森林の星空少年~あの日のメエメエ

夏目奈緖

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 早瀬の視線がまっすぐに向けられて、どうも居心地の悪い思いをしている。口が滑ったことが分かっているだろう。なにかツッコミを入れてもらいたい。まるでカズさんのようだ。真似っこしているのか?それなら安心する。

「裕理さーん。かくかくしかじかなの?」
「いいや。あの人の真似はしたくない。あんな濃厚キスをされた以上はね……」
「どうして機嫌が悪いの?本人は隠していないって言ったんだ。でも、理久には教えないでくれって言われたよ。……伝わらないよ。兄貴のような存在としての気持ちだと受け取ると思う」
「それは当たっている。いつから理久へ想いを寄せていたか聞いたか?」
「言わないよーー。もうーー」
「……枝川が心配している。あいつも忙しくなって、会う回数が減った。藤沢君なら安心だけど。……参考までにね」
「ほお……。アブナイ男を近づけたくない兄貴のような感じだよ?……仕方ないなあ。友達になる前から、理久のことが気になっていたんだ。学部が違うし、きっかけがないから見ているだけ。……学食で一緒に食べるようになって、どんどん好きになって……。告白しないのは、遠くから見守るのが好きだからだよ。枝川さんと知り合っていたし。………げええええっ」

 どうしよう?どこかで聞いたことのあるタイプだと言えよう。カズさんではないか。すぐに会える距離にいるし、いくらでも口実をつけられる状況にありながら、早瀬とは会おうとしなかった。

 カズさんは、早瀬への気持ちを、想いを寄せるボックスに収納していた。それを抱えて出かけては、遠くから見つめて納得していたと言っていた。とうとう想いが限界点まで来て、現在に至るまでの”うんたらかんたら”が起きた。

「裕理さーん。カズさんと藤沢が同じタイプだよ!どうしよう?理久への想いを、クローゼット収納しているか知れないよ」
「そうだね。夏樹君への想いもあるし、理久にも。……これは上手くいかないケースだ。それに近い」
「うひぇー?藤沢も好きとは限らないけど、嫌なら食事に行かないよ。夏樹も黒崎さんも誘わない。まあいいかな?ってぐらいは。……あああ……、そういうことか」

 どうしよう?似た者同士が上手くいかないというケースを耳にしたことがあるが、ケースバイケースである。

 カズさん達は確定である。想いを収納して、遠くから見守る習性があるからだ。今のカズさんは表に出している。藤沢はケース保管ではないのか?

 どうしよう?人の恋路を想像してはいけない。そっと見守って、相談されたときに話を聞くスタイルがベターだと言えよう。このモヤモヤした思いこそ、早瀬に報告しておく。ネガティブポイントの、第一号スタンプである。
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