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俺達が頼んだ定食がクリスマス仕様になっていた。ミニデザートがついていて、そのカップケーキには、プラスチックのモミの木が刺さっていた。アイシングもされていて、凝っていると思って、嬉しくなった。
さっそく写真を撮り、黒崎に送った。本当は悠人も写った写真も送りたいけれど、今の彼は落ち込んでいるから、やめておいた方が良いだろうと思った。そこで、俺が黒崎に、悠人と早瀬さんが喧嘩をしたようだと書いて送った。その返信はすぐにあった。そうだろうと思ったと書いてあった。
早瀬さんはこれからも忙しくなる。3本の出張が決まっている。この間、佳代子さんから聞いた。出張中で寂しいようなら、うちに泊まりにおいでと、悠人に声をかけたところだと。悠人は遠藤さん達と仲良くなり、早瀬さんとよくご飯を食べに行っている。帰りに、うちに寄ってくれている。気晴らしに泊まりに行くといいと思った。早瀬さんも安心だろう。うちにも泊まりに来てくれることになっている。
「美味しそうだなあ。ゆうとー、写真を送ると良いよ」
「うん」
悠人がスマホを操作している間、俺は茶碗蒸しを食べた。これが食べたかったという味だ。俺は小食の方だから、たくさん食べられない。だからおかずの多いセットを頼むことが多い。それなら色んな物を食べられるからだ。向かいにいる悠人の料理はたくさんある。大盛りご飯はおかわりする予定だろう。悠人が早瀬さんにラインを送ったようで、さっそく食べ始めた。
「この出汁加減だよ~。うんうん」
「和風チキン南蛮のタレも美味しいよ。なつきーー、一口どうぞ」
「ありがとう。悠人もお刺身を食べてみてよ。あ、このチキン南蛮、美味しいね!」
「大根おろしのソースが掛かっているんだ。凝っているよね」
「このボリュームと味で、この価格か~。リピーターが多いわけだよ」
「また来たいね。来月は風邪対策ランチだって」
「へえ。和洋折衷のメニューだねえ。来ようか」
「今月、夏樹の家に泊まらせてくれるだろ?その日に行きたい」
「そうしようか。森本達も誘おうよ」
「もちろんだよ」
「遠藤さんから家に泊まりにおいでって言われているんだろ?」
「うん。でも、悪いかなって」
「そんなことないよ。来て欲しそうだったよ」
「じゃあ、裕理さんが出張の日に泊まりに行こうかな」
「リクとも遊べるし」
「うん。裕理さんが出張なのは寂しいけど。あ……」
「どうしたんだよ?」
「寂しいって言ったらいけないね……」
「ゆうとーー……」
悠人がこう言った。早瀬さんに遠慮しているのだと。それはすれ違いの原因になりそうだ。俺が黒崎と付き合い始めた頃、そうだった。お互いに相手にしてあげたいことをやるようになり、それが薄れていった。悠人には同じ思いをしてほしくない。
「悠人。遠慮はいけないよ。寂しいなら、そう言わないといけないよ。早瀬さんは困らないと思うんだ。今、時間を作ろうとしてくれているんだと思う」
「でも、俺、足手まといかなって」
「そんなことないよ!」
そんなことは言ってはいけない。そう言うと、悠人が頷いた。そこで俺は、俺と黒崎がお互いに遠慮し合っていた頃の話をした。すると、だんだんと悠人の口から、早瀬さんに対する文句が出てきた。俺も黒崎のことを言ってやった。束縛が強いのだと。そして、俺達はお互いのパートナーの愚痴の言い合いになり、笑い合いながら、ご飯を食べた。
さっそく写真を撮り、黒崎に送った。本当は悠人も写った写真も送りたいけれど、今の彼は落ち込んでいるから、やめておいた方が良いだろうと思った。そこで、俺が黒崎に、悠人と早瀬さんが喧嘩をしたようだと書いて送った。その返信はすぐにあった。そうだろうと思ったと書いてあった。
早瀬さんはこれからも忙しくなる。3本の出張が決まっている。この間、佳代子さんから聞いた。出張中で寂しいようなら、うちに泊まりにおいでと、悠人に声をかけたところだと。悠人は遠藤さん達と仲良くなり、早瀬さんとよくご飯を食べに行っている。帰りに、うちに寄ってくれている。気晴らしに泊まりに行くといいと思った。早瀬さんも安心だろう。うちにも泊まりに来てくれることになっている。
「美味しそうだなあ。ゆうとー、写真を送ると良いよ」
「うん」
悠人がスマホを操作している間、俺は茶碗蒸しを食べた。これが食べたかったという味だ。俺は小食の方だから、たくさん食べられない。だからおかずの多いセットを頼むことが多い。それなら色んな物を食べられるからだ。向かいにいる悠人の料理はたくさんある。大盛りご飯はおかわりする予定だろう。悠人が早瀬さんにラインを送ったようで、さっそく食べ始めた。
「この出汁加減だよ~。うんうん」
「和風チキン南蛮のタレも美味しいよ。なつきーー、一口どうぞ」
「ありがとう。悠人もお刺身を食べてみてよ。あ、このチキン南蛮、美味しいね!」
「大根おろしのソースが掛かっているんだ。凝っているよね」
「このボリュームと味で、この価格か~。リピーターが多いわけだよ」
「また来たいね。来月は風邪対策ランチだって」
「へえ。和洋折衷のメニューだねえ。来ようか」
「今月、夏樹の家に泊まらせてくれるだろ?その日に行きたい」
「そうしようか。森本達も誘おうよ」
「もちろんだよ」
「遠藤さんから家に泊まりにおいでって言われているんだろ?」
「うん。でも、悪いかなって」
「そんなことないよ。来て欲しそうだったよ」
「じゃあ、裕理さんが出張の日に泊まりに行こうかな」
「リクとも遊べるし」
「うん。裕理さんが出張なのは寂しいけど。あ……」
「どうしたんだよ?」
「寂しいって言ったらいけないね……」
「ゆうとーー……」
悠人がこう言った。早瀬さんに遠慮しているのだと。それはすれ違いの原因になりそうだ。俺が黒崎と付き合い始めた頃、そうだった。お互いに相手にしてあげたいことをやるようになり、それが薄れていった。悠人には同じ思いをしてほしくない。
「悠人。遠慮はいけないよ。寂しいなら、そう言わないといけないよ。早瀬さんは困らないと思うんだ。今、時間を作ろうとしてくれているんだと思う」
「でも、俺、足手まといかなって」
「そんなことないよ!」
そんなことは言ってはいけない。そう言うと、悠人が頷いた。そこで俺は、俺と黒崎がお互いに遠慮し合っていた頃の話をした。すると、だんだんと悠人の口から、早瀬さんに対する文句が出てきた。俺も黒崎のことを言ってやった。束縛が強いのだと。そして、俺達はお互いのパートナーの愚痴の言い合いになり、笑い合いながら、ご飯を食べた。
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