え?」
そして私が理解する前に、木内さんは人が変わった様に腰を振りだした。
あまりの刺激に声も出ない。
身を捩って息を詰まらせる。
反った背に腕が周り逃がしてもらえない。
「ひっ、ぃ、…っ、っ…。」
呼吸がままならなくて目が霞む。
木内さんは私の弱い所を知り尽くしていて。
一回も外す事なくそこを打ち続けた。
「はっ…、ぁ、っ、…いっぃ、いくっ。」
それだけやっと言葉にすると、私は呆気なく達っしてしまう。
それでもギチギチに締まる中を容赦なく動き続けられ。
泣き叫んでも止めてくれなくて。
結局私は今日も木内さんの好きにされた。
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