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午前8時。
一夜明けた。今日は祭日だから黒崎が家に居る。タイミングがいいと笑っていた。朝ごはんを食べ終わり、リビングでメールチェックを始めている。これだけ見ると日常の光景だ。ただし状況には、昨日よりも変化が起きた。
黒崎が近所へ挨拶をして、迷惑をかけることを謝った。遠藤さんも一緒にだ。また記者達がやってくることを伝えた。本来は用がない人達が待っている姿は落ち着かない。話しかけられるかもしれない。嫌な思いをするし、車移動の邪魔にもなる。
黒崎と早瀬さんが連絡を取り合い、悠人の様子を聞けた。いつもどおりに元気にしているそうだ。滞在先を決めている段階であり、都内のホテルか遠藤さんの家を選ぶかのどちらがだという。ホテルの方が迷惑がかかりにくいとは言えると悠人は言っていたが、遠藤さんとしては、うちに来て欲しいと言っていたそうだ。
ガタガタ……。
「……夏樹。電話がかってきたぞ」
「はーい。長谷部さんかなー?悠人だ!」
「出てやれ」
「もちろんだよ。もしもし。ゆうとー、おはよう!」
なるべく冷静にと思いつつも、スマホを握った手がしびれっぱなしだ。唇まで震えている気がする。悠人の後ろの方から、リクの鳴き声が聞こえてきた。遠藤さんの家に来ているのだろう。あまり吠えないのに珍しい。玄関に出ているのだろうか。
「……もしもーし。なつきー。おはようー。眠たそうだね。寝ていないだろー?リクと遊んで元気を出そうよ」
「理久君と?もしかすると忙しいかも」
「そっちのリクじゃないよ。大型犬の方だよ」
「そっか~。勘違いしたよ~。うちの庭に呼ぼうかな。こっちに来れるの?」
「うん。遠藤さん家でお世話になるんだよ。今、着いたところ。玄関先にいるよ。ホテルも候補だったけど。遠藤さんの家がベストだからって。荷物を運ぶから、また後でそっちに行くよ……」
「手伝いに行くよ!」
「だめだだめだだめだー。記者が居るもん。げええええっ。俺なんかに、5人も話しかけてどうするんだよ~。裕理さん、笑うなよー」
「ああー、よかった……」
「ふむふむ。心配をかけたね。心強い人達がいるんだよ。大船に乗せてもらおうよ。亀の甲より年の劫。先人の知恵を……。えーっと、なんだっけ?よきにはからえ。佐久弥が言っていたんだよ……」
「それじゃ分からないねえ」
「ふむふむ。そんな男に預けているんだよ。わが身と将来を。IKUエンタテイメントの方が安心するだろ?」
「うん……」
目頭がじんわり熱くなってきた。俺の方が支えられている。悠人が成長するたびに焦っていた。今ではこう思う。違う目を持っているのだと。自分の視点とが合わさり、一つのパワーになる。
人付き合いが苦手で、強くなれば解決すると思い込んでいた。しかし、その先で待っていたのは、ズケズケ物を言って、相手のことを冷たく拒絶する自分だった。
黒崎も心を閉ざしていた。二人でドアをノックし合って開いた。その先には、電話の向こうの男の子が待っていた。常に献身的に接されて、ずいぶんと影響を受けた。
言葉に詰まっていると、背後から腕が伸びてきた。黒崎からそっと抱きしめられた。いつの間にか唇も体も震えていた。背中から伝わる体温が溶け込んできた。
「なつきー、いいことで泣こうね!昼過ぎにはそっちに行けるかも」
「今から行く。遠藤さんは家にいるだろ?おはようって言いに行く!」
「だめだだめだだめだーっ。あああ……」
「どうしたんだよ?」
「記者のおでむかえ。……裕理さんは喋っちゃだめだ!」
どうやらまた記者に囲まれたようだ。電話の向こうは冷静な悠人がいた。だったら俺は感情的になってやる。
一夜明けた。今日は祭日だから黒崎が家に居る。タイミングがいいと笑っていた。朝ごはんを食べ終わり、リビングでメールチェックを始めている。これだけ見ると日常の光景だ。ただし状況には、昨日よりも変化が起きた。
黒崎が近所へ挨拶をして、迷惑をかけることを謝った。遠藤さんも一緒にだ。また記者達がやってくることを伝えた。本来は用がない人達が待っている姿は落ち着かない。話しかけられるかもしれない。嫌な思いをするし、車移動の邪魔にもなる。
黒崎と早瀬さんが連絡を取り合い、悠人の様子を聞けた。いつもどおりに元気にしているそうだ。滞在先を決めている段階であり、都内のホテルか遠藤さんの家を選ぶかのどちらがだという。ホテルの方が迷惑がかかりにくいとは言えると悠人は言っていたが、遠藤さんとしては、うちに来て欲しいと言っていたそうだ。
ガタガタ……。
「……夏樹。電話がかってきたぞ」
「はーい。長谷部さんかなー?悠人だ!」
「出てやれ」
「もちろんだよ。もしもし。ゆうとー、おはよう!」
なるべく冷静にと思いつつも、スマホを握った手がしびれっぱなしだ。唇まで震えている気がする。悠人の後ろの方から、リクの鳴き声が聞こえてきた。遠藤さんの家に来ているのだろう。あまり吠えないのに珍しい。玄関に出ているのだろうか。
「……もしもーし。なつきー。おはようー。眠たそうだね。寝ていないだろー?リクと遊んで元気を出そうよ」
「理久君と?もしかすると忙しいかも」
「そっちのリクじゃないよ。大型犬の方だよ」
「そっか~。勘違いしたよ~。うちの庭に呼ぼうかな。こっちに来れるの?」
「うん。遠藤さん家でお世話になるんだよ。今、着いたところ。玄関先にいるよ。ホテルも候補だったけど。遠藤さんの家がベストだからって。荷物を運ぶから、また後でそっちに行くよ……」
「手伝いに行くよ!」
「だめだだめだだめだー。記者が居るもん。げええええっ。俺なんかに、5人も話しかけてどうするんだよ~。裕理さん、笑うなよー」
「ああー、よかった……」
「ふむふむ。心配をかけたね。心強い人達がいるんだよ。大船に乗せてもらおうよ。亀の甲より年の劫。先人の知恵を……。えーっと、なんだっけ?よきにはからえ。佐久弥が言っていたんだよ……」
「それじゃ分からないねえ」
「ふむふむ。そんな男に預けているんだよ。わが身と将来を。IKUエンタテイメントの方が安心するだろ?」
「うん……」
目頭がじんわり熱くなってきた。俺の方が支えられている。悠人が成長するたびに焦っていた。今ではこう思う。違う目を持っているのだと。自分の視点とが合わさり、一つのパワーになる。
人付き合いが苦手で、強くなれば解決すると思い込んでいた。しかし、その先で待っていたのは、ズケズケ物を言って、相手のことを冷たく拒絶する自分だった。
黒崎も心を閉ざしていた。二人でドアをノックし合って開いた。その先には、電話の向こうの男の子が待っていた。常に献身的に接されて、ずいぶんと影響を受けた。
言葉に詰まっていると、背後から腕が伸びてきた。黒崎からそっと抱きしめられた。いつの間にか唇も体も震えていた。背中から伝わる体温が溶け込んできた。
「なつきー、いいことで泣こうね!昼過ぎにはそっちに行けるかも」
「今から行く。遠藤さんは家にいるだろ?おはようって言いに行く!」
「だめだだめだだめだーっ。あああ……」
「どうしたんだよ?」
「記者のおでむかえ。……裕理さんは喋っちゃだめだ!」
どうやらまた記者に囲まれたようだ。電話の向こうは冷静な悠人がいた。だったら俺は感情的になってやる。
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