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ヒューーー……。
風が吹き込んできた。なんとも不思議な光景だ。ひょんなことで知り合い同士が集まり、動画撮影に協力をしている。しかも、観たこともない映像を撮るために。湾沿いから、さらに風が吹き込んできた。着ているTシャツが突風に揺れた。俺の心の中も騒めいている。
撮影アングルを確認した藤沢が監督になり、如月に立ち位置を指示している。桑園さんはというと、どんな絵にするのか構想を練っている。ここで撮っている動画が生中継として、今も動画配信専門サイトで流れている状況だ。
「誰が見ているの?この数字が……。5500人も見ているの?」
「桑園怜の名前を出しているからじゃないか?テレビにも出ている人だ。ああ、始まったぞ」
藤沢と如月がスタンバイした。桑園さんからの呼びかけで歩いて来て、鼻の棒を引き抜く段階になった。その役目を藤沢が引き受けた。白い2本の棒に触れて、かけ声に合わせて引く。しかし、桑園さんが先に痛みで悲鳴をあげてしまった。触っただけなのに。これが見所という話だ。
「いったーい!一気に引っ張ってよ!」
「藤沢君、一気にしてあげて」
早瀬が笑っている。藤沢が困ったなあという顔になった。どうしたら痛くなく引っ張れるかと考えているようだ。如月が、一気に引くしかないと言った。桑園さんが頷いている。
「せーのー、こわーいっ、悠人君、たすけてーっ」
「あああ……。ひいいいいっ」
「せぇーのーー!ちょっと待って!いやーー、痛い!」
目を閉じているうちに、引っこ抜かれていた。ああすっきりしたと桑園さんが言い、笑顔になった。俺以外のメンバーが笑っている。桑園さんの皮膚の状態が心配だ。
「ありがとう。おかげで盛り上がったよ」
「とんでもないです。俺達も面白かったです」
和気あいあいとした自己紹介が始まり、藤沢が桑園さんへ、憧れていると言った。高校生の時に、夏樹を通して一度会ったことがあるそうだ。桑園さんの方も、藤沢のことを覚えていた。藤沢が感激して顔を赤くしている。こんな姿を初めて見た。
「島川さんが見たら笑いそうだなあ」
「そうだね。でもなあ……」
「どうしたの?」
「実は……」
早瀬が桑園さんに、島川さんが骨折して入院していることを伝えた。すると、個人的にまだ知り合っていないから、事務所の方からお見舞いをすることを、桑園さんが早瀬に話していた。それぞれに立場があり、自由に付き合いが出来ないようだ。
(島川さんが、なかなか親しい人ができなくて寂しいって話していたな。こういうことかな?)
「裕理さん。島川さん、桑園さんに会えたら喜ぶよね。前に言っていたんだ。憧れているデザイナーさんがいるって。桑園さんのことだと思うんだ」
「そんな話をしたのか。聞いていないぞ?」
「少しだけだよー。怪我がなかったら会食に出られたのにって言っていたよね。着物ブランドの提携もしたいって言っていたんだ」
「それだけ込み入った話を……。ゆうとくーん。ごめん、冗談だから」
「もうーーっ」
8割は本気のはずだ。早瀬の眉間が動いたからだ。許す代わりとして、一つ提案した。桑園さんに頼んで、島川さんにメッセージ動画を撮って貰うことを。これなら立場を気にしなくていい。他の人が見ていないからだ。
「いいアイデアだね。会った時の話のネタになる」
桑園さんがOKしてくれた。そこで、”お会い出来るのを楽しみにしています”と言い、カメラに向かって笑顔を向けた。早速、動画を島川さんへ送信した。その後、和気わいあいと話しているうちに丁度いい時間になり、藤沢たちと別れた。
風が吹き込んできた。なんとも不思議な光景だ。ひょんなことで知り合い同士が集まり、動画撮影に協力をしている。しかも、観たこともない映像を撮るために。湾沿いから、さらに風が吹き込んできた。着ているTシャツが突風に揺れた。俺の心の中も騒めいている。
撮影アングルを確認した藤沢が監督になり、如月に立ち位置を指示している。桑園さんはというと、どんな絵にするのか構想を練っている。ここで撮っている動画が生中継として、今も動画配信専門サイトで流れている状況だ。
「誰が見ているの?この数字が……。5500人も見ているの?」
「桑園怜の名前を出しているからじゃないか?テレビにも出ている人だ。ああ、始まったぞ」
藤沢と如月がスタンバイした。桑園さんからの呼びかけで歩いて来て、鼻の棒を引き抜く段階になった。その役目を藤沢が引き受けた。白い2本の棒に触れて、かけ声に合わせて引く。しかし、桑園さんが先に痛みで悲鳴をあげてしまった。触っただけなのに。これが見所という話だ。
「いったーい!一気に引っ張ってよ!」
「藤沢君、一気にしてあげて」
早瀬が笑っている。藤沢が困ったなあという顔になった。どうしたら痛くなく引っ張れるかと考えているようだ。如月が、一気に引くしかないと言った。桑園さんが頷いている。
「せーのー、こわーいっ、悠人君、たすけてーっ」
「あああ……。ひいいいいっ」
「せぇーのーー!ちょっと待って!いやーー、痛い!」
目を閉じているうちに、引っこ抜かれていた。ああすっきりしたと桑園さんが言い、笑顔になった。俺以外のメンバーが笑っている。桑園さんの皮膚の状態が心配だ。
「ありがとう。おかげで盛り上がったよ」
「とんでもないです。俺達も面白かったです」
和気あいあいとした自己紹介が始まり、藤沢が桑園さんへ、憧れていると言った。高校生の時に、夏樹を通して一度会ったことがあるそうだ。桑園さんの方も、藤沢のことを覚えていた。藤沢が感激して顔を赤くしている。こんな姿を初めて見た。
「島川さんが見たら笑いそうだなあ」
「そうだね。でもなあ……」
「どうしたの?」
「実は……」
早瀬が桑園さんに、島川さんが骨折して入院していることを伝えた。すると、個人的にまだ知り合っていないから、事務所の方からお見舞いをすることを、桑園さんが早瀬に話していた。それぞれに立場があり、自由に付き合いが出来ないようだ。
(島川さんが、なかなか親しい人ができなくて寂しいって話していたな。こういうことかな?)
「裕理さん。島川さん、桑園さんに会えたら喜ぶよね。前に言っていたんだ。憧れているデザイナーさんがいるって。桑園さんのことだと思うんだ」
「そんな話をしたのか。聞いていないぞ?」
「少しだけだよー。怪我がなかったら会食に出られたのにって言っていたよね。着物ブランドの提携もしたいって言っていたんだ」
「それだけ込み入った話を……。ゆうとくーん。ごめん、冗談だから」
「もうーーっ」
8割は本気のはずだ。早瀬の眉間が動いたからだ。許す代わりとして、一つ提案した。桑園さんに頼んで、島川さんにメッセージ動画を撮って貰うことを。これなら立場を気にしなくていい。他の人が見ていないからだ。
「いいアイデアだね。会った時の話のネタになる」
桑園さんがOKしてくれた。そこで、”お会い出来るのを楽しみにしています”と言い、カメラに向かって笑顔を向けた。早速、動画を島川さんへ送信した。その後、和気わいあいと話しているうちに丁度いい時間になり、藤沢たちと別れた。
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