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ガーーー。
店から出てきた。ここでお開きの流れになった。満腹になって動きづらいのが恥ずかしい。島川さんの話術に乗せられて楽しくて、どんどん箸が進んだ結果だ。人のせいにしてはいけないのだが。
島川さんから2軒目に行かないか?と誘われた。興味が出たのに、早瀬がサラッと断ってしまった。大学の定期試験を控えているという口実によってだった。
「終わったらどうですか?試験は一週間ぐらいでしょう」
「ゆうとー。どうする?」
早瀬から返事を振られた。並んで立っているのに、顔を近づけて聞いてきた。触れ合いそうなほどだ。ここで頷くと、何をされるか分からない。断っておこう。事件のこともある。
「仕上げたい楽曲があるので、しばらくは集中します」
「そうか。またお誘いします」
これでよし。心の中でため息をついて、2人を見送った。黒崎さんが連れて行った風にも見えた。早瀬が断ったからか。
俺たちも帰ろうと話しかけると、早瀬から強引に肩を抱かれて歩きだした。どこへ行くのかも教えてもらえない。タクシー乗り場を通り越して、一本奥の道へ入った。そこは広場になっていた。何人か通り抜けして歩いている。こんなところへ来てどうするのか。散歩をする時間ではない。寒くてたまらない。
「何かあるの?タクシーは向こうだよ」
「通り抜けたら乗り場がある」
「そっちから乗った方がいいもんねーー」
「方向が分かるのか?アプリで確認したのか?」
「違うよー。京橋駅のデパートが見えているからだよ。歩きながら教えてもらったんだ」
「ここへ来るまで、2人で居たのか?」
「うん。チョコを選んでいたよ。え?なに?」
「聞いていないぞ」
「あの……」
早瀬に詳しいことを話していなかった。約束を破った俺のことを、たまたま同時に会った島川さんがフォローしたと思っていたそうだ。一緒に回ってチョコレートを選んでいたと話した。そして、島川さんがそそっかしい面があり、失敗したから、励ましたことも話そうと思った。
「島川さんって、そそっかしい人なんだよ。一度失敗すると慌てて、またやるんだ。俺と同じだねって話して、盛り上がったんだ」
「だから打ち解けていたのか」
「あああ……」
話すたびに眉をひそめられた。約束を破ったのは謝ったのに。失礼なこともしていない。どうしてここまで詰められるのか?何が悪いのか教えてほしい。こんな寒い場所で向かい合っても仕方ないのに。マンションへ帰ろうよと言うと、頬をグリグリ撫でられて、鼻もつままれた。
「んんっ、なんだよーー」
「もっと警戒しろ。ずいぶん前に教えたはずだ。覚えているか?」
「うん……。痴漢に遭わないように……。ナンパされないように……」
「ここで言ってみろ。覚えているんだろう?」
なんて意地悪な言い方なのか。苛立った気持ちを抑え込んで答えた。カフェで声を掛けられても返事をしないこと。隣に座ったら店を出ること。相手が追いかけて来たら、通路のど真ん中で話して断ること。車両では背を向けないことを。
「まだある。案内しようか?と声を掛けられたケースだ。断れと教えたぞ」
「今回は違うよ!夏樹に紹介されたし、黒崎さんのお兄さんだもん。待ち合わせまで一緒に居ただけだし、おかげで話が弾んだよ!なんで悪いんだよ。あああ……」
早瀬の身体が動き、咄嗟に目を閉じた。すると、グリーン系の匂いが鼻をくすぐり、優しく抱きしめられた。ごめんという謝罪付きだ。
「白状する。面白くない。俺の気持ちを考えてくれ」
「今朝は違うことを言っていたのに……」
「見た時に腹が立った。あんなに楽しそうにするな」
ぎゅっと力が入った。驚いて腕を下ろしたままだ。それを悪い方に受け取ったようで、ごめんと囁かれた。抱き返すと、頬ずりをされた。
大人として失礼のないようにした。早瀬が恥ずかしい思いをする。それを説明すると、思い切り拗ねた声で返された。そのぶっきらぼうな言い方に、ズッコケそうになった。
「げえええ……。子供還りするなよー」
「うるさい」
「ひいいい……。人格まで変えるなよー」
「もう黙れ」
強引な言い方をしたわりには、優しくキスされた。帰ったら抱いてもいいか?と、寂しそうに言われたから素直に頷いた。こんなに独占欲を出されることが珍しい。
分かったよ。仲直りしようねと言って手を繋いでやると、急に機嫌を直した。島川さんに妬いたのか?ストレートに聞いてやった。
その答えはNOだった。思いきり嫌な顔をしたくせに。こっちは思いきり笑ってブルーキックをしてやり、目の前にあるタクシー乗り場に歩いて行った。
島川さんと親しくなれて良かったじゃないか。タクシーの中でそれを言った時には、早瀬の機嫌は直っていた。表に出さないようにしたのかも知れない。しかし、またごめんと謝られたから、気にするなよと答えた。
マンションに帰った後は、早瀬は元通りになっていた。妬いてもらえたのが嬉しい。それを言うとエロいことを言われそうだから黙っておき、仲直りをして、ベッドに入って寝た。
店から出てきた。ここでお開きの流れになった。満腹になって動きづらいのが恥ずかしい。島川さんの話術に乗せられて楽しくて、どんどん箸が進んだ結果だ。人のせいにしてはいけないのだが。
島川さんから2軒目に行かないか?と誘われた。興味が出たのに、早瀬がサラッと断ってしまった。大学の定期試験を控えているという口実によってだった。
「終わったらどうですか?試験は一週間ぐらいでしょう」
「ゆうとー。どうする?」
早瀬から返事を振られた。並んで立っているのに、顔を近づけて聞いてきた。触れ合いそうなほどだ。ここで頷くと、何をされるか分からない。断っておこう。事件のこともある。
「仕上げたい楽曲があるので、しばらくは集中します」
「そうか。またお誘いします」
これでよし。心の中でため息をついて、2人を見送った。黒崎さんが連れて行った風にも見えた。早瀬が断ったからか。
俺たちも帰ろうと話しかけると、早瀬から強引に肩を抱かれて歩きだした。どこへ行くのかも教えてもらえない。タクシー乗り場を通り越して、一本奥の道へ入った。そこは広場になっていた。何人か通り抜けして歩いている。こんなところへ来てどうするのか。散歩をする時間ではない。寒くてたまらない。
「何かあるの?タクシーは向こうだよ」
「通り抜けたら乗り場がある」
「そっちから乗った方がいいもんねーー」
「方向が分かるのか?アプリで確認したのか?」
「違うよー。京橋駅のデパートが見えているからだよ。歩きながら教えてもらったんだ」
「ここへ来るまで、2人で居たのか?」
「うん。チョコを選んでいたよ。え?なに?」
「聞いていないぞ」
「あの……」
早瀬に詳しいことを話していなかった。約束を破った俺のことを、たまたま同時に会った島川さんがフォローしたと思っていたそうだ。一緒に回ってチョコレートを選んでいたと話した。そして、島川さんがそそっかしい面があり、失敗したから、励ましたことも話そうと思った。
「島川さんって、そそっかしい人なんだよ。一度失敗すると慌てて、またやるんだ。俺と同じだねって話して、盛り上がったんだ」
「だから打ち解けていたのか」
「あああ……」
話すたびに眉をひそめられた。約束を破ったのは謝ったのに。失礼なこともしていない。どうしてここまで詰められるのか?何が悪いのか教えてほしい。こんな寒い場所で向かい合っても仕方ないのに。マンションへ帰ろうよと言うと、頬をグリグリ撫でられて、鼻もつままれた。
「んんっ、なんだよーー」
「もっと警戒しろ。ずいぶん前に教えたはずだ。覚えているか?」
「うん……。痴漢に遭わないように……。ナンパされないように……」
「ここで言ってみろ。覚えているんだろう?」
なんて意地悪な言い方なのか。苛立った気持ちを抑え込んで答えた。カフェで声を掛けられても返事をしないこと。隣に座ったら店を出ること。相手が追いかけて来たら、通路のど真ん中で話して断ること。車両では背を向けないことを。
「まだある。案内しようか?と声を掛けられたケースだ。断れと教えたぞ」
「今回は違うよ!夏樹に紹介されたし、黒崎さんのお兄さんだもん。待ち合わせまで一緒に居ただけだし、おかげで話が弾んだよ!なんで悪いんだよ。あああ……」
早瀬の身体が動き、咄嗟に目を閉じた。すると、グリーン系の匂いが鼻をくすぐり、優しく抱きしめられた。ごめんという謝罪付きだ。
「白状する。面白くない。俺の気持ちを考えてくれ」
「今朝は違うことを言っていたのに……」
「見た時に腹が立った。あんなに楽しそうにするな」
ぎゅっと力が入った。驚いて腕を下ろしたままだ。それを悪い方に受け取ったようで、ごめんと囁かれた。抱き返すと、頬ずりをされた。
大人として失礼のないようにした。早瀬が恥ずかしい思いをする。それを説明すると、思い切り拗ねた声で返された。そのぶっきらぼうな言い方に、ズッコケそうになった。
「げえええ……。子供還りするなよー」
「うるさい」
「ひいいい……。人格まで変えるなよー」
「もう黙れ」
強引な言い方をしたわりには、優しくキスされた。帰ったら抱いてもいいか?と、寂しそうに言われたから素直に頷いた。こんなに独占欲を出されることが珍しい。
分かったよ。仲直りしようねと言って手を繋いでやると、急に機嫌を直した。島川さんに妬いたのか?ストレートに聞いてやった。
その答えはNOだった。思いきり嫌な顔をしたくせに。こっちは思いきり笑ってブルーキックをしてやり、目の前にあるタクシー乗り場に歩いて行った。
島川さんと親しくなれて良かったじゃないか。タクシーの中でそれを言った時には、早瀬の機嫌は直っていた。表に出さないようにしたのかも知れない。しかし、またごめんと謝られたから、気にするなよと答えた。
マンションに帰った後は、早瀬は元通りになっていた。妬いてもらえたのが嬉しい。それを言うとエロいことを言われそうだから黙っておき、仲直りをして、ベッドに入って寝た。
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