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17時半。
日が暮れてきて、全体の客層が入れ替わってきた。大学生や仕事帰りの人達が増えてきて、落ち着いた感じのフロアへ足を向ける人が多い。高校生グループはお菓子の家の方へ遊びに行き、賑やかな笑い声が聞こえて来た。
俺と悠人はカフェコーナーで珈琲を飲みながら、まったりとした時間を過ごしている。悠人が小さなワッフルの3つ目を食べた。とてもおいしそうに食べるからなのか、通りかかった人達がワッフルのお店へ並んだ。
今夜は早瀨さんとどこへ外食に行くのかと聞くと、悠人が神妙な面持ちに変わった。早瀬さんの変態的な言動に悩んでいるという話だった。
「……裕理さんに何が欲しいのか聞いたら、やってほしいことがあるって言われたんだ。浴衣を着崩してベッドに座ってほしいって……」
「それは前から言われていることだよね?他に何かあるんだろ?」
「うん。だだだだ……終わった後には……」
「大根……、すり終わった後?」
「違うよーー。抱かれた後も浴衣を着崩して、朝まで寝てくれっていう要望なんだ!」
勢いよく立ち上って打ち明けたことで、周りの視線を浴びてしまった。それに気づいた悠人が顔を真っ赤にして俯いた。悠人の気を紛らそう。何か面白いものはないかと見回すと、人力メリーゴーランドが片づけ作業に入っていた。何か別のものが始まるだろうか。
「メリーゴーランドのところに行こうよ。また何か始まるかも」
「そうだねーー。疲れているから交代するよね」
ガサガサ……。
容器を片付けていると、すぐ近くから声を掛けられた。ジューススタンドの傍から藤沢が手を振ってきて、理久と如月が後ろから歩いて来た。
「藤沢たちも来てたんだねー。いつから?」
「ついさっきだよ。ライブの最後の方だけ観られたよ。一緒にやりたかったよ」
「3人が揃っているのを初めて見たよ」
理久と如月と藤沢の組み合わせを見るのは初めてだ。すっかり仲が良くなったようだ。すると、藤沢が行った。
「理久君と如月がインターンシップで知り合って、俺も仲間入りして集まっているんだよ」
「おおーー。藤沢は人気者だねー」
「どうしたの?ああ……。こんにちは!」
藤沢の周りに女性達が集まっていた。仕事帰りといった感じの人達だ。彼がジュエリーブランド起用された後、さらに有名になった。藤沢は全く動じることなく、彼女たちに微笑みかけて手を振っている。かっこいい。その人波が落ち着いた後、藤沢が言った。
「5人で回らない?……あ、そろそろ帰るのか。黒崎さんとデートなんだね。悠人は早瀨さんと。いいなあ……」
「ふじさわー。君こそモテるだろー?」
「ううん。好きな子には振り向いてもらえない。……夏樹、どうしたの?」
「紹介したい子がいるんだ。そろそろ着くんだけどね」
出入口の方を向くと、ぞくぞくと入場してきた人の中に、二葉の姿を見つけた。こっちに住んでいる友達と来ている。この距離からでも、黒崎の妹だと分かるぐらいに似ている。二葉を見て、悠人があんぐりと口を開けて驚いている。見分けがつかないとまで言い出した。
「186センチと170センチ。体格差もあるのに?」
「ド迫力だからだよー」
「本人は好きで迫力を出していないよ~。悩んでいるんだ。うんうん。……ごめん。謝らなくて構わないよ。イジってあげてよ。そんなに人付き合いが上手じゃないそうなんだ……。だから俺と気が合っているんだ」
「ふむふむ……」
「おーい。二葉ちゃん!こっちだよーー」
「夏樹君、遅くなってごめん!こんにちはー」
二葉がみんなに軽く会釈をした。一緒に来ているのは北岡さんという、中学時代からの友達だった。都内の大学生だという。二葉の背中に手を添えて笑っている。さっそくみんなに紹介した。
「黒崎さんの妹だよ。大学3年生。都内に引っ越してきたんだ」
「初めまして。倉口二葉です」
「はじめまして!久田悠人です。お兄さんにはお世話になっています」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
悠人は女性に優しくすると決めている。普段はそそっかしい子が紳士的な振る舞いを始めて、俺と藤沢が吹き出した。それでも悠人は笑顔を保って理久を紹介し、如月が自己紹介した。
「倉口さんって、黒崎製菓のコンテストで入賞されませんでしたか?俺は如月涼介です。……千尋製菓にも出していたよね。入賞したよね?」
「はい。如月さんも入賞されていましたよね?」
「うん!そうなんだ!よかったら話さない?」
「でも、みんなと回った方が……。あの、佐伯君は……」
「……2つに分かれよう。30分後に合流はどう?」
藤沢がとっさに気を利かせて促した。如月が二葉を連れて向こうへ行った。二葉が笑っていたから大丈夫だろう。藤沢は理久達と会場を回るそうだ。
(さっき、理久君に声をかけようとしていたなあ……)
たぶん、二葉は理久に声をかけようとしていた。その理久が浮かない顔になっている。知り合いではないと言った。
「倉口さんとは後で話すよ!……あのメリーゴーランドが面白そうだね?」
「もうすぐ店じまいだよ。今のうちに見てきたら?」
「そうだね!みんな、行こうよ」
理久がぱっと顔を明るくさせて、先を急ぐようにメリーゴーランドへと走って行った。このタイミングで別れた後、ちょうど黒崎たちが迎えに来た。
日が暮れてきて、全体の客層が入れ替わってきた。大学生や仕事帰りの人達が増えてきて、落ち着いた感じのフロアへ足を向ける人が多い。高校生グループはお菓子の家の方へ遊びに行き、賑やかな笑い声が聞こえて来た。
俺と悠人はカフェコーナーで珈琲を飲みながら、まったりとした時間を過ごしている。悠人が小さなワッフルの3つ目を食べた。とてもおいしそうに食べるからなのか、通りかかった人達がワッフルのお店へ並んだ。
今夜は早瀨さんとどこへ外食に行くのかと聞くと、悠人が神妙な面持ちに変わった。早瀬さんの変態的な言動に悩んでいるという話だった。
「……裕理さんに何が欲しいのか聞いたら、やってほしいことがあるって言われたんだ。浴衣を着崩してベッドに座ってほしいって……」
「それは前から言われていることだよね?他に何かあるんだろ?」
「うん。だだだだ……終わった後には……」
「大根……、すり終わった後?」
「違うよーー。抱かれた後も浴衣を着崩して、朝まで寝てくれっていう要望なんだ!」
勢いよく立ち上って打ち明けたことで、周りの視線を浴びてしまった。それに気づいた悠人が顔を真っ赤にして俯いた。悠人の気を紛らそう。何か面白いものはないかと見回すと、人力メリーゴーランドが片づけ作業に入っていた。何か別のものが始まるだろうか。
「メリーゴーランドのところに行こうよ。また何か始まるかも」
「そうだねーー。疲れているから交代するよね」
ガサガサ……。
容器を片付けていると、すぐ近くから声を掛けられた。ジューススタンドの傍から藤沢が手を振ってきて、理久と如月が後ろから歩いて来た。
「藤沢たちも来てたんだねー。いつから?」
「ついさっきだよ。ライブの最後の方だけ観られたよ。一緒にやりたかったよ」
「3人が揃っているのを初めて見たよ」
理久と如月と藤沢の組み合わせを見るのは初めてだ。すっかり仲が良くなったようだ。すると、藤沢が行った。
「理久君と如月がインターンシップで知り合って、俺も仲間入りして集まっているんだよ」
「おおーー。藤沢は人気者だねー」
「どうしたの?ああ……。こんにちは!」
藤沢の周りに女性達が集まっていた。仕事帰りといった感じの人達だ。彼がジュエリーブランド起用された後、さらに有名になった。藤沢は全く動じることなく、彼女たちに微笑みかけて手を振っている。かっこいい。その人波が落ち着いた後、藤沢が言った。
「5人で回らない?……あ、そろそろ帰るのか。黒崎さんとデートなんだね。悠人は早瀨さんと。いいなあ……」
「ふじさわー。君こそモテるだろー?」
「ううん。好きな子には振り向いてもらえない。……夏樹、どうしたの?」
「紹介したい子がいるんだ。そろそろ着くんだけどね」
出入口の方を向くと、ぞくぞくと入場してきた人の中に、二葉の姿を見つけた。こっちに住んでいる友達と来ている。この距離からでも、黒崎の妹だと分かるぐらいに似ている。二葉を見て、悠人があんぐりと口を開けて驚いている。見分けがつかないとまで言い出した。
「186センチと170センチ。体格差もあるのに?」
「ド迫力だからだよー」
「本人は好きで迫力を出していないよ~。悩んでいるんだ。うんうん。……ごめん。謝らなくて構わないよ。イジってあげてよ。そんなに人付き合いが上手じゃないそうなんだ……。だから俺と気が合っているんだ」
「ふむふむ……」
「おーい。二葉ちゃん!こっちだよーー」
「夏樹君、遅くなってごめん!こんにちはー」
二葉がみんなに軽く会釈をした。一緒に来ているのは北岡さんという、中学時代からの友達だった。都内の大学生だという。二葉の背中に手を添えて笑っている。さっそくみんなに紹介した。
「黒崎さんの妹だよ。大学3年生。都内に引っ越してきたんだ」
「初めまして。倉口二葉です」
「はじめまして!久田悠人です。お兄さんにはお世話になっています」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
悠人は女性に優しくすると決めている。普段はそそっかしい子が紳士的な振る舞いを始めて、俺と藤沢が吹き出した。それでも悠人は笑顔を保って理久を紹介し、如月が自己紹介した。
「倉口さんって、黒崎製菓のコンテストで入賞されませんでしたか?俺は如月涼介です。……千尋製菓にも出していたよね。入賞したよね?」
「はい。如月さんも入賞されていましたよね?」
「うん!そうなんだ!よかったら話さない?」
「でも、みんなと回った方が……。あの、佐伯君は……」
「……2つに分かれよう。30分後に合流はどう?」
藤沢がとっさに気を利かせて促した。如月が二葉を連れて向こうへ行った。二葉が笑っていたから大丈夫だろう。藤沢は理久達と会場を回るそうだ。
(さっき、理久君に声をかけようとしていたなあ……)
たぶん、二葉は理久に声をかけようとしていた。その理久が浮かない顔になっている。知り合いではないと言った。
「倉口さんとは後で話すよ!……あのメリーゴーランドが面白そうだね?」
「もうすぐ店じまいだよ。今のうちに見てきたら?」
「そうだね!みんな、行こうよ」
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