青い月の天使~あの日の約束の旋律

夏目奈緖

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14-31

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 14時。

 お義父さんの家に帰ってくると、みんなが大広間に集まり、昼ご飯を食べていたところだった。少し遅めの時間になった。遠藤さんからの差し入れのサンドイッチを午前中に食べたからだ。そして、親子鑑定のことで一貴さんが泣いていたから、みんな食べる気になれず、遠慮してしまった。

 今日の昼ご飯は、山崎さんが作ってくれたちらし寿司だ。ひな祭りが近いということと、アレクシスさんが好きだから用意された。そのアレクシスさんは美味しそうに食べている。まずはハマグリのお吸い物を飲み、ホッとした顔をした。これぞ日本だと言いながら。そして、ちらし寿司を食べ始めて、この家に帰ってきたすると言った。それはヤンキー口調ではなく、とても紳士的な話し方だ。二葉とのお見合いがまだだから、素を隠しておくのだと言っていた。

 しかし、俺は知っている。南波さんの前だからだと。二葉とはもう会って数時間経つから、お見合いはされたようなものだと思う。

「アレクシスさん。普通に話したら?」
「これでも格好をつけたい。久弥君の前でもある」

 今ここには久弥もいる。さっき到着したばかりだ。お土産の田中屋のバターロールと食パンを持って。たくさんあるのは、今日はたくさん人は集まっていると知っているからだ。大きな紙袋の中にはパンがぎっしりと持っていた。

 久弥もヤンキー口調に近いときがある。お母さんからの影響だと言っていた。だから、アレクシスさんも遠慮無くそうすると良いのにと思った。なんだか久弥の前で遠慮がちなのは、オーラに圧倒されたからだという。今のその話題で持ちきりになっている。俺と久弥が並んで座ると、俺がバンドボーカルだと分かるそうだ。

「アレクシスさん。嬉しいよ。これでも俺、歌っているんだって分かって貰えて……」
「初対面で分かったんだぞ。でも、のんびりしているから、お坊ちゃまだと思った。ステージに立っていた君とは思えなくてね」
「よく言われるよ。ああいうときは自分が変化するんだ。ああーー、美味しいなあ」

 俺もハマグリのお吸い物を飲んだ。そして、ちらし寿司に箸を進めた。とても美味しいから思わずうなり上げた。

「うーーーん。この味は俺には出せないなあ……。佐山さんの中華も美味しいし、この家に居ると、自分の家に帰って料理を作る気になれなくなるんだ~」
「夏樹。ここに来るかい?」
「うん。それがいいな。黒崎さんなんか、1人で居れば良いんだ。アンもこっちに連れてくるからさ~」

 その黒崎はさっきまである女性と電話で話していた。田所常務だ。仕事の話だったからヤキモチを妬くわけじゃないが、俺との話し方とえらく違う丁寧さがあり、良い子の仮面を付けているのだと思った。田所常務は黒崎の20代の頃から知っている人であり、黒崎製菓グループの中では彼の味方だ。そんな人がどうして休みの日にと思ったら、黒埼に会いたいという人からの連絡を受けて、日程調整が行われていた。

 その黒埼に会いたいという人は坂藤蘭童さんだ。一貴さんの部屋で話題に出た人物だ。伊吹に子分になれと言った人であり、黒崎としては印象が悪い。今まで接点はなかったが、田所常務を仲介して会いたいとコンタクトをしてきたのは、一貴さんが目的だと思っていると、彼女が言っていた。そうなると、棚橋さんにも通じると思うからと、黒崎としては会わない方がいいのではないかと言っていた。

 その一貴さんは不安がるかと思えば、久弥を前にして鼻の下を伸ばしている。かつて恋をした相手であり、付き合いたいと告白もしてあるそうだ。それは5年前のことだ。ディアドロップの衣装提供の繋がりからパーティーで会い、2人は打ち解けた。後日、一貴さんと深酒になるまでバーで飲んでいた久弥であり、なんと、一貴さんの家に泊まったそうだ。そこで、一貴さんの変態ぶりを知るところになり、さっと離れたそうだ。
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