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セラージュ城?
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王都に着いて、すぐにバスケットを開けてキューちゃんの様子を見た。
思った通り、眠っていたのでホッとした。
再びバスケットの蓋を閉めると、改めて着いた場所を見回した。
着くまではキューちゃんのことを考えていて景色を楽しむ余裕がなかったけど、こうして改めて見るととても綺麗な所だった。
「ここがセラージュ城だよ」
白亜の城の中庭らしき所で降りて、ライドさんが言った。
「後でセラージュ湖に案内する」
グレイス様がそう言った。
セラージュ湖というのはタッセオ山の麓にある湖で、竜の集まる場所だと聞いている。
そこに行けば、たくさんの竜に会えるだろう。
不安が期待に一気に変わり、私の気分は高揚した。
「まずは部屋に案内しよう」
グレイス様はそう言って、ラファンをライドさんに任せて歩き出した。
私は遅れないように慌ててついて行った。
案内された部屋はとても広かった。
家具も物語のお姫様が使いそうな物で、なんだか自分が場違いな気がしてきた。
「本当にこの部屋を使っていいんですか?」
「ああ。……気に入らなかったか?」
「いえ! 気に入らないとかじゃなくて、立派過ぎて、私なんかが使っていいのかと思って」
「……ここは、皆こんなものだ。気にせず使えばいい」
夕食までここで休むようにと言って、グレイス様は出て行った。
一人残されて、改めて部屋を見回す。……広過ぎて落ち着かない。
私はバスケットを開けて、キューちゃんを起こした。
「キューちゃん、お城に着いたよ」
角をつつくと、キューちゃんが起きた。
「キュ?」
不思議そうに辺りを見回している。
「お城の中の部屋だよ。私の部屋の何倍も広いでしょう?」
「キュ」
キューちゃんはバスケットから出て、部屋の中を確かめるように飛び回った。
それから私の所に戻って来て、胸元に飛び込むように着地した。
「キュ」
甘えるように頭を擦り付けてきたキューちゃんを撫でて、一人きりじゃなくて良かったと思った。
夕食は部屋に運ばれてきた。
その後ライドさんがやって来て、彼と一緒に部屋で食事することになった。
「不自由していることはない?」
「あ、はい、大丈夫です」
「用がある時はベルを鳴らせば、すぐに誰か来るから」
「ベル?」
「……やっぱりグレイスは説明してなかったか」
そう言って、ライドさんはため息をついた。
「そこの、ベッドの所にあるのを鳴らせば、すぐに誰か来るから」
私は、彼の視線の先にある物を見た。綺麗な銀色のベルが置いてあった。
用もないのにうっかり鳴らさないように気をつけなくちゃ。
キューちゃんにも言い聞かせておこうと思った。
「キューちゃん、あのベルには触らないようにしてね」
「キュ?」
食事に夢中だったキューちゃんは分からなかったようで、私はもう一度同じことを繰り返した。
「キュ」
今度はちゃんと理解したようで安心した。
「キュアーは頭がいいね」
ライドさんに褒められて、私は嬉しくなった。
それからは、キューちゃんの話ばかりしていた。
……ライドさんに呆れられなかったか心配だ。
思った通り、眠っていたのでホッとした。
再びバスケットの蓋を閉めると、改めて着いた場所を見回した。
着くまではキューちゃんのことを考えていて景色を楽しむ余裕がなかったけど、こうして改めて見るととても綺麗な所だった。
「ここがセラージュ城だよ」
白亜の城の中庭らしき所で降りて、ライドさんが言った。
「後でセラージュ湖に案内する」
グレイス様がそう言った。
セラージュ湖というのはタッセオ山の麓にある湖で、竜の集まる場所だと聞いている。
そこに行けば、たくさんの竜に会えるだろう。
不安が期待に一気に変わり、私の気分は高揚した。
「まずは部屋に案内しよう」
グレイス様はそう言って、ラファンをライドさんに任せて歩き出した。
私は遅れないように慌ててついて行った。
案内された部屋はとても広かった。
家具も物語のお姫様が使いそうな物で、なんだか自分が場違いな気がしてきた。
「本当にこの部屋を使っていいんですか?」
「ああ。……気に入らなかったか?」
「いえ! 気に入らないとかじゃなくて、立派過ぎて、私なんかが使っていいのかと思って」
「……ここは、皆こんなものだ。気にせず使えばいい」
夕食までここで休むようにと言って、グレイス様は出て行った。
一人残されて、改めて部屋を見回す。……広過ぎて落ち着かない。
私はバスケットを開けて、キューちゃんを起こした。
「キューちゃん、お城に着いたよ」
角をつつくと、キューちゃんが起きた。
「キュ?」
不思議そうに辺りを見回している。
「お城の中の部屋だよ。私の部屋の何倍も広いでしょう?」
「キュ」
キューちゃんはバスケットから出て、部屋の中を確かめるように飛び回った。
それから私の所に戻って来て、胸元に飛び込むように着地した。
「キュ」
甘えるように頭を擦り付けてきたキューちゃんを撫でて、一人きりじゃなくて良かったと思った。
夕食は部屋に運ばれてきた。
その後ライドさんがやって来て、彼と一緒に部屋で食事することになった。
「不自由していることはない?」
「あ、はい、大丈夫です」
「用がある時はベルを鳴らせば、すぐに誰か来るから」
「ベル?」
「……やっぱりグレイスは説明してなかったか」
そう言って、ライドさんはため息をついた。
「そこの、ベッドの所にあるのを鳴らせば、すぐに誰か来るから」
私は、彼の視線の先にある物を見た。綺麗な銀色のベルが置いてあった。
用もないのにうっかり鳴らさないように気をつけなくちゃ。
キューちゃんにも言い聞かせておこうと思った。
「キューちゃん、あのベルには触らないようにしてね」
「キュ?」
食事に夢中だったキューちゃんは分からなかったようで、私はもう一度同じことを繰り返した。
「キュ」
今度はちゃんと理解したようで安心した。
「キュアーは頭がいいね」
ライドさんに褒められて、私は嬉しくなった。
それからは、キューちゃんの話ばかりしていた。
……ライドさんに呆れられなかったか心配だ。
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