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17時。
会議室から次々と参加者が出て行く。今から出てもエレベーターが混雑しているだろうから、時間をズラしておく。
会議室の壁際に立っていると、如月がやって来た。さっきまで枝川さんと話していた。初日のグループワークの感想を聞かされていた。佐伯は誰かに話しかけられていた。
「夏樹、おまたせ!」
「いいよ、まだエレベーターが混んでるし……」
「そうだな。……佐伯はどこだ?」
「あれ?帰ったのかな?」
会議室内にいないようだ。ここを出た後で、今度こそ連絡先の交換をしようと言っていたのに。キョロキョロしながら廊下へ出て探した。なんせ人が多いから見つからない。
「トイレかなー?」
人だかりの向こうを見ると、佐伯の姿を見つけた。数人と一緒に立っていた。その子達を見て足が止まった。初日の昼休憩で一緒だったグループだからだ。あまりいい空気が流れていない。たしか友達付き合いを切られていたはずだ。佐伯が囲まれている。何か問題が起きたのだろう。そう思うより先に体が反応して、彼らの元へ向かおうとした。
「佐伯が囲まれてるよ。行ってくるから」
「夏樹、俺が行く」
「じゃあ一緒に行こう。急ごうね」
6人が佐伯を取り囲んでいた。大嫌いなパターンに苛立ちが起きた。俺達たちに気づいていないから、よっぽどヒートアップしているようだ。佐伯は怯えることなく立っている。
取り込んでいるメンバーが、口々に因縁をつけている。昼休憩の時とは反対だ。一緒にご飯を食べに行こうと人懐っこく笑っていたのに。あれは自分達に対する仮面だったのか。一瞬でも行きたいと思ったことが恥ずかしい。
「お前のせいで覚えられたぞ」
「足、引っ張んなってー」
「何か言えよー」
「……ちゃんと謝って許してもらえたよ」
「はああ?親の名前があるからだろー?帰らされた奴は違うから!」
「そうだぞ。内定決まってるだろ?佐伯って……」
どこかで耳にした内容だ。ほんの数か月前の説明会で、自分が向けられた理不尽な言葉だ。さらに気分が苛立った。あの時は言い返したが、今回は違う方法を取る。要は佐伯を連れ出せればいい。何も言わずにグループの中に入り込んだ。メンバーが驚いた顔をしていたけれど、反応せずに、佐伯の肩を抱いて囲まれた中から連れ出した。
「佐伯、帰ろう」
「……」
佐伯も戸惑っていた。それでも気にせずに歩き出そうとすると、予想通りに声が掛けられた。
「目的達成かよ。佐伯ってさ……」
「俺も友達になりたいよー」
「夏樹、先に行け」
如月から促されたが、ここへ置いて行くわけにはいかない。このままでは巻き込まれる可能性があるからだ。何も言わずに、如月のこともエレベーターの方へ促した。振り返ることなく歩いて行くと、負け惜しみの声が聞こえなくなっていた。他の人の話し声が混ざったり、遠ざかったりしただけが理由ではないだろう。
エレベーターランプが1階を表示していた。下のボタンを押したつもりが、『上』を押してしまった。このことで2人から笑いが漏れた。さらに如月からのツッコミが入った。
「夏樹、そのボケは狙いか?」
「ナチュラルだよ」
天然とかボケとか、はっきり言う子だ。こういうのが気持ちがいい。『下』を押し直して到着を待った。すると、佐伯が言った。
「さっきはありがとう。情けないところを見せたね……」
「そんなことないよ。しっかり立ってたじゃん。言い返しもしてたし」
エレベーターが到着した、3人で乗り込んだ。大丈夫だよと、佐伯の肩を抱きながら。
会議室から次々と参加者が出て行く。今から出てもエレベーターが混雑しているだろうから、時間をズラしておく。
会議室の壁際に立っていると、如月がやって来た。さっきまで枝川さんと話していた。初日のグループワークの感想を聞かされていた。佐伯は誰かに話しかけられていた。
「夏樹、おまたせ!」
「いいよ、まだエレベーターが混んでるし……」
「そうだな。……佐伯はどこだ?」
「あれ?帰ったのかな?」
会議室内にいないようだ。ここを出た後で、今度こそ連絡先の交換をしようと言っていたのに。キョロキョロしながら廊下へ出て探した。なんせ人が多いから見つからない。
「トイレかなー?」
人だかりの向こうを見ると、佐伯の姿を見つけた。数人と一緒に立っていた。その子達を見て足が止まった。初日の昼休憩で一緒だったグループだからだ。あまりいい空気が流れていない。たしか友達付き合いを切られていたはずだ。佐伯が囲まれている。何か問題が起きたのだろう。そう思うより先に体が反応して、彼らの元へ向かおうとした。
「佐伯が囲まれてるよ。行ってくるから」
「夏樹、俺が行く」
「じゃあ一緒に行こう。急ごうね」
6人が佐伯を取り囲んでいた。大嫌いなパターンに苛立ちが起きた。俺達たちに気づいていないから、よっぽどヒートアップしているようだ。佐伯は怯えることなく立っている。
取り込んでいるメンバーが、口々に因縁をつけている。昼休憩の時とは反対だ。一緒にご飯を食べに行こうと人懐っこく笑っていたのに。あれは自分達に対する仮面だったのか。一瞬でも行きたいと思ったことが恥ずかしい。
「お前のせいで覚えられたぞ」
「足、引っ張んなってー」
「何か言えよー」
「……ちゃんと謝って許してもらえたよ」
「はああ?親の名前があるからだろー?帰らされた奴は違うから!」
「そうだぞ。内定決まってるだろ?佐伯って……」
どこかで耳にした内容だ。ほんの数か月前の説明会で、自分が向けられた理不尽な言葉だ。さらに気分が苛立った。あの時は言い返したが、今回は違う方法を取る。要は佐伯を連れ出せればいい。何も言わずにグループの中に入り込んだ。メンバーが驚いた顔をしていたけれど、反応せずに、佐伯の肩を抱いて囲まれた中から連れ出した。
「佐伯、帰ろう」
「……」
佐伯も戸惑っていた。それでも気にせずに歩き出そうとすると、予想通りに声が掛けられた。
「目的達成かよ。佐伯ってさ……」
「俺も友達になりたいよー」
「夏樹、先に行け」
如月から促されたが、ここへ置いて行くわけにはいかない。このままでは巻き込まれる可能性があるからだ。何も言わずに、如月のこともエレベーターの方へ促した。振り返ることなく歩いて行くと、負け惜しみの声が聞こえなくなっていた。他の人の話し声が混ざったり、遠ざかったりしただけが理由ではないだろう。
エレベーターランプが1階を表示していた。下のボタンを押したつもりが、『上』を押してしまった。このことで2人から笑いが漏れた。さらに如月からのツッコミが入った。
「夏樹、そのボケは狙いか?」
「ナチュラルだよ」
天然とかボケとか、はっきり言う子だ。こういうのが気持ちがいい。『下』を押し直して到着を待った。すると、佐伯が言った。
「さっきはありがとう。情けないところを見せたね……」
「そんなことないよ。しっかり立ってたじゃん。言い返しもしてたし」
エレベーターが到着した、3人で乗り込んだ。大丈夫だよと、佐伯の肩を抱きながら。
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