144 / 938
7-17
しおりを挟む
ステージサイドに戻り、スタッフさんから汗を拭かれた。気がつかないうちに首の後ろや背中に掛けて、大量の汗をかいていたと分かった。
「すみません。ありがとうございます」
「いえ、この後、控え室でお食事と、インタビューが入っているそうです」
「わあ~。メイクをするんですか?」
「はい。お食事の後、すぐにローザーさんが入ります」
「急がないと……」
すると、高宮さんがどこかに電話を始めた。俺達は控え室に戻りますと伝えて、廊下に出た。クーラーの風が当たって気持ちよくて、ずっとここに立っていたいと思った。しかし、長谷部さんが俺達を呼びに来たから、お別れになった。
「夏樹君。悠人君。お食事の時間は20分間しかないわよ。開明高校の事件の件で取材が入っていたんだけど、こちらで答えておいたわ。今はコンサートに集中したいって。生徒さんが来ることは漏れていないから……」
「さっき高宮さんから聞いたよ。記事を出すのは中止になったって。その方が良いよね。騒ぎを大きくすることは無いんだから……」
「うちの上の人の指示で出す判断になったんだけど、遠藤社長が止めてくれたのよ。学校が注目を集めて落ち着かない生徒さん達じゃないだろうけど、色んな意見が飛んでくるのには違いないもの。結果的に、みんなが落ち着かないわ。あなたたちは生徒さんと会って記念写真を撮ってね。悠人君の出身校からも、お話が来ているのよ。呉羽野学園……」
「ふうん。芸能活動には一切興味が無さそうな感じの子が行く学校に、悠人みたいな奴が出ると、ざわつくんじゃないの?いたたたたた!」
「なつきーー!言い過ぎだよーーー!」
悠人から頬をつねられてしまった。悠人の出身校は有名進学校だ。とにかく真面目だという印象だ。そこの学校から面談したいという希望があるなんて思いもしなかった。悠人はそれを気にしていた。開明高校のようにオープンな学校でなく、俺なんかが有名になっても得をしないと思われるに違いないとまで言っていた。だから、話が来たのは良かったと思う。
「ゆうとーー。やめろよーー。面談は良いと思うよ。会ってみたら?」
「うん。君達と同じく、記念写真を理事長室に飾ってもらえるそうだよ。バンドよりも、伝統あるキシヤマ味噌のコマーシャルが決め手だったりして……」
「ゆうとーー。ネガティブはやめておけよーー。うひゃひゃひゃ。バンドも理解してくれるってば。うちの黒崎さんだって、最初のコンサートで面食らっていたんだ。俺が上半身裸で動き回るとか、思ってもみないことだったんだって……」
「ふむふむ。今じゃ、革パンツだけの姿は定番になったけどね。ギタリスト祭典も良かったって思ってもらえると良いんだけどなーー」
「大丈夫よ。生徒さん達だって、学校側から無理矢理に会って来いって言われているわけじゃないでしょうから……」
「ううん。うちの学校はそういう感じなんだよーー。あああ……」
悠人がため息をついた。本当は寮に入って、開明高校に入学したかったらしい。それなら俺はもっと早くから、彼と一緒にバンド活動をやっていたのだろう。そういうルート変更も面白かったかも知れない。悠人が高校生の時からバンドコンテストに出ていたから聡太郎と並川さんと知り合い、バンドを組んだわけで、それに俺が入った形だ。出会いとは面白いものだと思っている。
「すみません。ありがとうございます」
「いえ、この後、控え室でお食事と、インタビューが入っているそうです」
「わあ~。メイクをするんですか?」
「はい。お食事の後、すぐにローザーさんが入ります」
「急がないと……」
すると、高宮さんがどこかに電話を始めた。俺達は控え室に戻りますと伝えて、廊下に出た。クーラーの風が当たって気持ちよくて、ずっとここに立っていたいと思った。しかし、長谷部さんが俺達を呼びに来たから、お別れになった。
「夏樹君。悠人君。お食事の時間は20分間しかないわよ。開明高校の事件の件で取材が入っていたんだけど、こちらで答えておいたわ。今はコンサートに集中したいって。生徒さんが来ることは漏れていないから……」
「さっき高宮さんから聞いたよ。記事を出すのは中止になったって。その方が良いよね。騒ぎを大きくすることは無いんだから……」
「うちの上の人の指示で出す判断になったんだけど、遠藤社長が止めてくれたのよ。学校が注目を集めて落ち着かない生徒さん達じゃないだろうけど、色んな意見が飛んでくるのには違いないもの。結果的に、みんなが落ち着かないわ。あなたたちは生徒さんと会って記念写真を撮ってね。悠人君の出身校からも、お話が来ているのよ。呉羽野学園……」
「ふうん。芸能活動には一切興味が無さそうな感じの子が行く学校に、悠人みたいな奴が出ると、ざわつくんじゃないの?いたたたたた!」
「なつきーー!言い過ぎだよーーー!」
悠人から頬をつねられてしまった。悠人の出身校は有名進学校だ。とにかく真面目だという印象だ。そこの学校から面談したいという希望があるなんて思いもしなかった。悠人はそれを気にしていた。開明高校のようにオープンな学校でなく、俺なんかが有名になっても得をしないと思われるに違いないとまで言っていた。だから、話が来たのは良かったと思う。
「ゆうとーー。やめろよーー。面談は良いと思うよ。会ってみたら?」
「うん。君達と同じく、記念写真を理事長室に飾ってもらえるそうだよ。バンドよりも、伝統あるキシヤマ味噌のコマーシャルが決め手だったりして……」
「ゆうとーー。ネガティブはやめておけよーー。うひゃひゃひゃ。バンドも理解してくれるってば。うちの黒崎さんだって、最初のコンサートで面食らっていたんだ。俺が上半身裸で動き回るとか、思ってもみないことだったんだって……」
「ふむふむ。今じゃ、革パンツだけの姿は定番になったけどね。ギタリスト祭典も良かったって思ってもらえると良いんだけどなーー」
「大丈夫よ。生徒さん達だって、学校側から無理矢理に会って来いって言われているわけじゃないでしょうから……」
「ううん。うちの学校はそういう感じなんだよーー。あああ……」
悠人がため息をついた。本当は寮に入って、開明高校に入学したかったらしい。それなら俺はもっと早くから、彼と一緒にバンド活動をやっていたのだろう。そういうルート変更も面白かったかも知れない。悠人が高校生の時からバンドコンテストに出ていたから聡太郎と並川さんと知り合い、バンドを組んだわけで、それに俺が入った形だ。出会いとは面白いものだと思っている。
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
タトゥーの甘い檻
マリ・シンジュ
BL
執着系わんこ攻(大学生)× 高潔な美形教授受(30代)
どのお話も単体でお楽しみいただけます。
「先生、ここ……僕の瞳を入れるから。ずっと、僕だけを見てて」
真面目な大学教授・新城が、大学生の・羽生にだけ許した、あまりにも淫らな「わがまま」。
それは、誰にも見えない内腿の奥深くに、消えないタトゥーを刻むこと。
「下書き」と称して肌を赤く染めるペン先の冷たさ。
アトリエの無機質なライトの下、四つん這いで晒される大人の矜持。
ずっと年下の青年の、必死で、残酷で、純粋な独占欲。
愚かだと知りながら、新城はその熱に絆され、ゆっくりと「聖域」を明け渡していく――。
「……お前のわがままには、最後まで付き合う」
針が通るその時、二人の関係は一生消えない「共犯」へと変わる。
執着攻め×年上受け、密やかに刻まれる秘め事のお話。
若頭の溺愛は、今日も平常運転です
なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編!
過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。
ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。
だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。
……俺も、ちゃんと応えたい。
笑って泣けて、めいっぱい甘い!
騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー!
※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
お腹いっぱい、召し上がれ
砂ねずみ
BL
料理研究家でαの藤白蒼は幼なじみで10個下のΩ晃と番になった。そんな二人の間に産まれた照は元気いっぱいな男の子。泣いたり、笑ったり、家族の温かみを感じながら藤白家の日常が穏やかに進んでいく。
そんな愛する妻と愛する息子、大切な家族のお腹いっぱい喜ぶ顔が見たいから。蒼は今日も明日もその先も、キッチンに立って腕を振るう。
さあ、お腹いっぱい、召し上がれ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる