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早瀬のそばから逃げ出してしまった。これから駅に行き、寮に帰ろうと思った。でも、駅までの方向が分からない。フラワーショップが建っているのは、大通りを入ってすぐの場所だ。その大通りまで戻れば駅が見えるはずだから、その方向を目指して走った。そして、大通りへ出た後、立ち止まって息を整えた。繁華街だから昼間のように明るい。だからホッとした。
「はあ……、裕理さんには後でラインを入れておこうっと……。駅はどっちかな?」
スマホを取り出して、地図アプリを開いた。方向音痴だから、これを手放せない。来た道を戻ったつもりでも、迷子になる始末だ。カッコ悪いから、友達には打ち明けていない。
「えーっと……。あ、電池がない!2%だ!」
ギター教室で動画を撮っていたからだろう。しかも、予備の充電バッテリーを持って来ていない。急いでアプリを開いて場所を確認していると、早瀬からの着信が入ってしまった。それを留守電に切り替えたところで、画面が真っ暗になってしまった。完全な電池切れだ。
「裕理さんからだった……。コンビニで充電バッテリーを買おうっと。どこだろう?」
キョロキョロと視線を巡らせても、コンビニも看板も見つけることが出来なかった。このままでは迷子だ。闇雲に移動すると、墓穴を掘ってしまう。
「ここが五丁目かー。向こうが……」
本当に自分が情けない。道にある表示板を見ても方向が分からない。駅はどっちですか?と、通行人に聞いてみようか。こうしている間に危ない目に遭うかもしれない。すると、背後から声を掛けられて、人が多い場所だから安心して返事をした。
「もしかして駅をお探しですか?」
「はいっ。分からなくて……。あ……」
「迷子になったんですか?もし良かったら送って行きますよ」
「裕理さん……」
「こうやって背後から声を掛けられても、簡単に返事をするな」
早瀬は怒っていた。両腕を組んで眉をひそめている。彼は何も悪いことをしていない。逃げ出した俺が悪い。だから素直に謝った。
「ごめん。駅の方向だけ教えてくれる?自分で帰るから」
「その状態で、一人で帰るな」
「でも……っ」
「悠人!」
「ごめん。今日は帰るから」
「まだ分からないのか!謝ろうが言い訳しようが聞かない。一緒に帰るぞ。こっちへ来い」
強引に肩を抱かれたが、このまま流されたくない。心配してもらっているのは分かるが、変な考えばかりが浮かぶから、嫌で堪らない。
「お願いだから帰らせて!混乱しているから!」
ほとんど悲鳴だった。周りからの視線は感じないから良かった。そして、早瀬の腕が伸びてきたから、後ろに下がって避けた。
「やめろよ」
「帰るぞ。いい子だから」
背後から抱きしめられた。胸の前で組まれた力強い腕が、胸の痛みを強くさせた。俺は感情の赴くままに、拒否の言葉を口にした。
「裕理さんは俺にどうしてほしいんだよ!?」
「恋人になってほしい」
「どうして俺なんだよ!?」
「君だからだ」
暴れる体を容易く捕らえられた。 背後から抱きしめられたままで、目に溜まった水分で揺れる視界の中、信号機を見つめた。歩行者用の信号機は、赤が点灯されている。
「君だから好きになったんだよ。他の誰でもない」
「嘘だよ!」
「どうして、そういうことを言うんだ?」
「桜木さんみたいに……、落ち着きがないからだよ。いつもバタバタやっているし。佐久弥とか、桜木さんみたいな人がタイプなんだろ?反対じゃん!」
嗚咽で上手く言葉が出せない。すると、腕の力が緩められて、向かい合わせになった。至近距離で見つめ合うと、早瀬の怒った様子が消えていた。
「帰ろう。どうしても嫌なら寮へ送るよ。それなら車に乗ってくれるよね?」
「うん……」
この状況で拒むのは子供だ。これは八つ当たりだ。早瀬は何も悪くない。今度は並び合い、駐車場へ向かった。
「はあ……、裕理さんには後でラインを入れておこうっと……。駅はどっちかな?」
スマホを取り出して、地図アプリを開いた。方向音痴だから、これを手放せない。来た道を戻ったつもりでも、迷子になる始末だ。カッコ悪いから、友達には打ち明けていない。
「えーっと……。あ、電池がない!2%だ!」
ギター教室で動画を撮っていたからだろう。しかも、予備の充電バッテリーを持って来ていない。急いでアプリを開いて場所を確認していると、早瀬からの着信が入ってしまった。それを留守電に切り替えたところで、画面が真っ暗になってしまった。完全な電池切れだ。
「裕理さんからだった……。コンビニで充電バッテリーを買おうっと。どこだろう?」
キョロキョロと視線を巡らせても、コンビニも看板も見つけることが出来なかった。このままでは迷子だ。闇雲に移動すると、墓穴を掘ってしまう。
「ここが五丁目かー。向こうが……」
本当に自分が情けない。道にある表示板を見ても方向が分からない。駅はどっちですか?と、通行人に聞いてみようか。こうしている間に危ない目に遭うかもしれない。すると、背後から声を掛けられて、人が多い場所だから安心して返事をした。
「もしかして駅をお探しですか?」
「はいっ。分からなくて……。あ……」
「迷子になったんですか?もし良かったら送って行きますよ」
「裕理さん……」
「こうやって背後から声を掛けられても、簡単に返事をするな」
早瀬は怒っていた。両腕を組んで眉をひそめている。彼は何も悪いことをしていない。逃げ出した俺が悪い。だから素直に謝った。
「ごめん。駅の方向だけ教えてくれる?自分で帰るから」
「その状態で、一人で帰るな」
「でも……っ」
「悠人!」
「ごめん。今日は帰るから」
「まだ分からないのか!謝ろうが言い訳しようが聞かない。一緒に帰るぞ。こっちへ来い」
強引に肩を抱かれたが、このまま流されたくない。心配してもらっているのは分かるが、変な考えばかりが浮かぶから、嫌で堪らない。
「お願いだから帰らせて!混乱しているから!」
ほとんど悲鳴だった。周りからの視線は感じないから良かった。そして、早瀬の腕が伸びてきたから、後ろに下がって避けた。
「やめろよ」
「帰るぞ。いい子だから」
背後から抱きしめられた。胸の前で組まれた力強い腕が、胸の痛みを強くさせた。俺は感情の赴くままに、拒否の言葉を口にした。
「裕理さんは俺にどうしてほしいんだよ!?」
「恋人になってほしい」
「どうして俺なんだよ!?」
「君だからだ」
暴れる体を容易く捕らえられた。 背後から抱きしめられたままで、目に溜まった水分で揺れる視界の中、信号機を見つめた。歩行者用の信号機は、赤が点灯されている。
「君だから好きになったんだよ。他の誰でもない」
「嘘だよ!」
「どうして、そういうことを言うんだ?」
「桜木さんみたいに……、落ち着きがないからだよ。いつもバタバタやっているし。佐久弥とか、桜木さんみたいな人がタイプなんだろ?反対じゃん!」
嗚咽で上手く言葉が出せない。すると、腕の力が緩められて、向かい合わせになった。至近距離で見つめ合うと、早瀬の怒った様子が消えていた。
「帰ろう。どうしても嫌なら寮へ送るよ。それなら車に乗ってくれるよね?」
「うん……」
この状況で拒むのは子供だ。これは八つ当たりだ。早瀬は何も悪くない。今度は並び合い、駐車場へ向かった。
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