92 / 152
11-5
しおりを挟む
店の外に出た後、まるで押し込まれるようにして車に乗せられた。そして、膝の上にレジ袋を乗せられた。大きな袋が二つもある。こんなに買い物をしたのかと驚いて言葉を失った。
「こんなにもらえないよ」
「受け取ってくれ」
黒崎にレジ袋を押しつけると、彼が首を振った。そして、彼が運転席に乗った。もう車を出そうとしている。このままだと買って貰うことになってしまう。だからもう一度レジ袋を黒崎に押しつけると、運転しづらいと言われた。でも、このまま貰うわけにはいかない。
「黒崎さん。待ってよ。こんなにいらないよ」
「いいから受け取ってくれ」
「全部俺のなんだよね。だめだよ」
「これも受け取れ」
さらに音楽サイトのカードとレシートも渡された。買って貰うわけにはいかない。それらを黒崎に押しつけるようにして返すと、また手渡された。その繰り返しを続けているうちに疲れてきて何も言わないでいると、黒崎が車を出そうとした。まだ話は終わっていない。待つように頼んだ。
「だめだってば」
「いいから受け取ってくれ」
今日の黒崎は、いつもより強引だと思った。いや、温泉旅行から帰ってきた後から変だと思う。俺が誰と連絡を取っているのかと聞くようになったし、詮索するようになってきた。
「お菓子。パン。紅茶。缶コーヒー。のど飴。マスク。パズル本。モバイルバッテリー。音楽ダウンロードカード。ショッピングサイトのプリペイドカード。こんなに貰えないよーーー」
これら全部黒崎に返したい。でも、黒崎からは納得してもらえない。しかも、別のプリペイドカードまでレジ袋に押し込まれた。先週黒崎から貰ったけれども、翌日迎えに来てくれた早瀬さんに頼んで返して貰おうと思って渡した分だ。これも貰うわけにはいかない。でも、黒崎から強引に手渡された。
「使い道がなくて困る。使ってくれ」
「でも……」
「悪い子へのお仕置きだ。強引な事をして悪かった。本山さんはお前のことを狙っていた。付きまといをされていた事には気づかなかったのか?」
「付きまといじゃないよ。親切にしてくれているんだ」
黒崎の言っていることを否定した。すると今度は、睨みつけるように俺の方へ視線を寄越してきた。喧嘩をする気だろうか。それでもいいと思った。
(これだけでも返そうっと……)
ショッピングサイトのプリペイドカードの分だけでも黒崎に返そうと思いついた。ちょうどコンビニにいるからATMで貯金を引き出そうと思った。でも、銀行は向かいにあるから、そっちに行こうと思って、車から降りようとすると、黒崎から止められた。どこに行くのかと聞かれた。
「まだ帰らないよ。このカードの分だけでも、あんたに返そうと思うんだ。銀行のATMに行くよ。待っていてよ」
「夏樹。どうしても受け取ってもらえないのか。分かった。もう会ってもらえなくなるのは嫌だ。ここで待っている」
「よかった。納得してもらえて。じゃあ、行ってくるよ」
すんなり黒崎が納得していたから良かったと思った。彼のことを車に残して、俺一人だけで車から降りた。そして、向かいの銀行のATMへ向かった。
「こんなにもらえないよ」
「受け取ってくれ」
黒崎にレジ袋を押しつけると、彼が首を振った。そして、彼が運転席に乗った。もう車を出そうとしている。このままだと買って貰うことになってしまう。だからもう一度レジ袋を黒崎に押しつけると、運転しづらいと言われた。でも、このまま貰うわけにはいかない。
「黒崎さん。待ってよ。こんなにいらないよ」
「いいから受け取ってくれ」
「全部俺のなんだよね。だめだよ」
「これも受け取れ」
さらに音楽サイトのカードとレシートも渡された。買って貰うわけにはいかない。それらを黒崎に押しつけるようにして返すと、また手渡された。その繰り返しを続けているうちに疲れてきて何も言わないでいると、黒崎が車を出そうとした。まだ話は終わっていない。待つように頼んだ。
「だめだってば」
「いいから受け取ってくれ」
今日の黒崎は、いつもより強引だと思った。いや、温泉旅行から帰ってきた後から変だと思う。俺が誰と連絡を取っているのかと聞くようになったし、詮索するようになってきた。
「お菓子。パン。紅茶。缶コーヒー。のど飴。マスク。パズル本。モバイルバッテリー。音楽ダウンロードカード。ショッピングサイトのプリペイドカード。こんなに貰えないよーーー」
これら全部黒崎に返したい。でも、黒崎からは納得してもらえない。しかも、別のプリペイドカードまでレジ袋に押し込まれた。先週黒崎から貰ったけれども、翌日迎えに来てくれた早瀬さんに頼んで返して貰おうと思って渡した分だ。これも貰うわけにはいかない。でも、黒崎から強引に手渡された。
「使い道がなくて困る。使ってくれ」
「でも……」
「悪い子へのお仕置きだ。強引な事をして悪かった。本山さんはお前のことを狙っていた。付きまといをされていた事には気づかなかったのか?」
「付きまといじゃないよ。親切にしてくれているんだ」
黒崎の言っていることを否定した。すると今度は、睨みつけるように俺の方へ視線を寄越してきた。喧嘩をする気だろうか。それでもいいと思った。
(これだけでも返そうっと……)
ショッピングサイトのプリペイドカードの分だけでも黒崎に返そうと思いついた。ちょうどコンビニにいるからATMで貯金を引き出そうと思った。でも、銀行は向かいにあるから、そっちに行こうと思って、車から降りようとすると、黒崎から止められた。どこに行くのかと聞かれた。
「まだ帰らないよ。このカードの分だけでも、あんたに返そうと思うんだ。銀行のATMに行くよ。待っていてよ」
「夏樹。どうしても受け取ってもらえないのか。分かった。もう会ってもらえなくなるのは嫌だ。ここで待っている」
「よかった。納得してもらえて。じゃあ、行ってくるよ」
すんなり黒崎が納得していたから良かったと思った。彼のことを車に残して、俺一人だけで車から降りた。そして、向かいの銀行のATMへ向かった。
0
あなたにおすすめの小説
俺の推し♂が路頭に迷っていたので
木野 章
BL
️アフターストーリーは中途半端ですが、本編は完結しております(何処かでまた書き直すつもりです)
どこにでも居る冴えない男
左江内 巨輝(さえない おおき)は
地下アイドルグループ『wedge stone』のメンバーである琥珀の熱烈なファンであった。
しかしある日、グループのメンバー数人が大炎上してしまい、その流れで解散となってしまった…
推しを失ってしまった左江内は抜け殻のように日々を過ごしていたのだが…???
有能副会長はポンコツを隠したい。
さんから
BL
2.6タイトル変更しました。
この高校の生徒会副会長を務める僕・東山 優真は、普段の仕事ぶりから次期生徒会長の最有力候補と言われている。……んだけど、実際は詰めの甘さやうっかりミスを根性論でカバーしてきたポンコツだ。
こんなに頑張れているのは、密かに思いを寄せている安西生徒会長のため。
ある日、なんの奇跡か会長に告白され晴れて恋人同士となった僕は、大好きな人に幻滅されないためにポンコツを隠し通すと決めたけど……!?(内容は他サイト版と同じですが、こちらの方がちょっと読みやすいはずです)
ヒーロー組織のサポートメンバーになりました!
はちのす
BL
朝起きたら、街はゾンビだらけ!生き残りたい俺は、敵に立ち向かうヒーロー組織<ビジランテ>に出逢った。
********
癖の強いヒーロー達の"心と胃の拠り所"になるストーリー!
※ちょっとイチャつきます。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
イケメンに惚れられた俺の話
モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。
こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。
そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。
どんなやつかと思い、会ってみると……
死ぬほど嫌いな上司と付き合いました【完結】
三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。
皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。
涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥
上司×部下BL
バズる間取り
福澤ゆき
BL
元人気子役&アイドルだった伊織は成長すると「劣化した」と叩かれて人気が急落し、世間から忘れられかけていた。ある日、「事故物件に住む」というネットTVの企画の仕事が舞い込んでくる。仕事を選べない伊織は事故物件に住むことになるが、配信中に本当に怪奇現象が起こったことにより、一気にバズり、再び注目を浴びることに。
自称視える隣人イケメン大学生狗飼に「これ以上住まない方がいい」と忠告を受けるが、伊織は芸能界生き残りをかけて、この企画を続行する。やがて怪異はエスカレートしていき……
すでに完結済みの話のため一気に投稿させていただきますmm
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる