883 / 938
24-40
しおりを挟む
ハンコを押した後、俺の事情聴取は以上だと言われた。後は黒崎が帰ってきたときにもう一度来るそうだ。警察も大変だ。昨夜から何度も来ているのだから。黒崎が15時半に戻ってくる。飛行機は遅れないだろう。今のところ、どの便にも遅れがないようだ。
そばではお義父さんと長谷部さんが警察と話をしている。防犯カメラで見た侵入者の映像を何度見ても、知り合いには居ないそうだ。長谷部さんの方もIKUの関係者にもいないと言い、やっぱりここの近所に入った泥棒のグループなのではないかと言った。俺達のバンドが恨まれているかと言えばそうではなく、平穏だ。
反対に、この家には何かある。爆破予告メールや殺害予告メールだ。黒崎製菓も標的に入り、避難したことがある。警察は黒崎に詳しい話を聞きたそうにしている。もしかしたら、侵入者が見覚えのある人物では無いかということだ。
「では、私達はこれで……。また夕方に来ます」
「どうもありがとうございました」
警察が帰っていこうとしている。お義父さんの家では一貴さんが事情を聞かれているところだ。しかし、オンライン会議を立て続けにしており、バタバタしていて、それどころではないという感じだった。しかし、俺達のために警察と話をしてくれている。侵入者に見覚えは無いかということだ。一貴さんは覚えが無いと言っていた。
「お義父さん。長谷部さん。カズ兄さんのことが心配だから、見に行くよ。1人で事情聴取を受けているなんて心配だよ」
「夏樹。一貴はあれでも一つの企業を背負っている男だ。しっかしている」
「あれでもって。そうだよねえ。あれでもって感じだよねえ。周りの人に助けられているタイプだよ。また泣いているかも。電話に出られるかな?」
一貴さんのことが心配だ。ヨークもウーリも黒崎家の上空にある宇宙船にいて、一貴さんのそばにいない。会議中だそうだ。彼らは犯人が誰なのか知ってそうだが、教えてくれない感じがした。俺達だけで解決に向かわないといけない。
俺は一貴さんに電話を掛けた。警察がいるだろうが、電話を掛けるのは構わないだろう。すると、1コールで電話に出てくれた。
「もしもし、カズ兄さん。そっちは大丈夫?」
「……夏樹君。僕の方は大丈夫だ。警察とは落ち着いて話が出来ている。これがなかなかいい男で、意気投合したところだ」
「げげげ。何かするなよ~。今から行くからね!」
「もう帰るそうだ。そっちも帰っていったんだろう。……本当に君はいい男だ」
「カズ兄さん。問題を起こすなよ~」
プツ。電話を切った。さっそく俺はお義父さんに向こうの様子を伝えた。一貴さんがプラセルの社長になりきっていて、大人の姿だということを。俺が心配していたのは、子供の姿になるとか、いつもの手が掛かる一貴さんになって泣いているのでは無いかということだ。オンライン会議をしていたから、社長の姿が継続されていたのか。
「俺、向こうの様子を見に行くよ。お茶も飲みたいし」
「そうだな。長谷部さん。良かったらどうぞ」
「いえ、私は会社に戻って、会議に入ります。夏樹君。あなたはゆっくり休んで頂戴」
「うん。ごめんね。日曜なのに……」
「いいのよ。じゃあ、帰りますね」
「うん」
長谷部さんが俺達と一緒に家から出た。そして、庭に停めてある車に乗り込んだ。警察車両はすでに出てて、静けさが戻っていた。俺は恵まれていると思った。こうして心配してくれる人が居るからだ。
ガーーーーー。
長谷部さんの車が門から出て行った。後に残ったのは俺とお義父さんだ。犯人はたまたま入った知らない人だったらいいねと話し合った。そして、向かいの家から佳代子さんが出てきた。何か持って出てきてくれている。それは近所の洋菓子店・カンテールの紙袋であり、中にはケーキが入っていた。お見舞いということだ。
「佳代子さん。ごめんね。気を遣わせたね」
「これぐらいしか出来ないから……」
俺達はありがたくお菓子を受け取った。お昼ご飯のデザートにしようと思う。すると、ユーリーが南波さんを連れて外に出てきた。俺達の声が聞こえなくなったからだという。
「ユーリー。南波さんに何もしてないよね?」
「していない。僕達の関係を警察から聞かれた。親しげに見えたんだろう」
ユーリーが冗談を言った。南波さんが笑っている。それにはホッとした。お義父さんが放送を再開してくれというから、また笑ってくれた。俺にはここに温かい家族が居る。それに感謝して、みんなでお義父さんの家に戻っていった。
そばではお義父さんと長谷部さんが警察と話をしている。防犯カメラで見た侵入者の映像を何度見ても、知り合いには居ないそうだ。長谷部さんの方もIKUの関係者にもいないと言い、やっぱりここの近所に入った泥棒のグループなのではないかと言った。俺達のバンドが恨まれているかと言えばそうではなく、平穏だ。
反対に、この家には何かある。爆破予告メールや殺害予告メールだ。黒崎製菓も標的に入り、避難したことがある。警察は黒崎に詳しい話を聞きたそうにしている。もしかしたら、侵入者が見覚えのある人物では無いかということだ。
「では、私達はこれで……。また夕方に来ます」
「どうもありがとうございました」
警察が帰っていこうとしている。お義父さんの家では一貴さんが事情を聞かれているところだ。しかし、オンライン会議を立て続けにしており、バタバタしていて、それどころではないという感じだった。しかし、俺達のために警察と話をしてくれている。侵入者に見覚えは無いかということだ。一貴さんは覚えが無いと言っていた。
「お義父さん。長谷部さん。カズ兄さんのことが心配だから、見に行くよ。1人で事情聴取を受けているなんて心配だよ」
「夏樹。一貴はあれでも一つの企業を背負っている男だ。しっかしている」
「あれでもって。そうだよねえ。あれでもって感じだよねえ。周りの人に助けられているタイプだよ。また泣いているかも。電話に出られるかな?」
一貴さんのことが心配だ。ヨークもウーリも黒崎家の上空にある宇宙船にいて、一貴さんのそばにいない。会議中だそうだ。彼らは犯人が誰なのか知ってそうだが、教えてくれない感じがした。俺達だけで解決に向かわないといけない。
俺は一貴さんに電話を掛けた。警察がいるだろうが、電話を掛けるのは構わないだろう。すると、1コールで電話に出てくれた。
「もしもし、カズ兄さん。そっちは大丈夫?」
「……夏樹君。僕の方は大丈夫だ。警察とは落ち着いて話が出来ている。これがなかなかいい男で、意気投合したところだ」
「げげげ。何かするなよ~。今から行くからね!」
「もう帰るそうだ。そっちも帰っていったんだろう。……本当に君はいい男だ」
「カズ兄さん。問題を起こすなよ~」
プツ。電話を切った。さっそく俺はお義父さんに向こうの様子を伝えた。一貴さんがプラセルの社長になりきっていて、大人の姿だということを。俺が心配していたのは、子供の姿になるとか、いつもの手が掛かる一貴さんになって泣いているのでは無いかということだ。オンライン会議をしていたから、社長の姿が継続されていたのか。
「俺、向こうの様子を見に行くよ。お茶も飲みたいし」
「そうだな。長谷部さん。良かったらどうぞ」
「いえ、私は会社に戻って、会議に入ります。夏樹君。あなたはゆっくり休んで頂戴」
「うん。ごめんね。日曜なのに……」
「いいのよ。じゃあ、帰りますね」
「うん」
長谷部さんが俺達と一緒に家から出た。そして、庭に停めてある車に乗り込んだ。警察車両はすでに出てて、静けさが戻っていた。俺は恵まれていると思った。こうして心配してくれる人が居るからだ。
ガーーーーー。
長谷部さんの車が門から出て行った。後に残ったのは俺とお義父さんだ。犯人はたまたま入った知らない人だったらいいねと話し合った。そして、向かいの家から佳代子さんが出てきた。何か持って出てきてくれている。それは近所の洋菓子店・カンテールの紙袋であり、中にはケーキが入っていた。お見舞いということだ。
「佳代子さん。ごめんね。気を遣わせたね」
「これぐらいしか出来ないから……」
俺達はありがたくお菓子を受け取った。お昼ご飯のデザートにしようと思う。すると、ユーリーが南波さんを連れて外に出てきた。俺達の声が聞こえなくなったからだという。
「ユーリー。南波さんに何もしてないよね?」
「していない。僕達の関係を警察から聞かれた。親しげに見えたんだろう」
ユーリーが冗談を言った。南波さんが笑っている。それにはホッとした。お義父さんが放送を再開してくれというから、また笑ってくれた。俺にはここに温かい家族が居る。それに感謝して、みんなでお義父さんの家に戻っていった。
0
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中
タトゥーの甘い檻
マリ・シンジュ
BL
執着系わんこ攻(大学生)× 高潔な美形教授受(30代)
どのお話も単体でお楽しみいただけます。
「先生、ここ……僕の瞳を入れるから。ずっと、僕だけを見てて」
真面目な大学教授・新城が、大学生の・羽生にだけ許した、あまりにも淫らな「わがまま」。
それは、誰にも見えない内腿の奥深くに、消えないタトゥーを刻むこと。
「下書き」と称して肌を赤く染めるペン先の冷たさ。
アトリエの無機質なライトの下、四つん這いで晒される大人の矜持。
ずっと年下の青年の、必死で、残酷で、純粋な独占欲。
愚かだと知りながら、新城はその熱に絆され、ゆっくりと「聖域」を明け渡していく――。
「……お前のわがままには、最後まで付き合う」
針が通るその時、二人の関係は一生消えない「共犯」へと変わる。
執着攻め×年上受け、密やかに刻まれる秘め事のお話。
若頭の溺愛は、今日も平常運転です
なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編!
過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。
ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。
だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。
……俺も、ちゃんと応えたい。
笑って泣けて、めいっぱい甘い!
騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー!
※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
お腹いっぱい、召し上がれ
砂ねずみ
BL
料理研究家でαの藤白蒼は幼なじみで10個下のΩ晃と番になった。そんな二人の間に産まれた照は元気いっぱいな男の子。泣いたり、笑ったり、家族の温かみを感じながら藤白家の日常が穏やかに進んでいく。
そんな愛する妻と愛する息子、大切な家族のお腹いっぱい喜ぶ顔が見たいから。蒼は今日も明日もその先も、キッチンに立って腕を振るう。
さあ、お腹いっぱい、召し上がれ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる