白い雫の天使~親愛なる人への旋律

夏目奈緖

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 駐車場まで歩いているところだ。黒崎が言った。今日は帰ろうかと。はっきりした話し方は普段通りだ。その一方で、自分は蚊の鳴くような声を出している。そして、気が弱くなっている俺のことをフォローするために、手を引いてくれている。

 歩道を歩いている人たちを追い越して行った。無理のない早足だ。たまに手の感触を確かめるかのように、さすったり撫でられたりしている。

 ガーーー。

 タワー駐車場に到着した。車が出てくるまで待っていると、肩の辺りをポンポンを叩かれた。今度は抱き寄せられた。何も言わないし、自分も言わない。チラッと見上げると視線を返された。しかも笑っている。笑顔の増量キャンペーン中だろうか?

「黒崎さん。変わったね~」
「いつも通りだ。……これにするか」

 黒崎が、そばにある飲み物の自動販売機の前に立った。ガタン!何を買ったのかな?これも珍しいことだ。座って飲むのが好きなのに。

「どうしたの?」
「乗った後で飲め。やっと疲れが出てきたんだろう」

 持っているのはココアの缶だ。ミルク増量、ホカホカのイラストが、気持ちをほぐしてくれた。まだ熱いからと持ってくれた。

「平気だよ。持つよ。ホッカイロ代わりに」
「飲みたくなるだろう?ヤケドするに決まっている。冷めてからにしろ。……手をよこせ」

 グイっと手を取られた。黒崎のコートのポケットに入れられて、距離が近づいたことで、心が楽になった。
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