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5-17(夏樹視点)
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午前0時。
映画を見た後、TAKU南天王寺で食事をして帰って来た。映画は楽しかったし食事も美味しかった。でも、黒崎の様子がいつもと違うから心配になった。映画館を出た後、黒崎に彼のお父さんから電話がかかっていた頃からだ。その時、普段とは違う雰囲気をしていた。いつもなら黒崎は不機嫌そうに話しているけれど、今日は違っていた。仕事の話だろうかと思うぐらいに空気感が違っていた。真剣な雰囲気だった。伊吹からの電話も関係しているのだろうか。
お父さんとゆっくり話したいだろうと思ったから、食事はまた今度にして、家で食べようと黒崎に言ったけれど、せっかく出かけたのだからと黒崎が言い、レストランで食べてきた。食事をしている間も彼の様子がおかしかった。
一体どうしたのだろうか。はっきり聞こうと思った。そして、今夜は黒崎に本音を話すつもりだ。自分に自信が無いからだと、はっきり言う。でも、なかなか勇気が出なくて、話しかけられないでいる。
(勇気を出そうっと……)
黒崎のそばへ行くと、テレビを観ながら考え事をしていた。これから忙しくなるから、考えることが増えたのだろうか。お父さんの電話の用件は何だったのだろうか。
「黒崎さーん。お父さんの電話は大丈夫だった?どんな用事だったの?」
「入院するそうだ。来月行くと伝えておいた。夏樹、そろそろ寝てくれ。今日は疲れただろう」
「うん……。あれ?どうしたの?」
「このままでいてくれ。胸の音が聴きたい」
ソファーに座ったままで押し倒された。そして、無言のまま、黒崎が覆いかぶさってきた。最近、彼はよくこうする時が増えてきた。安心した顔で目を閉じて、寝息を立てる時もある。何か悩みがあるではないかと思っている。
「黒崎さん……。どうしたんだよ?」
「そばにいてくれるのか?」
「もちろんそばにいるよ」
「大学卒業後の進路はどう考えている?」
「まだ決めていないよ。開明高校の先生になりたいって、思っていたんだけどね」
「迷っているのか?」
「あんたから見たら呆れるだろ?」
「それはない。……かえって良かった」
「よかったって、何が?」
質問の答えはなかった。両手で頬を包み込まれて、深く口付けられた。熱い息遣いを耳元で感じ、体中が熱くなった。すぐに抱きたい。そう囁かれて頬ずりをされた後、深くなっていくキスを受け止めた。
一体どうしたのだろうか。このままだと、ちゃんと考えることが出来ない。まずは落ち着こうと黒崎に言いながら、彼の腕の中から抜け出した。そして、お茶を飲みながら話そうねと言い、キッチンへ行った。
(どうしたんだろう……)
お茶を用意していると、黒崎が後ろから両腕をまわして来た。じっとしていると、さらに抱きしめられて、髪の毛に顔を埋められた。
「黒崎さん?こんなことをしてたら、用意が出来ないんだけど?」
「その呼び方を変えてくれないか。圭一と呼んでくれと言っただろう?」
片思い時代の頃から、黒崎から呼び捨てで呼んで貰いたいと言われている。何度も呼ぼうとしたけれど、黒崎は憧れの人だから、今の俺には難しい。呼び捨てをする気にはなれない。それに、俺達は年齢差があるから、ある程度のケジメをつけたいと思うからでもある。
映画を見た後、TAKU南天王寺で食事をして帰って来た。映画は楽しかったし食事も美味しかった。でも、黒崎の様子がいつもと違うから心配になった。映画館を出た後、黒崎に彼のお父さんから電話がかかっていた頃からだ。その時、普段とは違う雰囲気をしていた。いつもなら黒崎は不機嫌そうに話しているけれど、今日は違っていた。仕事の話だろうかと思うぐらいに空気感が違っていた。真剣な雰囲気だった。伊吹からの電話も関係しているのだろうか。
お父さんとゆっくり話したいだろうと思ったから、食事はまた今度にして、家で食べようと黒崎に言ったけれど、せっかく出かけたのだからと黒崎が言い、レストランで食べてきた。食事をしている間も彼の様子がおかしかった。
一体どうしたのだろうか。はっきり聞こうと思った。そして、今夜は黒崎に本音を話すつもりだ。自分に自信が無いからだと、はっきり言う。でも、なかなか勇気が出なくて、話しかけられないでいる。
(勇気を出そうっと……)
黒崎のそばへ行くと、テレビを観ながら考え事をしていた。これから忙しくなるから、考えることが増えたのだろうか。お父さんの電話の用件は何だったのだろうか。
「黒崎さーん。お父さんの電話は大丈夫だった?どんな用事だったの?」
「入院するそうだ。来月行くと伝えておいた。夏樹、そろそろ寝てくれ。今日は疲れただろう」
「うん……。あれ?どうしたの?」
「このままでいてくれ。胸の音が聴きたい」
ソファーに座ったままで押し倒された。そして、無言のまま、黒崎が覆いかぶさってきた。最近、彼はよくこうする時が増えてきた。安心した顔で目を閉じて、寝息を立てる時もある。何か悩みがあるではないかと思っている。
「黒崎さん……。どうしたんだよ?」
「そばにいてくれるのか?」
「もちろんそばにいるよ」
「大学卒業後の進路はどう考えている?」
「まだ決めていないよ。開明高校の先生になりたいって、思っていたんだけどね」
「迷っているのか?」
「あんたから見たら呆れるだろ?」
「それはない。……かえって良かった」
「よかったって、何が?」
質問の答えはなかった。両手で頬を包み込まれて、深く口付けられた。熱い息遣いを耳元で感じ、体中が熱くなった。すぐに抱きたい。そう囁かれて頬ずりをされた後、深くなっていくキスを受け止めた。
一体どうしたのだろうか。このままだと、ちゃんと考えることが出来ない。まずは落ち着こうと黒崎に言いながら、彼の腕の中から抜け出した。そして、お茶を飲みながら話そうねと言い、キッチンへ行った。
(どうしたんだろう……)
お茶を用意していると、黒崎が後ろから両腕をまわして来た。じっとしていると、さらに抱きしめられて、髪の毛に顔を埋められた。
「黒崎さん?こんなことをしてたら、用意が出来ないんだけど?」
「その呼び方を変えてくれないか。圭一と呼んでくれと言っただろう?」
片思い時代の頃から、黒崎から呼び捨てで呼んで貰いたいと言われている。何度も呼ぼうとしたけれど、黒崎は憧れの人だから、今の俺には難しい。呼び捨てをする気にはなれない。それに、俺達は年齢差があるから、ある程度のケジメをつけたいと思うからでもある。
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