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苦い初対面
婚儀は滞りなく終わったようだ。
実のところティアナは緊張しっぱなしで、ほどんど覚えていない。
エイリスの顔もまともに見れないまま、綽々と進んでいった。
「はあー・・・・・・」
ティアナは重いため息を吐いてフカフカの寝台に腰を下ろす。
今ティアナがいる場所は、ダリスが新婚の二人のために与えた屋敷の一室だ。
「私から最愛の娘ティアナに最後の贈り物だ。二人きりで楽しく暮らしなさい」
と言われて一足先にティアナと侍女のニーナは、ティアナ専属の護衛騎士、ブレッドに連れられこの屋敷にやってきた。
屋敷には誰もいなかったけれど、綺麗に掃除されていて埃一つない。
王女であるティアナの世話役としてニーナの同行だけが許された。
「ティアナ様。とっても素敵な式でございましたわ」
窮屈なドレスとコルセットの着替えを終えて、湯船でニーナに丁寧に体を清められた。
今ティアナが身に纏っているのは、ふんだんにレースがあしらわれた肌が透けて見える薄いネグリジェのみ。
いつものティアナだったら、こんな裸同然の恥ずかしい格好されて黙っているわけはないのだけれど、それどころではなかった。
「よけいな慰めはよして」
じとっと睨むと、ニーナはため息を吐いた。
「本当に素晴らしい式でしたよ。ティアナ様が緊張のあまりドレスの裾を踏んで転び、それを隣にいたモーガン様がとっさに支えてくれて。そのときのモーガン様も素敵でしたわ」
「あー、もう、言わないでっ!!」
ティアナは頭を抱えて項垂れる。そう。もう少しでエイリス・モーガンのところに到着するというとき、ティアナは足がつんのめって派手に転びそうになったのだ。
彼のたくましい腕に支えられてなんとか派手に転倒することを免れたが、そのときティアナはみてしまった。
ひどく呆れている彼の顔を・・・・・・。
それからは何も覚えていない。真っ赤になってただ時が過ぎるのを待っていただけだ。
式の最中も終わってからも、ティアナとエイリスは口を聞くことはなかった。
「大丈夫です! ティアナ様のその持ち前の明るさがあればどんなことでも乗り越えられます! とびっきりの笑顔で迎えればいくらあの騎士団長様といえどイチコロですわ」
ニーナなりに励ましてくれているのはわかる。ニーナとはティアナよりも八つ年上で、ティアナは姉のように接していた。
ニーナが励ませば励ますほど、ティアナは落ち込んでいく。
きっと呆れられたに違いない。淑女としてそれなりに教育を受けて王女としての自信、とまではいかないけれど自覚はあった。
厳しい勉強にも取り組んでいた。それなのにあんな失態をしてしまうなんて・・・・・・!!
「ティアナ様、そろそろ旦那様がお戻りになりますので、私は失礼致します」
「え」
急に声のトーンを落とし真面目な顔つきでそういったニーナに、ティアナは目をぱちくりとさせ、部屋を出て行こうとするニーナを慌てて引き留める。
「ま、待って! どこ行くの!?」
「どこって私に与えられたお部屋にですわ。二人の邪魔をしてはいけませんので」
にっこりと可愛らしい笑みを浮かべるニーナに、ティアナははっとする。
「ま、待って! ニーナ! 行かないでっ」
ティアナの懇願空しく、寝室の扉はパタンと静かに閉ざされた。
実のところティアナは緊張しっぱなしで、ほどんど覚えていない。
エイリスの顔もまともに見れないまま、綽々と進んでいった。
「はあー・・・・・・」
ティアナは重いため息を吐いてフカフカの寝台に腰を下ろす。
今ティアナがいる場所は、ダリスが新婚の二人のために与えた屋敷の一室だ。
「私から最愛の娘ティアナに最後の贈り物だ。二人きりで楽しく暮らしなさい」
と言われて一足先にティアナと侍女のニーナは、ティアナ専属の護衛騎士、ブレッドに連れられこの屋敷にやってきた。
屋敷には誰もいなかったけれど、綺麗に掃除されていて埃一つない。
王女であるティアナの世話役としてニーナの同行だけが許された。
「ティアナ様。とっても素敵な式でございましたわ」
窮屈なドレスとコルセットの着替えを終えて、湯船でニーナに丁寧に体を清められた。
今ティアナが身に纏っているのは、ふんだんにレースがあしらわれた肌が透けて見える薄いネグリジェのみ。
いつものティアナだったら、こんな裸同然の恥ずかしい格好されて黙っているわけはないのだけれど、それどころではなかった。
「よけいな慰めはよして」
じとっと睨むと、ニーナはため息を吐いた。
「本当に素晴らしい式でしたよ。ティアナ様が緊張のあまりドレスの裾を踏んで転び、それを隣にいたモーガン様がとっさに支えてくれて。そのときのモーガン様も素敵でしたわ」
「あー、もう、言わないでっ!!」
ティアナは頭を抱えて項垂れる。そう。もう少しでエイリス・モーガンのところに到着するというとき、ティアナは足がつんのめって派手に転びそうになったのだ。
彼のたくましい腕に支えられてなんとか派手に転倒することを免れたが、そのときティアナはみてしまった。
ひどく呆れている彼の顔を・・・・・・。
それからは何も覚えていない。真っ赤になってただ時が過ぎるのを待っていただけだ。
式の最中も終わってからも、ティアナとエイリスは口を聞くことはなかった。
「大丈夫です! ティアナ様のその持ち前の明るさがあればどんなことでも乗り越えられます! とびっきりの笑顔で迎えればいくらあの騎士団長様といえどイチコロですわ」
ニーナなりに励ましてくれているのはわかる。ニーナとはティアナよりも八つ年上で、ティアナは姉のように接していた。
ニーナが励ませば励ますほど、ティアナは落ち込んでいく。
きっと呆れられたに違いない。淑女としてそれなりに教育を受けて王女としての自信、とまではいかないけれど自覚はあった。
厳しい勉強にも取り組んでいた。それなのにあんな失態をしてしまうなんて・・・・・・!!
「ティアナ様、そろそろ旦那様がお戻りになりますので、私は失礼致します」
「え」
急に声のトーンを落とし真面目な顔つきでそういったニーナに、ティアナは目をぱちくりとさせ、部屋を出て行こうとするニーナを慌てて引き留める。
「ま、待って! どこ行くの!?」
「どこって私に与えられたお部屋にですわ。二人の邪魔をしてはいけませんので」
にっこりと可愛らしい笑みを浮かべるニーナに、ティアナははっとする。
「ま、待って! ニーナ! 行かないでっ」
ティアナの懇願空しく、寝室の扉はパタンと静かに閉ざされた。
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