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聖河さんとしては、お母さんには、お父さんと裁判をせずに、自分のことを堕胎して、新しい毎日を送れば良かったと思っていたそうだ。過去の男なんか忘れて、前向きにだ。それには話し合いが必要だが、堕胎費用を出して貰えることもない結果だったから、だから、裁判をせずにという形が良かったと思ったそうだ。しかし、お母さんは怒り、お父さんが執行猶予身だと知り、手を緩めるわけも無く、刑務所に入れてやるという意気込みで裁判を続けたそうだ。
その時のお母さんは、いつもと顔が違っていたのだという。山岸家が罠に掛かったとか、山岸家がバカにされたなどの発言があり、あの男を牢屋に入れてやると、まるで男のような声が出て、お父さんにそう言ったそうだ。
何かに取憑かれていると思ったお母さんのお姉さんが、お母さんのことを家とは別のお寺の護摩たきの前に連れて行き、ゆっくりと話を聞いてくれたそうだ。聖河君を産んで良いから、まずは落ち着きなさいと。護摩たきの前で、お腹の子供は男の子で、“聖河”という名前なのだと、お母さんが言ったそうだ。そして、その時のことを、お母さんは覚えているようでそうではないという。
この時の話はお姉さんからお義父さんにしてあり、それでも彼女と付き合いますか?と聞かれたそうだ。時々そうなるのだという。今はそういうことは起きていないが、内田家の遺産相続の話が出たことで、聖河さんとしては、お母さんにまた何か起きるのではないかと心配になっているそうだ。
「お父さん。僕はあなたが人生の中に現われて、不思議と理解しました。ああ、お父さんなんだと。そう呼ばないといけないと思うようになったのは、もっと大きくなった後です。出会った頃の僕は、本当のお父さんがどこに居るのかと聞いたそうですが、どこにもいないという話で納得して、だから、あなたがお父さんになってくれたのだと思うことにしました」
「聖河。本当にすまない。私が悪い。お母さんとは季節ごとに手紙のやり取りをしている。私は彼女の作る和歌が好きで、離れられないと思っている」
「恋だったそうですね。母が言っていました。しかし、ほんの一瞬の出来事だったそうです。でも、あなたは僕のことを放っておけなくて、養子にしたいと言ってくれたんでしょう。でも、僕は養子になるのを断った。そして、あなたのことをお父さんと呼んでいる。今回のことでも頼った。僕が居心地が良いからです。本当の子供が居るのに、僕がお父さんだなんて呼ぶのは良いんですか?圭一君。いいのか?」
「俺は構わない。他の兄貴達も同じだろう。黒崎家の当主や当主の兄弟達は、こうして家を大きくさせていったんだ。親父は赤ん坊の頃からそう言い聞かされるようにして育ち、いかに黒崎家を存続させていくか、大きくさせていくのかを教育されてきている。だから、仕方のないことだ。俺にも妻の他に恋人を作れと言っていたんだぞ。夏樹と出会う前のことだが……」
だから気にするなと、黒崎が言った。そして、俺のことも言い始めた。お義父さんは俺が黒崎が付き合い始めたと知り、開明高校に問い合わせて、俺の高校入学後からの成績のことを、理事会メンバーを通して聞こうとしていたことを打ち明けられている。素行のことは聞かれていないそうだ。お義父さんがこだわっていたのは、作文の内容だったそうだ。
そして、なんとか情報を取り寄せて、中山夏樹という人物がどんなだろうかと調べたわけだ。そして、ごく普通だったからホッとして、お義父さんは、自分に中に起きた猜疑心を恥ずかしいと思ったそうだ。そして、俺のことを黒崎の恋人だと認めて、応援するという気持ちになったそうだ。
このことを、晴海さんはこう言った。可愛がっている末っ子の喜ぶ顔が見たくて、応援するということをしたはずだと。そして、俺に会い、ごめんねという気持ちが起きたに違いないという話だった。黒崎みたいなのに取憑かれて大変だろうという意味だ。それを聞いて俺は笑ってしまい、この家が明るい方向に進むならいいじゃんと言葉を返したことを思い出した。
その時のお母さんは、いつもと顔が違っていたのだという。山岸家が罠に掛かったとか、山岸家がバカにされたなどの発言があり、あの男を牢屋に入れてやると、まるで男のような声が出て、お父さんにそう言ったそうだ。
何かに取憑かれていると思ったお母さんのお姉さんが、お母さんのことを家とは別のお寺の護摩たきの前に連れて行き、ゆっくりと話を聞いてくれたそうだ。聖河君を産んで良いから、まずは落ち着きなさいと。護摩たきの前で、お腹の子供は男の子で、“聖河”という名前なのだと、お母さんが言ったそうだ。そして、その時のことを、お母さんは覚えているようでそうではないという。
この時の話はお姉さんからお義父さんにしてあり、それでも彼女と付き合いますか?と聞かれたそうだ。時々そうなるのだという。今はそういうことは起きていないが、内田家の遺産相続の話が出たことで、聖河さんとしては、お母さんにまた何か起きるのではないかと心配になっているそうだ。
「お父さん。僕はあなたが人生の中に現われて、不思議と理解しました。ああ、お父さんなんだと。そう呼ばないといけないと思うようになったのは、もっと大きくなった後です。出会った頃の僕は、本当のお父さんがどこに居るのかと聞いたそうですが、どこにもいないという話で納得して、だから、あなたがお父さんになってくれたのだと思うことにしました」
「聖河。本当にすまない。私が悪い。お母さんとは季節ごとに手紙のやり取りをしている。私は彼女の作る和歌が好きで、離れられないと思っている」
「恋だったそうですね。母が言っていました。しかし、ほんの一瞬の出来事だったそうです。でも、あなたは僕のことを放っておけなくて、養子にしたいと言ってくれたんでしょう。でも、僕は養子になるのを断った。そして、あなたのことをお父さんと呼んでいる。今回のことでも頼った。僕が居心地が良いからです。本当の子供が居るのに、僕がお父さんだなんて呼ぶのは良いんですか?圭一君。いいのか?」
「俺は構わない。他の兄貴達も同じだろう。黒崎家の当主や当主の兄弟達は、こうして家を大きくさせていったんだ。親父は赤ん坊の頃からそう言い聞かされるようにして育ち、いかに黒崎家を存続させていくか、大きくさせていくのかを教育されてきている。だから、仕方のないことだ。俺にも妻の他に恋人を作れと言っていたんだぞ。夏樹と出会う前のことだが……」
だから気にするなと、黒崎が言った。そして、俺のことも言い始めた。お義父さんは俺が黒崎が付き合い始めたと知り、開明高校に問い合わせて、俺の高校入学後からの成績のことを、理事会メンバーを通して聞こうとしていたことを打ち明けられている。素行のことは聞かれていないそうだ。お義父さんがこだわっていたのは、作文の内容だったそうだ。
そして、なんとか情報を取り寄せて、中山夏樹という人物がどんなだろうかと調べたわけだ。そして、ごく普通だったからホッとして、お義父さんは、自分に中に起きた猜疑心を恥ずかしいと思ったそうだ。そして、俺のことを黒崎の恋人だと認めて、応援するという気持ちになったそうだ。
このことを、晴海さんはこう言った。可愛がっている末っ子の喜ぶ顔が見たくて、応援するということをしたはずだと。そして、俺に会い、ごめんねという気持ちが起きたに違いないという話だった。黒崎みたいなのに取憑かれて大変だろうという意味だ。それを聞いて俺は笑ってしまい、この家が明るい方向に進むならいいじゃんと言葉を返したことを思い出した。
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