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2-9(夏樹視点)
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18時半。
晩ご飯の支度をしているところだ。さっき黒崎から、これから帰るとラインが入った。黒崎はよく食べる人だ。10個もおむすびを食べたことがあったぐらいだ。毎日多めに作ったおかずを用意して、炊飯器もフル活動している。
「今夜は豚肉の生姜焼き、九条ネギの酢味噌あえ、ほうれん草の白和え、トマトの和風サラダ、なめこのみそ汁。厚焼き玉子……。よし、ご飯も炊けたっと。黒崎さんって、心配性だなあ。俺のことが好きだって事だよね。ヒョーーーッ」
お味噌汁を作っている最中なのに、感極まって声を上げてしまった。そのせいで、溶いていた味噌が沈み込んでしまった。
「はあ……、さい箸でかき混ぜよう」
グルグルとさい箸で味噌をかき混ぜていると、アンが玄関へ走って行った。どうやら、タクシーが家の前で停まったようだ。さっと手を洗った後、玄関へ迎えに行った。
玄関を開けると、門の外灯が点いた。その向こうには、タクシーのランプが見えていた。
バタン。ドアが閉まる音がした。黒崎が門を開けている姿が見えたから、玄関から飛び出して、彼の元へと走って行った。
「……帰ってきた!」
門を閉めている後ろ姿をめがけてダイブした。
「おかえりー!」
「おっと……っ」
黒崎の背中にとびつくと、苦笑しながら彼が振り返った。俺はそのまま抱きついた。すり寄せた頬には、コートの生地の感触があった。朝出かけた時とは違う、いろんな匂いを感じた。
「黒崎さーん!お疲れ様!」
「ただいま。今日は心配したぞ。雨と雷で……」
「平気だよ。ありがとう……」
疲れているだろうに、真っ先に俺の心配をしている。ついでに小言も聞かされた。
「走っていいのは、変な奴に付けられている時だけだ」
「だって、つい……」
「心配だ。こら、離れろ。歩きづらい」
「だったら、クルクル回ってよ~」
背中にしがみついたままで要求してやった。すると、笑い声が聞こえてきて、頭を軽く撫でられた。
「リビングで回ってやる。家の中に入れてくれ」
「いいよ~」
背中から離れた後、鞄とコートを受け取ろうとすると、片方の手に紙袋が下げられていることに気づいた。それは電気屋さんのものだった。
「何か買ってきたんだね?」
「これは土産だ。新しいホットサンドメーカーを欲しがっていただろう?」
「わあー。開けてもいい?」
「入ってからにしろ」
苦笑しながら背中を押された。俺も黒崎の背中をグイグイ押して、家の中へと連れて行った。
晩ご飯の支度をしているところだ。さっき黒崎から、これから帰るとラインが入った。黒崎はよく食べる人だ。10個もおむすびを食べたことがあったぐらいだ。毎日多めに作ったおかずを用意して、炊飯器もフル活動している。
「今夜は豚肉の生姜焼き、九条ネギの酢味噌あえ、ほうれん草の白和え、トマトの和風サラダ、なめこのみそ汁。厚焼き玉子……。よし、ご飯も炊けたっと。黒崎さんって、心配性だなあ。俺のことが好きだって事だよね。ヒョーーーッ」
お味噌汁を作っている最中なのに、感極まって声を上げてしまった。そのせいで、溶いていた味噌が沈み込んでしまった。
「はあ……、さい箸でかき混ぜよう」
グルグルとさい箸で味噌をかき混ぜていると、アンが玄関へ走って行った。どうやら、タクシーが家の前で停まったようだ。さっと手を洗った後、玄関へ迎えに行った。
玄関を開けると、門の外灯が点いた。その向こうには、タクシーのランプが見えていた。
バタン。ドアが閉まる音がした。黒崎が門を開けている姿が見えたから、玄関から飛び出して、彼の元へと走って行った。
「……帰ってきた!」
門を閉めている後ろ姿をめがけてダイブした。
「おかえりー!」
「おっと……っ」
黒崎の背中にとびつくと、苦笑しながら彼が振り返った。俺はそのまま抱きついた。すり寄せた頬には、コートの生地の感触があった。朝出かけた時とは違う、いろんな匂いを感じた。
「黒崎さーん!お疲れ様!」
「ただいま。今日は心配したぞ。雨と雷で……」
「平気だよ。ありがとう……」
疲れているだろうに、真っ先に俺の心配をしている。ついでに小言も聞かされた。
「走っていいのは、変な奴に付けられている時だけだ」
「だって、つい……」
「心配だ。こら、離れろ。歩きづらい」
「だったら、クルクル回ってよ~」
背中にしがみついたままで要求してやった。すると、笑い声が聞こえてきて、頭を軽く撫でられた。
「リビングで回ってやる。家の中に入れてくれ」
「いいよ~」
背中から離れた後、鞄とコートを受け取ろうとすると、片方の手に紙袋が下げられていることに気づいた。それは電気屋さんのものだった。
「何か買ってきたんだね?」
「これは土産だ。新しいホットサンドメーカーを欲しがっていただろう?」
「わあー。開けてもいい?」
「入ってからにしろ」
苦笑しながら背中を押された。俺も黒崎の背中をグイグイ押して、家の中へと連れて行った。
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