恋人はメリーゴーランド少年だった。

夏目奈緖

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 23時30分。

 風呂から出たところだ。そして、キッチンに入って水を飲んだ。のぼせてきたからだ。黒崎の言うとおりに素直に湯船に肩まで浸かってきた。

(黒崎さん。俺が男だって分かっているよね……)

 ふと自分の体を見つめた。俺は男の体をしている。もしも黒崎からの本気の告白を受け入れたとしたら、キスより先に進むことがあると思う。その時、黒崎は俺の体を見てどう思うだろうと思った。女の人の方がいいのではないだろうかと思った。

 黒崎が俺の体を見たとき、男だと分かって我に返りそうだと思った。女の子に間違われるから、男の体をしている発想がないのかもしれないと思うからだ。

 では、俺は黒崎の裸を見たときにどんな反応をするだろうかと考えた。黒崎が男なのは知っている。裸の上半身を見ても何も思わないと思う。同じ男だからだ。でも、黒崎が着替えをしているときに一度見たことがある。触りたいなと思ったことを思い出した。こうして黒崎のことを考えているうちに胸がドキドキしてきて落ち着かなくなった。

(ああもう。何を考えているんだよ……)

 悶々と考えているうちに、またのぼせそうになった。

(そうだ。達也と話さないといけないんだ……)

 今着ているTシャツはベテルギウスのロゴ付きだ。これを見たとき、ふと達也の顔が思い浮かんだ。告白を断った後もラインにメッセージが入り続けている。内容を思い出すと頭が痛くなった。それはなぜかというと、何をしているのか、誰と会っているのかと詮索してくる内容だからだ。俺の方が心配ないと返事をすると会いたいというメッセージが入るし、告白は断ったはずだと書いて送ると、まだ諦められないという返事が来るようになった。

(達也、どうしたんだよ……)

 キッチンのテーブルに置いてあったスマホを手に取った。そして、ラインを開いた。また新しいメッセージが入っていた。夏樹君とは付き合えるはずだと書かれていた。この達也からのメッセージを読んで頭が痛くなった。

 達也に告白された時、付き合えないと、はっきり断った。でも、達也の方は俺のことが手に入ると思っているそうだ。達也は自分がそう思ったら現実になると思ってラインを送り続けてきている。彼からのラインにそう書いてあった。さらに自分の望みは叶うはずだと書いて送ってきたこともあった。

 達也に会って話さないといけないと思うと頭が痛くなった。昨日、こういうことが起きてしまったからだ。学校帰りの万理が大学生風の男に後ろをついて来られるということが起きた。それが達也ではないかと思ったとき、彼がまるでストーカーのようになったことに気づいた。解決しないといけないと思う。

(黒崎さんに相談しようかな……)

 ふと、黒崎に相談しようかと思った。しかし、やめておこうと思った。きつい言い方になって達也が傷つくかもしれないし、巻き込むことになるからやめておこうと思った。来週に会おうと思う。そう書いて達也にラインを送るとすぐにOKという返事が来た。
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