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ステージに立った。これから2曲を演奏する。今回は屋内ホールのため、見上げた先にある青空は存在しない。観客席から見上げても、天井しかない。杉本先生からのアドバイスを思い浮かべた。
(……屋内ホールは、演奏の音が反響して混ざり合う。野外は周りに向けて歓声と音楽が広がるけど、屋内は返ってくる。響いてくるリズムに引っ張られるから、ボーカルがズレてくる。……ベースのリズムに集中すること。ギターフレーズを気にするのは、ソロを弾いている時のみ。構成がしっかりしているから自信を持つ。そう心に置くこと……)
ステージの構成を話し合った結果、メンバー同士の動きに注目してもらうことにした。一緒に演奏している気分になってもらうのが狙いだ。
「……エントリーNo.8!IRON ANGELーー!」
ワーーーー!
一気に歓声が大きくなった。初めて観てくれる人ばかりだろう。こんな風に迎えられた。ここまでされたなら、期待に応えたい。結果はどうでもいい。このステージをみんなと共有できるといい。そのお手伝いをする。
ステージ中央で、ポジショニングをした。派手な登場はしない。照明効果を利用するためだ。ドラム音が鳴る前に、ヴォーカルとしての第一声を張り上げた。
「‥……夏椿の天使ーー!」
ダダダダ……!
煽りの最後に差し掛かり、ドラム音が鳴り響いた。ベース音とサイドギターの縁の下の力持ちが、どっしり音を響かせた。そして、リードギターの派手な旋律が広がった。
「同じ空をみてーー、Angel ofーー。その手を握ることが、……show you the light defineーー!」
ホールの奥に響かせるようなイメージで、高音域の歌声をあげた。背後からは赤い光線が差し込まれている。観客の姿が観えなくなり、まるで自分が立っている場所まで分からなくなりそうだ。
ベースのリズムを意識するように歌声をあげた。もう何度も歌っているから、リズムが体に刻み着いている。
(こんなにも音の広がりが違うのか……。後ろって、反響しているよね。自分が行ったライブだとそうだった。ちゃんと聴こえない。それなら、後ろの人に声を掛けよう!)
間奏に入り、ギターソロも入らないタイミングで、ヴォーカルとしての煽りを入れる構成だ。ここでマイクを遠ざけて大声をあげた。シャウトに近いものだ。
「……2階!こうほうーーー!トリャーー!」
ワーーー!
大人しかった2階席から歓声が上がった。座っていた観客が立ち上がり、ジャンプを始めた。そのタイミングで藤沢のギターソロが始まり、前方に移動してきた。さらに、聡太郎のソロに切り替わった。
歓声とステージからの音が混ざって聴こえる。イヤモニを着けているのに、大して聴こえない。それどころか、音が重なって聴こえてきた。
(……ヤバイ!!ゆうとー。ああ、間に合いそう!)
悠人がそばに来てくれた。さらにアイコンタクトを受けた。これで間に合う。ここで合いの手を入れておく。
「……エンジェルーー!まだまだいけるかーー!おらあーー!……I was afraid to get lostーー」
うちわを振りかざした時、大型カメラが下から上がってきた。観客席の方には大型モニターがあり、俺の姿が出ていた。うちわがアップになると、観客から笑いと歓声が起きた。さらに盛り上げよう。悠人と向かい合わせになった。
(なつきーー、せーーのーー!)
(せーーのーー!)
悠人とリズムに合わせてジャンプをした。そして、このまま一気に駆け抜けて、一曲目が終了した。
(……屋内ホールは、演奏の音が反響して混ざり合う。野外は周りに向けて歓声と音楽が広がるけど、屋内は返ってくる。響いてくるリズムに引っ張られるから、ボーカルがズレてくる。……ベースのリズムに集中すること。ギターフレーズを気にするのは、ソロを弾いている時のみ。構成がしっかりしているから自信を持つ。そう心に置くこと……)
ステージの構成を話し合った結果、メンバー同士の動きに注目してもらうことにした。一緒に演奏している気分になってもらうのが狙いだ。
「……エントリーNo.8!IRON ANGELーー!」
ワーーーー!
一気に歓声が大きくなった。初めて観てくれる人ばかりだろう。こんな風に迎えられた。ここまでされたなら、期待に応えたい。結果はどうでもいい。このステージをみんなと共有できるといい。そのお手伝いをする。
ステージ中央で、ポジショニングをした。派手な登場はしない。照明効果を利用するためだ。ドラム音が鳴る前に、ヴォーカルとしての第一声を張り上げた。
「‥……夏椿の天使ーー!」
ダダダダ……!
煽りの最後に差し掛かり、ドラム音が鳴り響いた。ベース音とサイドギターの縁の下の力持ちが、どっしり音を響かせた。そして、リードギターの派手な旋律が広がった。
「同じ空をみてーー、Angel ofーー。その手を握ることが、……show you the light defineーー!」
ホールの奥に響かせるようなイメージで、高音域の歌声をあげた。背後からは赤い光線が差し込まれている。観客の姿が観えなくなり、まるで自分が立っている場所まで分からなくなりそうだ。
ベースのリズムを意識するように歌声をあげた。もう何度も歌っているから、リズムが体に刻み着いている。
(こんなにも音の広がりが違うのか……。後ろって、反響しているよね。自分が行ったライブだとそうだった。ちゃんと聴こえない。それなら、後ろの人に声を掛けよう!)
間奏に入り、ギターソロも入らないタイミングで、ヴォーカルとしての煽りを入れる構成だ。ここでマイクを遠ざけて大声をあげた。シャウトに近いものだ。
「……2階!こうほうーーー!トリャーー!」
ワーーー!
大人しかった2階席から歓声が上がった。座っていた観客が立ち上がり、ジャンプを始めた。そのタイミングで藤沢のギターソロが始まり、前方に移動してきた。さらに、聡太郎のソロに切り替わった。
歓声とステージからの音が混ざって聴こえる。イヤモニを着けているのに、大して聴こえない。それどころか、音が重なって聴こえてきた。
(……ヤバイ!!ゆうとー。ああ、間に合いそう!)
悠人がそばに来てくれた。さらにアイコンタクトを受けた。これで間に合う。ここで合いの手を入れておく。
「……エンジェルーー!まだまだいけるかーー!おらあーー!……I was afraid to get lostーー」
うちわを振りかざした時、大型カメラが下から上がってきた。観客席の方には大型モニターがあり、俺の姿が出ていた。うちわがアップになると、観客から笑いと歓声が起きた。さらに盛り上げよう。悠人と向かい合わせになった。
(なつきーー、せーーのーー!)
(せーーのーー!)
悠人とリズムに合わせてジャンプをした。そして、このまま一気に駆け抜けて、一曲目が終了した。
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