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早瀬の車に乗って、マンションへ向かっているところだ。途中でコンビニに寄ってもらうことにした。友達の家に遊びに行く日は、何か食べ物を持って行くことにしている。すぐにお腹が空くし、差し入れする方がいいと思っているからだ。すると、早瀬が言った。
「それならメルティストアへ寄るよ。テイクアウト専門の店だ。聞いたことはある?」
「もちろんあるよ。有名だよね」
桜木さんが通っている店だ。バンドの集まりの時には、クラブハウスサンドイッチを差し入れしてくれる。とても美味しくて、買いに行きたいと思っていた。しかし俺は方向音痴だから、都内に慣れるまで行くのを待っている状態だ。
「桜木さんが通っている店だよ」
「ああ、そうだったね。クラブハウスサンドイッチが好きだ」
「仲が良いのは本当なんだねー」
「そうだよ。友達だよ。気になるのか?」
「んんー、別に?」
単に聞いただけなのに、意味深に笑われた。そして、運転席から早瀬の手が伸びてきて、首の後ろに触れられた。
「んん?何だよ?」
「段ボールで打った場所、今は痛くないのか?」
「ちょっと痛みがあるだけ」
「そうか。こっちはどうだ?」
「もう、やめろよ!」
「どうして?ここも赤くなっているから心配している」
「ここは打っていないから!」
「触ってみないと分からないよ」
今度は頬に触れられて、指先でフニフニと押された。その手を払いのけて、ドア側へ体を押し付けて離れた。
「そんなに嫌がらなくてもいいだろう」
「嫌だよーー」
「そうやって逃げている光景を、見たことがある。前の会社の近くに、動物病院があってね。ドアが透明ガラスになっていた。病院嫌いの犬が外に出たくて、ドアに張り付いているのを見かけたよ。今の悠人君と似ている」
「なんだよ!?馬鹿にするなよーー」
こういう早瀬の冗談に腹が立っている。会うたびに、動物に例えられている。たしかに自分でも似ていると思うし、人から言われたこともある。耳と鼻が良くて、リアクションが素直だからだ。何も話したくなくて無言を貫こうとすると、早瀬が笑いながら俺の頭を撫でた。
「やめろよーっ」
「そういう反応が返ってくるのが楽しくてね。君を見ると触りたくなる」
「だったら犬か猫を飼えよ」
「今のマンションはペット不可だ」
「ペット可のところへ引越せばいいだろ」
「帰りの遅い日がある。出張だってある。留守番ばかりで、寂しがらせるから飼えない」
早瀬がいじめっ子の顔をしていたのに、寂しそうな顔に変わった。もしかして、ペットが亡くなった経験があるのかもしれない。その後は、もう飼いたくないという人は多い。祖母もそうだった。しんみりした空気になった後、どう話そうかと思っていると、早瀬が元の明るい顔に戻った。
「もうすぐ着くよ。さっきサンドイッチを食べただろう?他にも美味しいものが待っているぞ」
「食べているところを見ていたの?」
「見ていないよ。残っていた皿に、レタスの欠片が残っていたから分かった」
「細かいところを見ているんだね」
「秘書時代の癖が抜けなくて……」
(こういう人、好きだな。重い空気のままにしないから……)
すっかり見直していると、右手を取られた。どうしたの?そう口にしようとして、愕然としてしまった。
「美味しそうな手だね。僕はこっちが食べたい」
「ひいいいいっ」
手の甲にキスをされてしまった。その行動に驚いていると、店の駐車場に到着して車が停車し、いつの間にか、外からドアが開けられた。そこには、爽やかな笑顔を浮かべている男が立っていた。でも、変質者そのものに見えた。
「ははは。警戒しないで」
「この変質者!」
早瀬の体を押しのけるようにして店の中へ入った。笑い続けている彼のことは無視をした。
「それならメルティストアへ寄るよ。テイクアウト専門の店だ。聞いたことはある?」
「もちろんあるよ。有名だよね」
桜木さんが通っている店だ。バンドの集まりの時には、クラブハウスサンドイッチを差し入れしてくれる。とても美味しくて、買いに行きたいと思っていた。しかし俺は方向音痴だから、都内に慣れるまで行くのを待っている状態だ。
「桜木さんが通っている店だよ」
「ああ、そうだったね。クラブハウスサンドイッチが好きだ」
「仲が良いのは本当なんだねー」
「そうだよ。友達だよ。気になるのか?」
「んんー、別に?」
単に聞いただけなのに、意味深に笑われた。そして、運転席から早瀬の手が伸びてきて、首の後ろに触れられた。
「んん?何だよ?」
「段ボールで打った場所、今は痛くないのか?」
「ちょっと痛みがあるだけ」
「そうか。こっちはどうだ?」
「もう、やめろよ!」
「どうして?ここも赤くなっているから心配している」
「ここは打っていないから!」
「触ってみないと分からないよ」
今度は頬に触れられて、指先でフニフニと押された。その手を払いのけて、ドア側へ体を押し付けて離れた。
「そんなに嫌がらなくてもいいだろう」
「嫌だよーー」
「そうやって逃げている光景を、見たことがある。前の会社の近くに、動物病院があってね。ドアが透明ガラスになっていた。病院嫌いの犬が外に出たくて、ドアに張り付いているのを見かけたよ。今の悠人君と似ている」
「なんだよ!?馬鹿にするなよーー」
こういう早瀬の冗談に腹が立っている。会うたびに、動物に例えられている。たしかに自分でも似ていると思うし、人から言われたこともある。耳と鼻が良くて、リアクションが素直だからだ。何も話したくなくて無言を貫こうとすると、早瀬が笑いながら俺の頭を撫でた。
「やめろよーっ」
「そういう反応が返ってくるのが楽しくてね。君を見ると触りたくなる」
「だったら犬か猫を飼えよ」
「今のマンションはペット不可だ」
「ペット可のところへ引越せばいいだろ」
「帰りの遅い日がある。出張だってある。留守番ばかりで、寂しがらせるから飼えない」
早瀬がいじめっ子の顔をしていたのに、寂しそうな顔に変わった。もしかして、ペットが亡くなった経験があるのかもしれない。その後は、もう飼いたくないという人は多い。祖母もそうだった。しんみりした空気になった後、どう話そうかと思っていると、早瀬が元の明るい顔に戻った。
「もうすぐ着くよ。さっきサンドイッチを食べただろう?他にも美味しいものが待っているぞ」
「食べているところを見ていたの?」
「見ていないよ。残っていた皿に、レタスの欠片が残っていたから分かった」
「細かいところを見ているんだね」
「秘書時代の癖が抜けなくて……」
(こういう人、好きだな。重い空気のままにしないから……)
すっかり見直していると、右手を取られた。どうしたの?そう口にしようとして、愕然としてしまった。
「美味しそうな手だね。僕はこっちが食べたい」
「ひいいいいっ」
手の甲にキスをされてしまった。その行動に驚いていると、店の駐車場に到着して車が停車し、いつの間にか、外からドアが開けられた。そこには、爽やかな笑顔を浮かべている男が立っていた。でも、変質者そのものに見えた。
「ははは。警戒しないで」
「この変質者!」
早瀬の体を押しのけるようにして店の中へ入った。笑い続けている彼のことは無視をした。
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