眠れる森の星空少年~あの日のキミ

夏目奈緖

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 12時半。

 2時限目の授業が終わった後、学食で昼ごはんを食べている。すっかり常連になった。テーブルの向かいでは、夏樹がイベリコ豚丼セットを食べている。森本は研究室へ行っている。山崎と真羽もだ。だから、今日は夏樹と二人だ。夏樹に、実は相談したいことがあると持ち掛けた。それは、早瀬との夜のことだ。それには、やることをやったと打ち明ける必要がある。

「早瀬さんとは、どうなったんだよ?」
「うまくいっているよ。新居を探しているんだ」 
「相談したいことって?まさか浮気の心配?ありえないからさ」
「あの、その……」
「俺が相談に乗れるぐらいだろ?すごく鈍いのに」 
「夏樹だから聞けるんだ!あの、その、ベ、べッドのことで……」 
「スプリングが壊れた?」 
「違うよ!ヤッたんだ!」  

 ああ言ってしまった。夏樹が大きな目を見開いている。コンタクトレンズが渇きそうなほどだ。そして、イベリコ豚のソースをつけたまま、口元に手を当てて歓声を上げた。 

「ヒョーーッ」 
「悩んでいるんだ!」
「だったらまず、どんな感じか聞かせてよ。初めての夜のことをさ……。甘い感じだったんだよね!?」
「えーっと、誰でもそうじゃないの?」 
「ううん。そんなことはないよ」 

 夏樹が大きく首を横に振った。アドバイスを受けるために、初めての夜のことを話した。相槌を打ちながら、熱心に耳を傾けてくれたから、安心して話し終えた。 

「へえ……」 
「こんな感じだよ……」 
「いいなあ~。うちなんてムードがないもん。黒崎さんからは酒と湿布の匂いがするし。明日の晩ご飯のことを話しながら、イチャつくし……」 

 夏樹が溜息をついた。口につけたイベリコ豚のソースがそのままで、イケメンが台無しだと思った。

「悠人、相談ってどんなことだよ?特に問題ないと思うよ?」
「じつは……」  

 ここまで話した以上、やめるわけにはいかない。初めての夜から昨日まで、毎晩のようにやっているから、寝るのが遅くなる日が多いことを話した。そして、寝る前にしたのに、朝早くにやる日があり、寝不足と体力消耗で悩んでいることを打ち明けた。

「そっか、それは悩むねえ」 
「どうやったら体力がつくかな?」 
「慣れるしかないよ」
「そうなんだ……」 
「黒崎さんが、そう言っていたんだ。おかげで慣れたよ」 
「そっか、頑張るよ」
「早瀬さんに言わないといけないよ?分からないかもしれないからさ」 
「うん。ありがとう」 

 何もかにも、すぐにはクリアできない。出来ることから努力すると決めた。早瀬にも打ち明けよう。

「悠人、ライン入ったみたいだよ」
「あ、ホントだ。お父さんだ……」

 今朝、電話をしたばかりなのに。今週土曜日に、母と話し合うと書いてあった。そして、俺抜きで話し合ってもいいか?という事が書いてあった。 

「夏樹、電話を掛けてくるよ」
「いってらっしゃい」
「すぐ終わるから……」 

 ラインよりも話した方が早い。さっそく学食の外に出た。
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