大切に──蒲生氏郷

国香

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叶わぬもの

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 下野国宇都宮は近年空白地で、領主が決まるまでの間、浅野長政が預かっていた。秀隆は長政から受け取り、さっそく城下町の整備などを始める。
 父が会津に呼び寄せた日野や松坂の商人達を、十分に連れて来られなかったので、新たに日野から人を呼び、商業政策に力を入れた。
 家臣は随分減った。一部徳川家康に預け、また、南部家に嫁いだ武姫にも、家宝の数々と共に多くの家臣達を付けた。青地、いや蒲生元珍は確かに蒲生氏の男系であるが、籍姫や叔母の永姫のもとに委ねた。だが、ほとんどの家臣達は会津に残してきた。
 一方、父祖の代からの家臣は、全てではないが、だいたい宇都宮に連れて来ている。松坂時代から仕えている者もおり、事件の当事者・上坂左文と坂源次郎もいた。
 忠三郎はずっと左文の我が儘を許していた。だから、秀隆にはそんな左文への遠慮がある。祖母の桐の御方の親族でもあるので、宇都宮でも城持にした。
 減封の結果、城持は左文の他には坂源次郎と、父の乳母人の町野左近の三人しかいない。因みに、坂源次郎に任せる笠間城は常陸国である。
 秀隆は会津に置いてきた家臣達に心を残していた。彼等は皆秀隆について行きたいと願った。だが、叶わず。
 会津に残された彼らは、越後から移ってきた上杉景勝、その様子を見るために来た石田三成を迎えた。
 三成は会津を治めるに相応しい者は、上杉景勝だと思っていた。能力があり、且つ豊臣家に対して謀反の危険性のない家といえば、上杉家しかない。そして、家老の直江兼続は三成と昵懇だ。
 三成は直江と共に、会津の庶政に力を入れた。もとは伊達家の民であり、蒲生家に治められていた民。新領主が最も気を配る必要がある。
 蒲生家旧臣達は、そのまま上杉家に仕官することになり、また、三成に雇われる者もかなりいた。中にはどちらにも仕えたくないと、会津を出た者もいるが、ほとんどは浪人せずにすんだのである。
 宇都宮でそのことを知った秀隆はほっとした。今後彼らは新しい主家に尽くすであろう。ところが、町野左近は変なことを言った。
「上杉、石田に多数の間者を送り込んだとお思いなされ」
 彼は竹田神社の神職の家に生まれ、町野家に養子に入っていた。生家の関係で、松坂時代は伊勢神宮の支配を任されていた。
 妻は忠三郎の乳母であり。だから、忠三郎が信長のもとへ人質に出された折には、左近も岐阜について行って、身の回りの世話をした。忠三郎と冬姫の馴れ初めを、心配半分、微笑ましく眺めていた唯一の人間だ。
 左近は忠三郎にとって、最も身近な存在。だから、忠三郎の忘れ形見の秀隆は、左近には孫みたいなものである。
「どうして?」
 秀隆が先の左近の発言について問う。左近は朗らかに、
「ご先代様は大盤振る舞いで、皆いい気になってましたからな」
 赤座隼人の七万石を筆頭に、二十人以上が万石城持大名だった。支城と領地、軍は全て任されていた。彼らは蒲生家が忘れられず、秀隆のために様々な情報をもたらすだろう。
「今の主家を裏切るの?」
「最初からそのつもりの者もおります」
 秀隆は信じられないという顔をした。
「切支丹も?切支丹は己の主を裏切らないよ。でも、うちにいた連中は、叔父上・小倉殿や六右衛門とは様子が違うか。──敵を愛せ、己を愛するように隣人を愛せ──隣人とは、見ず知らずの、自分と関わりのない人間をも含む。右の頬を打たれたら、左の頬も差し出せとも。無償の愛、博愛の教えだが、確かに隼人など、切支丹には見えなかった」
「若殿は耶蘇が広まることをどうお思いですか?」
「小倉の叔父上(作左衛門行隆)、坂源、六右衛門らの話には感動した。父が信じた教えだもの。この戦乱の世で、恐い悲しい思いをしている民の心を救うはず。信仰すれば、神のもとで永遠の命を得られる。今生が辛くても、きっと堪え、心救われると思う。皆が皆、博愛の精神を持てば、戦もなくなり、互いに思い合う世になる。憎み、恨み合うことなく」
 殺戮が身近にあって。常に死と隣り合わせの世の中。信仰していれば、永遠の命を得られる。魂の不滅を信じていれば、死も恐ろしくはない。民の心は安らかになろう。だから、民の間に信仰が広まるのは結構だ。
「ただ、信仰を理由に、未改宗の地をあちこち攻め、己の領地とし、その民を奴卑にするのはおかしいと思う。伴天連は間違っている。伴天連とその背後にいる輩に、博愛について問いただしたい」
 町野は少年がそのようなことを思っていることに、正直驚いた。
「うちにいた者らも伴天連に洗脳されていたのではないか。だから、父に謀反させようなどと……小倉の叔父上は、キリシタンたる者は、己の主君がキリシタンではなく、しかも横暴であったとしても、真を尽くし、心から従わなければならない、それこそが臣下であるとおっしゃっていた」
 非キリシタンの主君が理不尽で横暴──まさしくキリシタンを迫害して唐入りを強行する秀吉そのものだが、そのような主君であっても、心を尽くして主君と向き合い、仕えなければならないのだという。謀叛は勿論、反発してもならないし、面従腹背もならない。ただ一人の神に対して誠を尽くす、唯一の妻──それが非キリシタンであっても──と心から結び支え合う、それと同じだと。
「私は、小倉の叔父上のような方だけが、まことの切支丹、神によって永遠の命を与えられるのだと思っている」
 秀隆は、そして、周囲に人気がないことを確かめると、背後に置いて、決して他人には触らせない籠を開け、何やらがさごそと探り当てた。
「母が追い出された後、父恋しさに遺品をあさっていたら、これが出てきた」
 秀隆は会津塗りの箱を運んで来る。蓋を開けると、地図が入っていた。
「これは朝鮮の地図だ。父が自分で印をしている。見てみろ」
 秀隆は自ら広げる。
 王都・漢城に忠三郎の王城があり、八道に家臣達が配せられている。八道内には、それぞれ主城の他に支城が記されていた。
「父は朝鮮王になろうとしていたのか?」
 秀隆は笑った。その笑い方に町野はどきっとした。子供は大人を嫌悪したり、馬鹿にすることがある。秀隆の笑みは、大人の汚さを見透かしたもののように見えた。
「父は死の床でかような物を作っていたのだ。名護屋で、朝鮮一国を賜れ、さすれば明を切り取り、太閤に献上せんと父は申したとか。直後、毒飼いに遭ったらしいのに、その後もずっとこんなことを計画していたのか」
「あくまで夢であって、実行どころか、計画さえ立っていなかったかと思われまするが」
「そなたは切支丹ではないから、わからなかったのでは?朝鮮王の話は、父が太閤に謀叛する気だったことと関係あるはずだ。切支丹どもが、イエズス会もか、それらがローマ、イスパニアの手を借りて、父に謀叛させようとした。そして、朝鮮を得ようと──。ただ、わからないのは、朝鮮王になろうとする父は、たとえイエズス会の傀儡であったとしても、イスパニアには邪魔なのではないかと考えられる点だ。イスパニア王は、自国人の副王なり総督なりを置きたい筈。日本人の傀儡王なぞ要らないだろう」





****************************
 畿内では各地で大地震の修繕工事が行われていて、落ち着いた雰囲気ではない。
 その中でも伏見城の修繕は進んでいて、京都新城の工事も進んでいた。
 秀吉は伏見の修繕がある程度になると、新城を出て伏見城に戻って行った。冬姫はようやくほっとできた。

 秋に入り、蒲生家に残った家臣達が、しばしば冬姫のもとを訪れるようになっていた。
 彼等は皆彼女を誇らしく思っているらしい。そう思わない者は蒲生家を去ったか、残留しても冬姫を訪ねはするまい。
 蒲生家大減封の原因は冬姫だと専らの噂。都でもそれは大きな噂になっており、冬姫の耳にも届いている。
 自分のせいで家臣達に迷惑をかけたと、また、忠三郎もこの状況に絶望し、立腹しているだろうと、冬姫の心は晴れなかった。彼の天下の夢を、冬姫が潰してしまったのだ。
「殿から、御方様を蒲生家にお迎えするよう仰せつかっております。太閤殿下は危ない状態とか。殿は母上様を宇都宮に呼びたいとお思いなのです」
 秀隆が宇都宮に移って半年にもならない今、秀吉は伏見城で死の床に臥していた。
 このまま秀吉が亡くなるようなことになれば、益々冬姫は旧臣達に恨まれよう。すぐ秀吉は死んだのだから、少しの間、適当にあしらっていてくれたら、減封されずにすんだのにと。
「殿下に万が一のことあらば、宇都宮にお移り願えましょうや?」
 冬姫の思いを察し、家臣達がそう問うた。
 秀吉が死んだら、一悶着あるであろう。秀吉の後継者はまだ幼い。きっと織田家の三法師の時と同じ事態になる。三法師を後見した織田家の家臣・秀吉が、いつの間にか天下の座についていたように──。
 小牧の戦でその秀吉と争った家康が、今度こそと出てくるに違いない。豊臣家が、かつての織田家と同じ状況にあるのに、家康が何もしないはずがないのだ。
 家康が動けば、娘婿の秀隆は当然家康に従うであろう。戦になった時、母が傍にいなくては心配なのに違いない。それに、冬姫が敵の手に渡れば、味方の損害が大きい。秀隆はすでに何事か察知しているのかもしれない。
 家臣達は額を床にこすりつけた。
「我等が悪うございました。何卒お許し下さりませ。我等、ご先代様から多大なるご恩を受けていながら、恥ずかしゅうございます」
 冬姫に秀吉の側室になれと迫り、追い出したことを言っていた。
「ご先代様の知行を死守することが、ご先代様へのご恩返しだと、思い違いをしておりました。御方様の毅然としたご様子を拝見し、大変恥ずかしく思っております」
 忠三郎への思いを尽くすことこそが忠義であると、受けた恩には心で報いることこそが武士であると、今にしてそう悟ったと詫びた。
「ですから何卒、蒲生家にお帰り下さいませ」
 今後は冬姫を手本にしたいと、男泣きする家臣達。
 冬姫はやがて伏見に迎えられることになる。だが、それは秀吉の死後のことだ。

 冬姫が家臣達と対面していた頃、まさに秀吉は臨終を迎えようとしていた。
 意識なく昏々としていることが多かった。また、目覚めても、朦朧としていることがほとんど。
 よく信長の夢を見た。どんな夢なのか。蹴飛ばされ、あるいは張り倒されているのか。気の毒なほど、ひどく怯えて許しを請うていた。
 その秀吉、臨終を前にして、突然頭がすっきりしていた。最近では稀なこと。
 手を翳して六指を眺め、満足げに頷いた。
「まことの異形……わし」
 傍らにいた北政所には聞き取ることはできなかった。
「異形擬きは……結局……」
「殿下」
 ふくふくと笑う秀吉に、聞き取れなくとも北政所は笑顔になった。彼女は母を亡くしたばかりでもある。
「今日はご気分が宜しいのですね?」
「……わしはもう……結局頼れるは徳川殿しか、日本を頼み……豊臣は、駄目か。日本か豊臣か」
 三成では駄目だと思った。
「……撤兵は、ならぬ……朝鮮どころか、明まで……」
 ひゅうひゅう喉が鳴る。途切れ途切れで聞き取り難い。しかし、北政所には辛うじて朝鮮のことを言っているのだと、通じた。
「ですが、兵達は皆苦しんでおります」
 秀吉は明を手に入れたいらしい、とんだ誇大妄想だと、人々は迷惑がった。そして、こんな愚かな計画は失敗に終わるに決まっていると、百人なら百人が思っていた。
「我等は勝っておる。だが、勝ち負けは、関係ない……明まで討てる、余力がある。見せつけ……」
 たとえ負けても、朝鮮から撤兵してきてはならない。
「明など、実のところはどうでも……撤兵、などしては……イスパニア……」
(今にして愚策であったと思い知ったわえ……コエリョめ、何故わしに明を攻めてくれと言ったのか、ようやくわかった。奴らに侵させまい、譲るまいと出兵したが、出兵してはならなかったのだ……しかし、出兵してしまった以上、断じて撤兵してはならない。たとえ大敗したとしても、撤兵しては、それこそイスパニアの思う壺だわい)
 そこに、コエリョかフェリペ王でもいるかのように、天井を睨んだ。
「殿下?」
「奴らの狙いはこれなのだ……」
 戦って損害が出ているのは、日本だけではない。朝鮮も明もだ。
 日本が朝鮮から撤兵してきたら、朝鮮には、疲れきり、傷付き数少なくなった朝鮮兵だけが残る。これこそがスペインの狙い。
(日本が撤兵するのを奴らは待っているのだ。最初から、わしが朝鮮を制圧できないことを、奴らはわかっていたのだ。日本と朝鮮・明を戦わせ、制圧できないと諦めた日本が撤兵したところを、イスパニアは攻め入るつもりだったのだ、最初から。日本によって、弱りきった朝鮮。奴らはそこを攻め、それを容易に手に入れ……ああ、そうしたら、次の狙いはいよいよ明か、それとも日本か?サン・フェリペ号のイスパニアの奴輩めが、イスパニアの軍勢が襲来してくるの、日本を攻めるのと、ほざいたわな!)
 ぎくっとしたように、信長に魘された時のような顔になった。
 今になってやっと、スペインの、ポルトガルの、そしてコエリョの本当の狙いがわかった。
「唯一、日本に攻め入ることができた地……朝鮮」
 朝鮮は、蒙古に従い、日本に攻めてきた高麗のあった地だ。
(駄目だ、断じて、イスパニアに朝鮮を得させてはならぬ!)
「わしが間違っていた……されど、始めてしまった以上……」
 仮に負けたとしても、撤兵してきてはならぬ。スペインの脅威がなくなるまで。
「間違い?」
 北政所は出兵が間違いだったという所だけ聞き取れた。
「三成は……駄目だ……」
 彼はわかっていない。
 ずっと撤兵したがっている三成では。
(伴天連め!もう戦はならぬ、日本人も朝鮮人も苦しめてはならぬと、本音を隠して武将どもを騙し、朝鮮に攻め込ませておきながら、すぐに撤兵させようと必死になりおって!何が愛だ!三成も行長も誑かされおって!──撤兵撤兵撤兵撤兵!皆そればかり!わかっておらぬ!)
 わかっていた者は──

──朝鮮一国を賜れ──

(そうか、忠三郎だけであったか)
 忠三郎の若い端正な姿が思い浮かんだ。
(異形擬きが!)
 忠三郎だけがわかっていたのだ。スペインの思惑を。
 そういえば、当初忠三郎は朝鮮への出兵を反対していた。信長も明への野心を窺わせていたようだったのに、全く準備している様子がなかった。
 朝鮮出兵に反対していたのに、いざ出兵してしまったら、己が朝鮮を固守すると豪語した忠三郎の、あの時の姿──
(忠三郎、わしとそちだけじゃな!)
 大した奴めと面影に言ってやった。
 忠三郎の面影は屈託のない笑顔であり、腕に冬姫を抱えている。冬姫は愛おしそうに忠三郎を見上げており──
「くそっ!」
 秀吉は面影に毒づいて、しかし、苦笑のようなかすかな笑みを紛れさせていた。
「殿下?」
 また昏々として。それきり意識も覚束ないまま一日半過ぎ──ついに息を引きとった。
 慶長三年八月十八日。
 忠三郎の死より三年、蒲生家の大減封より数ヶ月。
 秀吉は家康に日本を託して逝った。
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