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18-9(悠人視点)
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ゆうとーー!
名前を呼ばれたが振り返ることなく走った。今、黒崎家の庭に居る。春になり、花壇にはチューリップが咲き乱れている。本来なら歩いて回るところだ。こんな風に通り過ぎていくなんて思わなかった。
お屋敷が見えてきて、ひと部屋だけ窓が全開になっていた。一階のリビングの部屋だ。テラス窓から入ろうか?いや止めておこう。冷静な自分がいる。しかし、額には汗がにじんでいる。
玄関を入ると、お手伝いさんが来た。夏樹たちはダイニングにいるという。そこで早瀬に追いつかれて、怒りをにじませた姿に臆した。島川さんに殴りかかろうとしているのかも知れない。すがりついて止めたが、歩みを止める気配がない。
「俺が言うから!」
「俺がそうする。俺の責任だ」
「だめだって!」
どんどん部屋が近づいてきた。シンと静まり返った中、俺たちの話し声だけが響いている。この騒ぎを聞けば、驚いて出て来るのではないのか?しかし、一向にその気配がない。夏樹に何か起きたのか?想像したくもない事態が頭をよぎった。
先に部屋のドアを開くと、島川さんと夏樹の姿があった。時間がゆっくりと流れて、一つの動作がスローモーションのようだ。島川さんは驚く様子もなく、笑ってもいなかった。そして、静かに目を閉じていた。
俺たちに背を向ける形で夏樹が座っていて、こっちを振り返った。その顔を見た瞬間、背中がゾクッと冷たくなった。左目だけが赤く染まり、怒りをまとった姿をしていたからだ。
震えて声が出ない。島川さんは一体何がしたいのか。相手を嫌い、敵に見立てて攻撃する。母のことでは頼んでもいない。自分勝手に暴れているだけだ。子供時代に母親から傷つけられた結果か?
それでも人を傷つけるのは筋違いだ。どんな犯罪でも容認されることになる。自分勝手に欲望を満たしている。今の島川さんはそういう人だ。
「あんたは最低の人間だ!!」
夏樹のことを助けるよりも先に身体が動き、右手の拳を握りしめた。目の前のテーブルへ叩きつけるだけだ。この状況でも、人に暴力は振るってはいけない。夏樹は身じろぎしない。島川さんを一点に見つめて言った。
「お兄ちゃん、腹をくくれよ」
「悠人!だめだ!」
早瀬から右手を降ろされた。そして、押しのけられたはずみで、後ろに転がった。
すると、島川さんが俺のことを見た。泣いていた。だったらこんなことをするなと思った。これが彼の本当の姿なのか?隠されているのか、そうしているのか。
そして、背後に人影が出来た後、俺たちの前に飛び出してきた。それは黒崎家のお父さんだった。早瀬へ抱きつくようにして止めた後、島川さんを庇うように立った。
ーーわたしが全て悪い。
お父さんがそう言った後、島川さんの両目から涙が溢れた。これで終わったと感じた。彼にとっての悪い夢が。すぐには許せなくても、友達に戻れると思った。
島川さんが夏樹から抱きしめられて、すがりつくようにしていた。黒崎さんが飛び込んできた後、夏樹のそばへ行った。遅くなった。怪我はしていないか?息は苦しくないか?と言いながら。
その光景を、早瀬から抱きしめられたままで見ていた。そして、遠藤さんが入って来た後、真っ先に俺の元へ来てくれた。遅くなったと言って。
「悠人君!怪我は無いか?」
「……っ」
ありがとうと、抱きつくことで返事をした。遠藤さんから強く抱きしめられた。その身体は温かかった。
名前を呼ばれたが振り返ることなく走った。今、黒崎家の庭に居る。春になり、花壇にはチューリップが咲き乱れている。本来なら歩いて回るところだ。こんな風に通り過ぎていくなんて思わなかった。
お屋敷が見えてきて、ひと部屋だけ窓が全開になっていた。一階のリビングの部屋だ。テラス窓から入ろうか?いや止めておこう。冷静な自分がいる。しかし、額には汗がにじんでいる。
玄関を入ると、お手伝いさんが来た。夏樹たちはダイニングにいるという。そこで早瀬に追いつかれて、怒りをにじませた姿に臆した。島川さんに殴りかかろうとしているのかも知れない。すがりついて止めたが、歩みを止める気配がない。
「俺が言うから!」
「俺がそうする。俺の責任だ」
「だめだって!」
どんどん部屋が近づいてきた。シンと静まり返った中、俺たちの話し声だけが響いている。この騒ぎを聞けば、驚いて出て来るのではないのか?しかし、一向にその気配がない。夏樹に何か起きたのか?想像したくもない事態が頭をよぎった。
先に部屋のドアを開くと、島川さんと夏樹の姿があった。時間がゆっくりと流れて、一つの動作がスローモーションのようだ。島川さんは驚く様子もなく、笑ってもいなかった。そして、静かに目を閉じていた。
俺たちに背を向ける形で夏樹が座っていて、こっちを振り返った。その顔を見た瞬間、背中がゾクッと冷たくなった。左目だけが赤く染まり、怒りをまとった姿をしていたからだ。
震えて声が出ない。島川さんは一体何がしたいのか。相手を嫌い、敵に見立てて攻撃する。母のことでは頼んでもいない。自分勝手に暴れているだけだ。子供時代に母親から傷つけられた結果か?
それでも人を傷つけるのは筋違いだ。どんな犯罪でも容認されることになる。自分勝手に欲望を満たしている。今の島川さんはそういう人だ。
「あんたは最低の人間だ!!」
夏樹のことを助けるよりも先に身体が動き、右手の拳を握りしめた。目の前のテーブルへ叩きつけるだけだ。この状況でも、人に暴力は振るってはいけない。夏樹は身じろぎしない。島川さんを一点に見つめて言った。
「お兄ちゃん、腹をくくれよ」
「悠人!だめだ!」
早瀬から右手を降ろされた。そして、押しのけられたはずみで、後ろに転がった。
すると、島川さんが俺のことを見た。泣いていた。だったらこんなことをするなと思った。これが彼の本当の姿なのか?隠されているのか、そうしているのか。
そして、背後に人影が出来た後、俺たちの前に飛び出してきた。それは黒崎家のお父さんだった。早瀬へ抱きつくようにして止めた後、島川さんを庇うように立った。
ーーわたしが全て悪い。
お父さんがそう言った後、島川さんの両目から涙が溢れた。これで終わったと感じた。彼にとっての悪い夢が。すぐには許せなくても、友達に戻れると思った。
島川さんが夏樹から抱きしめられて、すがりつくようにしていた。黒崎さんが飛び込んできた後、夏樹のそばへ行った。遅くなった。怪我はしていないか?息は苦しくないか?と言いながら。
その光景を、早瀬から抱きしめられたままで見ていた。そして、遠藤さんが入って来た後、真っ先に俺の元へ来てくれた。遅くなったと言って。
「悠人君!怪我は無いか?」
「……っ」
ありがとうと、抱きつくことで返事をした。遠藤さんから強く抱きしめられた。その身体は温かかった。
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