146 / 938
7-19
しおりを挟む
これでよし。お弁当を全部食べ終わり、みんなの方に振り向いた。すると、黒崎が廊下を指した。写真はすっぴんのままで撮るのだという。久弥が廊下で待っていてくれているから、急いで外に出た。そして、悠人と囲むようにして写真を撮り終えて、部屋に戻ってきた。悠人も入ってきた。久弥はまた控え室に戻り、仕事の打ち合わせをしている。
「なつきーー。ご飯粒が付いたままだったよーー。久弥が向こうに行った後で気づいたんだーー。もう撮り直しは出来ないみたいだよ」
「ええ?マジで?かっこ悪いなーー。この間もそうだったんだ。なんだよ、黒崎さん、そんな目で見るなよ。どうせお箸の持ち方も悪いし、行儀だって悪いんだ。伊吹お兄ちゃんみたいに、きちんとしていないんだ。ふん……」
「そんな目で見ていない。ほら、じっとしていろ。取ってやる」
「うん」
黒崎が俺の口元に付いたご飯粒を取ってくれた。そして、近くにある椅子に腰掛けて、俺のことをじろじろと見始めた。
「なんだよ~。ガンを飛ばすなよ~」
「お前、どこの子だ。うちの子なら、そう言う言い方をしない。伊吹君だって言わない」
「だって、じろじろ見るんだもん。また痩せたの?」
「いいや、そのTシャツが懐かしかっただけだ」
「ああー、そっか。大学で着ているTシャツだもんね」
そういうことかと納得した。今日着ているTシャツは、トラの顔がプリントされた物だ。最近はすっかり着なくなっているから、今日着てきた。卒業後は休みの日に着たい。黒崎との約束で、大学以外は彼が選んだ服を着ている俺だが、交渉しようと思っている。
悠人はプラセルのブランドのTシャツを着ている。MIDSHIPというブランドのイメージモデルを務めている関係だ。一貴さんがデザイナーとして参加している。今日着ているのは、彼が浜辺で撮った写真が使われている。それをもう少しで着替えることになる。コンサートの物販で出す、TDDのロゴ入りTシャツだ。汗をかいているから、お互いにもう着替えたいねと言った。
「暑いもんねえ。クーラーの風が気持ちいいよ~。お義父さん、寒くない?」
「私なら平気だ。すっかり私のことをお義父さんと呼び慣れたね」
「うん。いつまでも隆さんじゃ変かなって思ったんだ。でも、可愛いと思わない?その呼び方も良いと思うんだ。でも、お義父さんさ、俺のこと、あんまり呼び捨てにしないよね」
「そうでもないよ。息子の夏樹だと呼ばせて貰っているよ。圭一、私達はもう観客席に行こう。忙しそうだ」
「もっとゆっくりしていってよ。行くの?じゃあ、また夜にね!」
「ああ。帰りは迎えに来る」
「うん!」
パタン。お義父さんと黒崎が部屋から出て行った。デビューステージの前の日を思い出す。あの頃は、始終、お義父さんと黒崎が俺に張り付いていたのに、今日は短時間で観客席に戻っていった。自分の成長を感じることが出来た。それを自然とつぶやいた。
「俺、成長したかな?」
「心配を掛けたのは、こっちの方なのよ。ごめんなさいね。急ピッチのデビューで……」
「俺も裕理さんが付き添わなくなったよ。同じだよーー」
「そうだね。部屋には来てくれたんだろ?」
「うん。でも、すぐに観客席に行ったよ」
残ったのは、俺と悠人と長谷部さんだ。久弥との写真撮影が済んだから、時間が空いた。これから取材を受ける。それまでの間に着替えをしてヘアメイクをする。ローザーさん待ちだ。すると、コンコンというノック音がした後、ミカさんが入ってきた。後ろにはローザーさんがいた。今日のヘアスタイルもかっこいい。
「なつきーー。ご飯粒が付いたままだったよーー。久弥が向こうに行った後で気づいたんだーー。もう撮り直しは出来ないみたいだよ」
「ええ?マジで?かっこ悪いなーー。この間もそうだったんだ。なんだよ、黒崎さん、そんな目で見るなよ。どうせお箸の持ち方も悪いし、行儀だって悪いんだ。伊吹お兄ちゃんみたいに、きちんとしていないんだ。ふん……」
「そんな目で見ていない。ほら、じっとしていろ。取ってやる」
「うん」
黒崎が俺の口元に付いたご飯粒を取ってくれた。そして、近くにある椅子に腰掛けて、俺のことをじろじろと見始めた。
「なんだよ~。ガンを飛ばすなよ~」
「お前、どこの子だ。うちの子なら、そう言う言い方をしない。伊吹君だって言わない」
「だって、じろじろ見るんだもん。また痩せたの?」
「いいや、そのTシャツが懐かしかっただけだ」
「ああー、そっか。大学で着ているTシャツだもんね」
そういうことかと納得した。今日着ているTシャツは、トラの顔がプリントされた物だ。最近はすっかり着なくなっているから、今日着てきた。卒業後は休みの日に着たい。黒崎との約束で、大学以外は彼が選んだ服を着ている俺だが、交渉しようと思っている。
悠人はプラセルのブランドのTシャツを着ている。MIDSHIPというブランドのイメージモデルを務めている関係だ。一貴さんがデザイナーとして参加している。今日着ているのは、彼が浜辺で撮った写真が使われている。それをもう少しで着替えることになる。コンサートの物販で出す、TDDのロゴ入りTシャツだ。汗をかいているから、お互いにもう着替えたいねと言った。
「暑いもんねえ。クーラーの風が気持ちいいよ~。お義父さん、寒くない?」
「私なら平気だ。すっかり私のことをお義父さんと呼び慣れたね」
「うん。いつまでも隆さんじゃ変かなって思ったんだ。でも、可愛いと思わない?その呼び方も良いと思うんだ。でも、お義父さんさ、俺のこと、あんまり呼び捨てにしないよね」
「そうでもないよ。息子の夏樹だと呼ばせて貰っているよ。圭一、私達はもう観客席に行こう。忙しそうだ」
「もっとゆっくりしていってよ。行くの?じゃあ、また夜にね!」
「ああ。帰りは迎えに来る」
「うん!」
パタン。お義父さんと黒崎が部屋から出て行った。デビューステージの前の日を思い出す。あの頃は、始終、お義父さんと黒崎が俺に張り付いていたのに、今日は短時間で観客席に戻っていった。自分の成長を感じることが出来た。それを自然とつぶやいた。
「俺、成長したかな?」
「心配を掛けたのは、こっちの方なのよ。ごめんなさいね。急ピッチのデビューで……」
「俺も裕理さんが付き添わなくなったよ。同じだよーー」
「そうだね。部屋には来てくれたんだろ?」
「うん。でも、すぐに観客席に行ったよ」
残ったのは、俺と悠人と長谷部さんだ。久弥との写真撮影が済んだから、時間が空いた。これから取材を受ける。それまでの間に着替えをしてヘアメイクをする。ローザーさん待ちだ。すると、コンコンというノック音がした後、ミカさんが入ってきた。後ろにはローザーさんがいた。今日のヘアスタイルもかっこいい。
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
タトゥーの甘い檻
マリ・シンジュ
BL
執着系わんこ攻(大学生)× 高潔な美形教授受(30代)
どのお話も単体でお楽しみいただけます。
「先生、ここ……僕の瞳を入れるから。ずっと、僕だけを見てて」
真面目な大学教授・新城が、大学生の・羽生にだけ許した、あまりにも淫らな「わがまま」。
それは、誰にも見えない内腿の奥深くに、消えないタトゥーを刻むこと。
「下書き」と称して肌を赤く染めるペン先の冷たさ。
アトリエの無機質なライトの下、四つん這いで晒される大人の矜持。
ずっと年下の青年の、必死で、残酷で、純粋な独占欲。
愚かだと知りながら、新城はその熱に絆され、ゆっくりと「聖域」を明け渡していく――。
「……お前のわがままには、最後まで付き合う」
針が通るその時、二人の関係は一生消えない「共犯」へと変わる。
執着攻め×年上受け、密やかに刻まれる秘め事のお話。
若頭の溺愛は、今日も平常運転です
なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編!
過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。
ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。
だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。
……俺も、ちゃんと応えたい。
笑って泣けて、めいっぱい甘い!
騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー!
※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
お腹いっぱい、召し上がれ
砂ねずみ
BL
料理研究家でαの藤白蒼は幼なじみで10個下のΩ晃と番になった。そんな二人の間に産まれた照は元気いっぱいな男の子。泣いたり、笑ったり、家族の温かみを感じながら藤白家の日常が穏やかに進んでいく。
そんな愛する妻と愛する息子、大切な家族のお腹いっぱい喜ぶ顔が見たいから。蒼は今日も明日もその先も、キッチンに立って腕を振るう。
さあ、お腹いっぱい、召し上がれ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる