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俺は黒崎のことを守り、余計なおせっかいをすると決めている。今日は日曜日だから、ママの教室は休みのはずだ。
「ママに聞いてみるよ。引越しの話を聞いたけど、手伝うことはないか?って理由で……」
「俺から話をする。大ごとにならないとも限らない。逃げ出すような形でもいいから、都内へ来るように言ってある」
「そこまでこじれているんだね……」
「母親の味方しか出来ない。小さい男だろう?」
「そんなことないよ。倉口さんはママの連れて行った人だからね。あんたは悪くないよ」
黒崎にとっては母親を奪った男だ。お義父さんからも。幸せに暮らせていないなら、どうして連れて行ったのかと言いたくもなるだろう。
「嫁さんが活躍するのが面白くない男がいる。それを利用する男もいるそうだ。それが理解できない。結婚したなら責任を持つものだ。活躍する本人の悩みは尽きない。それを支えるものだろう……」
「あんたには責任放棄の発想がないよね。でもさ、活躍を応援するの?俺のことを外に出したくないのに?どっちだよー?」
「お前は特別だ。危なっかしいから外に出さない」
黒崎が肩を揺らして笑った。すると、正午になり、ニュース番組が終わった。朝ごはんが遅めだったから、まだお腹が空いていない。もう少し後で食事へ出かけるのに。
「昼ご飯は軽めに食べたいよ。晩ご飯が入らなくなるから」
「おやつを食べるな。そうすれば食えるはずだ」
「家事の合間の楽しみなんだよ~。洗濯機をまわしている間の……」
「分かっている……。支度をしておく」
黒崎が起き上がった。俺も着替えようと立ち上がったところで、大事な用を思い出した。このままだと、ママと話をしないだろう。お互いに立ち止まっている。
「俺がママに電話をするからね。倉口さんが一緒にいるかな?ヤバイかな……」
「分からない。ラインにしておけ。都合がいい時に折り返しがあるだろう」
「うん、そうするよ。あ、押しちゃった」
電話をかけるところだったから、連絡先を開きっぱなしにしていた。すでに発信音が聞こえている。短い呼び出し音の後、すぐにママの声が聞こえて来た。なんだか様子が変だ。
「こんにちは。忙しいかな?黒崎さんから聞いたんだけど……」
「ありがとう。その件は進んでいるわ。圭一とは、続きの話ができなくて……」
「遠慮しないでよ。実はママに構ってほしいんだ。大人ぶっていてもさ……」
「そんなことは……、やめて!」
「ママ?どうしたんだよ?」
「ちょっと……」
大きな物音と同時に、男性の声が聞こえて来た。倉口さんだろう。どうも様子がおかしい。小声しか聞こえないが、喧嘩をしているように感じた。
「都合のいい時に掛け直してくれたら……」
「……何をするの!」
「ママー、どうしたの?」
「……どうしたんだ?」
「向こうが変なんだ。喧嘩をしているよ」
「……かわってくれ」
電話口の向こうからは、ママと男性の言い争う声が聞こえてきた。大声で怒鳴り散らしているのは、やっぱり倉口さんだろう。黒崎が電話を奪い取るようにして話しかけた。
「外に逃げろ!」
「……やめて。……外に」
「このまま電話を切るな」
「……もう大丈夫よ」
「迎えを寄越せるかもしれない。とにかく逃げろ」
男性の声がしなくなった。そして、大きな物音と一緒に、玄関のドアが閉まるような音が聞こえてきた。ママは外に出られただろうか?
「お父さんに行ってもらうよ!暴力を振るわれたなら、証人がいた方がいいから」
「待て。沙耶に連絡を取る。万理ちゃんの受験に響くといけない」
黒崎が沙耶さんに電話をかけ始めた。すぐに繋がった後、事情を説明し始めた。幸いなことに、外出先から近いという。すぐに向かうと言ってもらえた。
「沙耶さん一人じゃ危ないよ」
「熊澤さんと一緒だ。デート中だったそうだ」
「後で謝ろうね」
「一泊分の支度を手伝ってくれ。飛行機の手配をする。ママの家に行く」
「うん。分かった」
「お前は家に居ろ」
「うん……」
明日は平日だ。日帰りになることを予想しつつ、荷物の支度を始めた。
「ママに聞いてみるよ。引越しの話を聞いたけど、手伝うことはないか?って理由で……」
「俺から話をする。大ごとにならないとも限らない。逃げ出すような形でもいいから、都内へ来るように言ってある」
「そこまでこじれているんだね……」
「母親の味方しか出来ない。小さい男だろう?」
「そんなことないよ。倉口さんはママの連れて行った人だからね。あんたは悪くないよ」
黒崎にとっては母親を奪った男だ。お義父さんからも。幸せに暮らせていないなら、どうして連れて行ったのかと言いたくもなるだろう。
「嫁さんが活躍するのが面白くない男がいる。それを利用する男もいるそうだ。それが理解できない。結婚したなら責任を持つものだ。活躍する本人の悩みは尽きない。それを支えるものだろう……」
「あんたには責任放棄の発想がないよね。でもさ、活躍を応援するの?俺のことを外に出したくないのに?どっちだよー?」
「お前は特別だ。危なっかしいから外に出さない」
黒崎が肩を揺らして笑った。すると、正午になり、ニュース番組が終わった。朝ごはんが遅めだったから、まだお腹が空いていない。もう少し後で食事へ出かけるのに。
「昼ご飯は軽めに食べたいよ。晩ご飯が入らなくなるから」
「おやつを食べるな。そうすれば食えるはずだ」
「家事の合間の楽しみなんだよ~。洗濯機をまわしている間の……」
「分かっている……。支度をしておく」
黒崎が起き上がった。俺も着替えようと立ち上がったところで、大事な用を思い出した。このままだと、ママと話をしないだろう。お互いに立ち止まっている。
「俺がママに電話をするからね。倉口さんが一緒にいるかな?ヤバイかな……」
「分からない。ラインにしておけ。都合がいい時に折り返しがあるだろう」
「うん、そうするよ。あ、押しちゃった」
電話をかけるところだったから、連絡先を開きっぱなしにしていた。すでに発信音が聞こえている。短い呼び出し音の後、すぐにママの声が聞こえて来た。なんだか様子が変だ。
「こんにちは。忙しいかな?黒崎さんから聞いたんだけど……」
「ありがとう。その件は進んでいるわ。圭一とは、続きの話ができなくて……」
「遠慮しないでよ。実はママに構ってほしいんだ。大人ぶっていてもさ……」
「そんなことは……、やめて!」
「ママ?どうしたんだよ?」
「ちょっと……」
大きな物音と同時に、男性の声が聞こえて来た。倉口さんだろう。どうも様子がおかしい。小声しか聞こえないが、喧嘩をしているように感じた。
「都合のいい時に掛け直してくれたら……」
「……何をするの!」
「ママー、どうしたの?」
「……どうしたんだ?」
「向こうが変なんだ。喧嘩をしているよ」
「……かわってくれ」
電話口の向こうからは、ママと男性の言い争う声が聞こえてきた。大声で怒鳴り散らしているのは、やっぱり倉口さんだろう。黒崎が電話を奪い取るようにして話しかけた。
「外に逃げろ!」
「……やめて。……外に」
「このまま電話を切るな」
「……もう大丈夫よ」
「迎えを寄越せるかもしれない。とにかく逃げろ」
男性の声がしなくなった。そして、大きな物音と一緒に、玄関のドアが閉まるような音が聞こえてきた。ママは外に出られただろうか?
「お父さんに行ってもらうよ!暴力を振るわれたなら、証人がいた方がいいから」
「待て。沙耶に連絡を取る。万理ちゃんの受験に響くといけない」
黒崎が沙耶さんに電話をかけ始めた。すぐに繋がった後、事情を説明し始めた。幸いなことに、外出先から近いという。すぐに向かうと言ってもらえた。
「沙耶さん一人じゃ危ないよ」
「熊澤さんと一緒だ。デート中だったそうだ」
「後で謝ろうね」
「一泊分の支度を手伝ってくれ。飛行機の手配をする。ママの家に行く」
「うん。分かった」
「お前は家に居ろ」
「うん……」
明日は平日だ。日帰りになることを予想しつつ、荷物の支度を始めた。
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