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ここは素直に謝るしかない。こんなにガキだったとは。恥ずかしくてたまらない。もっとオブラートに包んで言ったほうがいいのにと、当時の自分に言いたくなった。
「えーっと……。黒崎さん、俺……」
「連れ去り。営利目的の誘拐とまで言われた」
「う……っ」
「ブレないおじさん。若い子が好き。夜な夜な女を求めてさまよい歩く吸血鬼」
「ごめんね!悪気があったわけじゃないと思う。すごくガキだったし、失礼なヤツだったよ。あれはさあ……、黒崎さんのことを好きになる努力をしようと思って……」
「寝言で呟いていたぞ?」
「ええ?」
「はっきり聞こえた」
「あの……」
至近距離で見つめられている。手にした青ネギを取られて、カゴに入れられた。後ずさりをしようにも出来る状況ではない。背後には、ミカンの陳列棚があるからだ。右側へ一歩引くと、退路を断たれた。左側へ動くと段ボールがあるから逃げられない。
「寝言までは責任が持てないよ……」
「深層心理では、そう思っているということだな」
「いや、マジでそう思って……」
「夏樹……」
「う、うん。頬っぺたをつねっていいよ。左側もどうぞ……」
「あれは可愛らしかった。好きになったきっかけの一つだ」
「え?」
「そういうことだ」
その言い方まで優しかった。胸がキュンと痛くなり、抱きつこうとした。それなのに、黒崎は笑顔を消して歩き出してしまった。いつもの外での素っ気ない人に戻った。
スタスタと歩いて行く後ろ姿を追いかけて、コートのベルトを引いた。笑顔で振り返ってくれたが、全く歩くスピードを変えない。
「もう一回、言ってよ~」
「なんのことだ?」
「好きなったキッカケ。可愛らしかったっていうヤツだよ」
「34歳の物忘れがひどいオジサンだ。もう忘れた」
「都合がいい時だけだろ~?」
「政治家とも言われたな」
意地悪そうな顔をしているのは想像がつく。それでもいいから、腕に絡みついてぶら下がるようにしてやった。今日は珍しく、俺の方が機嫌を取っている。黒崎はいつもこんな気持ちになっているのかと思った。
「こら、歩きづらい」
「そんなに早く歩くなよー」
「さっさと済ませろ」
「せっかく来たんだから、特売とか見たいんだよ。ここのドラッグストアにも行きたいし」
「買う洗剤は決まっているだろう?カートがつきにくい。離れておけ」
口で言うほど嫌がっていないことは分かっている。歩くスピードを緩めたからだ。本当はもっと早足なのに。あえて言わずに腕に抱きついて、わざと離れてあげないようにした。
「えーっと……。黒崎さん、俺……」
「連れ去り。営利目的の誘拐とまで言われた」
「う……っ」
「ブレないおじさん。若い子が好き。夜な夜な女を求めてさまよい歩く吸血鬼」
「ごめんね!悪気があったわけじゃないと思う。すごくガキだったし、失礼なヤツだったよ。あれはさあ……、黒崎さんのことを好きになる努力をしようと思って……」
「寝言で呟いていたぞ?」
「ええ?」
「はっきり聞こえた」
「あの……」
至近距離で見つめられている。手にした青ネギを取られて、カゴに入れられた。後ずさりをしようにも出来る状況ではない。背後には、ミカンの陳列棚があるからだ。右側へ一歩引くと、退路を断たれた。左側へ動くと段ボールがあるから逃げられない。
「寝言までは責任が持てないよ……」
「深層心理では、そう思っているということだな」
「いや、マジでそう思って……」
「夏樹……」
「う、うん。頬っぺたをつねっていいよ。左側もどうぞ……」
「あれは可愛らしかった。好きになったきっかけの一つだ」
「え?」
「そういうことだ」
その言い方まで優しかった。胸がキュンと痛くなり、抱きつこうとした。それなのに、黒崎は笑顔を消して歩き出してしまった。いつもの外での素っ気ない人に戻った。
スタスタと歩いて行く後ろ姿を追いかけて、コートのベルトを引いた。笑顔で振り返ってくれたが、全く歩くスピードを変えない。
「もう一回、言ってよ~」
「なんのことだ?」
「好きなったキッカケ。可愛らしかったっていうヤツだよ」
「34歳の物忘れがひどいオジサンだ。もう忘れた」
「都合がいい時だけだろ~?」
「政治家とも言われたな」
意地悪そうな顔をしているのは想像がつく。それでもいいから、腕に絡みついてぶら下がるようにしてやった。今日は珍しく、俺の方が機嫌を取っている。黒崎はいつもこんな気持ちになっているのかと思った。
「こら、歩きづらい」
「そんなに早く歩くなよー」
「さっさと済ませろ」
「せっかく来たんだから、特売とか見たいんだよ。ここのドラッグストアにも行きたいし」
「買う洗剤は決まっているだろう?カートがつきにくい。離れておけ」
口で言うほど嫌がっていないことは分かっている。歩くスピードを緩めたからだ。本当はもっと早足なのに。あえて言わずに腕に抱きついて、わざと離れてあげないようにした。
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