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畑の周りを走っていると、早瀬の姿が目に入った。黒崎さんのお父さんとの3人で話している。会社での姿というより、プライベートといった空気が流れている。どこから見ても大人だ。子供っぽい自分との差を実感して気後れするが、これからは違う自分になろうと思った。
「わわわっ」
走りながら視線を向けていると、木の幹に追突して尻餅をついた。打った場所を押さえながら辺りを見回すと、誰にも見られずに済んでいた。アンとリクが寄り添うように鼻を引っつけてきた。心配してくれたのか。
「平気だよ。遊んでおいでよ。ボールを投げてあげる。いくよー、トリャーー!」
ボールが畑の向こうへ転がり、二匹が走って追いかけて行った。一緒に走りたいが、大人しくしておかないと怪我をしそうだ。
「はあ……」
「おんぶをしてあげようか?」
「げえええっ。見ていたのー?」
「ああ。目撃したよ」
いつの間にか早瀬がそばに立っていた。全く気配に気づかなかった。彼が小さく吹き出した後、目の前にしゃがみ込んだ。
「顔が赤くなっているよ。思い切り走っていたね?遠藤さんと楽しそうに話していたじゃないか。ああやって話すのは珍しいことだよ。奥さんの話だと、無口な方らしい」
「そうなんだ?実は……」
さっきまでのやり取りを話した。バンドや父の話題が出たことや、物の見方が変化したこともだ。
「そうか、前向きになったね。えらいよ」
「ありがとう!」
「遠藤さんにヤキモチを焼いた。桜木君にも。君に慰めてもらいたい」
「だめだだめだー。NOだよーー」
「ダーメ。悠人君は俺のものだから。こっちへおいでー」
木の幹の後ろへ連れて行かれて、体を押し付けられた。木の幹の冷たさを感じながら、肩を押し付けている手の熱さも感じている。すると、早瀬からキスをされそうになり、ドキドキした。そして、至近距離で見つめ合った。
「食べてもいい?」
「昼ご飯を食べたらいいだろ」
「ここでじゃないよ。帰ってから」
「え?」
早瀬が俺の指を取り、口の中に入れた。そして、温かい感触に包まれた後、新しい刺激が起きた。吸われて舐められているようだ。まるで変態だ。
「ちょっと、やめろよ」
「こうやって手に触られていただろう。見たんだよ?」
「あれは俺のタコを見ていたんだよ。楽器をやっているかって話になったんだ。裕理さんだって、出会った最初の頃に見ていただろーー。変なこともしただろっ」
「したよ。好きだったから」
「ええ?」
「あの時にはもう、好きになっていた」
「あああ……」
どうしよう。胸がキュンとした。さらに胸の鼓動も大きく打ち始めて、口の中に包まれている指が痺れた。
「いい子、いい子。これで分かったね?」
「何がだよ?」
「俺のものだっていうことだよ。他の人と話すなとまでは言わない。それでも、俺のことを優先してほしい。結構ガキだから」
また胸が痛くなった。こういう時には、どう反応すればいいのだろう?
早瀬のことを見上げていると、頭を抱き寄せられて、噛みつくようなキスをされた。そして、何度も角度を変えながらキスをして、息苦しくて堪らなくなった頃に離れた。呼吸が荒くなり、肩で息をしている状態なのに、早瀬は平然としている。ちっとも息を乱していない。
「わわわっ」
走りながら視線を向けていると、木の幹に追突して尻餅をついた。打った場所を押さえながら辺りを見回すと、誰にも見られずに済んでいた。アンとリクが寄り添うように鼻を引っつけてきた。心配してくれたのか。
「平気だよ。遊んでおいでよ。ボールを投げてあげる。いくよー、トリャーー!」
ボールが畑の向こうへ転がり、二匹が走って追いかけて行った。一緒に走りたいが、大人しくしておかないと怪我をしそうだ。
「はあ……」
「おんぶをしてあげようか?」
「げえええっ。見ていたのー?」
「ああ。目撃したよ」
いつの間にか早瀬がそばに立っていた。全く気配に気づかなかった。彼が小さく吹き出した後、目の前にしゃがみ込んだ。
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「そうなんだ?実は……」
さっきまでのやり取りを話した。バンドや父の話題が出たことや、物の見方が変化したこともだ。
「そうか、前向きになったね。えらいよ」
「ありがとう!」
「遠藤さんにヤキモチを焼いた。桜木君にも。君に慰めてもらいたい」
「だめだだめだー。NOだよーー」
「ダーメ。悠人君は俺のものだから。こっちへおいでー」
木の幹の後ろへ連れて行かれて、体を押し付けられた。木の幹の冷たさを感じながら、肩を押し付けている手の熱さも感じている。すると、早瀬からキスをされそうになり、ドキドキした。そして、至近距離で見つめ合った。
「食べてもいい?」
「昼ご飯を食べたらいいだろ」
「ここでじゃないよ。帰ってから」
「え?」
早瀬が俺の指を取り、口の中に入れた。そして、温かい感触に包まれた後、新しい刺激が起きた。吸われて舐められているようだ。まるで変態だ。
「ちょっと、やめろよ」
「こうやって手に触られていただろう。見たんだよ?」
「あれは俺のタコを見ていたんだよ。楽器をやっているかって話になったんだ。裕理さんだって、出会った最初の頃に見ていただろーー。変なこともしただろっ」
「したよ。好きだったから」
「ええ?」
「あの時にはもう、好きになっていた」
「あああ……」
どうしよう。胸がキュンとした。さらに胸の鼓動も大きく打ち始めて、口の中に包まれている指が痺れた。
「いい子、いい子。これで分かったね?」
「何がだよ?」
「俺のものだっていうことだよ。他の人と話すなとまでは言わない。それでも、俺のことを優先してほしい。結構ガキだから」
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