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店内は広いのだが、男2人がもみ合いになると、さすがに他のお客さんに迷惑である。しかし、まだそうなっていないから、早瀨とゆっくり話し合って、箱に入った裁縫セットを買うことにした。布裁ちばさみも入っている。よく切れそうだから、注意して使わないといけないだろう。
「ふむふむ。小学生の時を思い出すよーー。何でも不器用な俺が、裁縫だけは得意で、雑巾を縫ったら褒められて、壁に展示されたんだーー」
「へえ。見たかったな。その作品を」
「おばあちゃんが取っておいてくれたんだ。俺の荷物の中にあると思うよ。まだ開けていない段ボールの中にあるはず……。あああ……」
どうしよう?祖母のことが恋しくなってしまった。その段ボールの中には、俺が描いた絵や、図画工作が入っている。成績表も入っている。祖母が、自分が何かあったときのためだと言い、大学進学などで家を離れるときには、俺にその段ボールを必ず持って行くように言われた。その祖母はその一年後に亡くなった。もうすぐで法事がある。父の家に久田家の仏壇があり、祖母の遺影が飾られている。
「おばあちゃん……」
「ゆうとー。どうした?」
「おばあちゃんのことを思い出したんだ。俺が縫った雑巾を勿体ないからって、使ってくれなくて、飾ってくれたんだ……」
「そうか、君は温かい人に育てられたからこそ、優しい子に育った。元からいい子なんだけどね。さあ、帰った後で段ボールの中身を見せてくれ」
「うん。……あああ。羽音さん!いけないことです!」
「ん?ああ、仲が良いなあ……」
どうしよう?もみ合いそうになっていた2人が寄り添うようにして立ち、店内の展示品を眺めている。久弥の相手は蔵之介さんでなければならない。まさかと思うが、このままだと略奪されそうだ。そうなれば、友情は壊滅してしまう。そんなことは俺がさせない。
「ひさやーー、離れてよーー。危ない位置だよーー」
「悠人君。大人同士には事情がある。放っておこう」
「でも、羽音さんは真羽のことが……、あああ……」
「知っているよ。この間の選手権大会で気がついた。だから本人に聞いた。切ないね。年下の従兄弟からは兄貴として見てもらいたいっていう気持ちは分からなくはない。いつか別れることがあるなら、最初から付き合わない方が良いなんて、羽音さんは今までどんなことがあったんだろうね……」
「ほお……」
どうしよう?早瀬には本当のことを話したのか。年齢が近いからだろう。俺とは9歳も離れているから、やっぱり相談相手にはなれないのか。大変胸が痛い。
こうしている間も、羽音さんが久弥と急接近して、食事の約束を取り付けようとしている。ミシンが好きな久弥は展示品を見るのに夢中で、話を合わせてくれる羽音さんに心を許している。ということは、蔵之介さんは話を聞いてくれないということなのか。
そういえば、久弥が言っていた。蔵之介さんは寡黙な方であり、しかも、趣味が合わないのだと。合わせようともしてくれないそうだ。久弥の方も彼が興味を向ける物に関心が無いから、へーーとか、ああ、そうなのかとか、気のない返事しか出来ないそうだ。それでも2人は長年の付き合いだ。カップルにだってなれた。
「ふむふむ。小学生の時を思い出すよーー。何でも不器用な俺が、裁縫だけは得意で、雑巾を縫ったら褒められて、壁に展示されたんだーー」
「へえ。見たかったな。その作品を」
「おばあちゃんが取っておいてくれたんだ。俺の荷物の中にあると思うよ。まだ開けていない段ボールの中にあるはず……。あああ……」
どうしよう?祖母のことが恋しくなってしまった。その段ボールの中には、俺が描いた絵や、図画工作が入っている。成績表も入っている。祖母が、自分が何かあったときのためだと言い、大学進学などで家を離れるときには、俺にその段ボールを必ず持って行くように言われた。その祖母はその一年後に亡くなった。もうすぐで法事がある。父の家に久田家の仏壇があり、祖母の遺影が飾られている。
「おばあちゃん……」
「ゆうとー。どうした?」
「おばあちゃんのことを思い出したんだ。俺が縫った雑巾を勿体ないからって、使ってくれなくて、飾ってくれたんだ……」
「そうか、君は温かい人に育てられたからこそ、優しい子に育った。元からいい子なんだけどね。さあ、帰った後で段ボールの中身を見せてくれ」
「うん。……あああ。羽音さん!いけないことです!」
「ん?ああ、仲が良いなあ……」
どうしよう?もみ合いそうになっていた2人が寄り添うようにして立ち、店内の展示品を眺めている。久弥の相手は蔵之介さんでなければならない。まさかと思うが、このままだと略奪されそうだ。そうなれば、友情は壊滅してしまう。そんなことは俺がさせない。
「ひさやーー、離れてよーー。危ない位置だよーー」
「悠人君。大人同士には事情がある。放っておこう」
「でも、羽音さんは真羽のことが……、あああ……」
「知っているよ。この間の選手権大会で気がついた。だから本人に聞いた。切ないね。年下の従兄弟からは兄貴として見てもらいたいっていう気持ちは分からなくはない。いつか別れることがあるなら、最初から付き合わない方が良いなんて、羽音さんは今までどんなことがあったんだろうね……」
「ほお……」
どうしよう?早瀬には本当のことを話したのか。年齢が近いからだろう。俺とは9歳も離れているから、やっぱり相談相手にはなれないのか。大変胸が痛い。
こうしている間も、羽音さんが久弥と急接近して、食事の約束を取り付けようとしている。ミシンが好きな久弥は展示品を見るのに夢中で、話を合わせてくれる羽音さんに心を許している。ということは、蔵之介さんは話を聞いてくれないということなのか。
そういえば、久弥が言っていた。蔵之介さんは寡黙な方であり、しかも、趣味が合わないのだと。合わせようともしてくれないそうだ。久弥の方も彼が興味を向ける物に関心が無いから、へーーとか、ああ、そうなのかとか、気のない返事しか出来ないそうだ。それでも2人は長年の付き合いだ。カップルにだってなれた。
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