森林の星空少年~あの日のメエメエ

夏目奈緖

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 そこで早瀬に、久弥から聞いてあるという蔵之介さんとの馴れ初めのことを聞くことにした。すっかり腹が膨れて、もう食べられないという量の朝食を平らげて、腹を抱えて座り直した。

「さあ、裕理さん。久弥と蔵之介さんの馴れ初めを聞かせて欲しいんだ」
「いいよ。やっと聞く気になったのか」
「だって、俺は貴方と久弥の仲を疑っていたから、かえって聞けなかったんだ。それはもう大丈夫なんだ。こうして温かい朝ご飯を作ってもらえて、俺は満足なんだ」
「俺の魅力は料理だけなのか?」
「そんなことはないよーー。魅力はたっぷりあるよ!」

 ばし!抱きついている早瀬の肩を叩いた。ついでに肩をトントンやってくれというから、彼の肩を叩いてやった。すると、彼が語り始めた。

「むかしむかしあるところに、ギタリストがいました……。恋に破れて自暴自棄にもなりそうなときに、彼の幼なじみが中華料理を食べに行こうと誘い出し、彼の悩みを聞き、深酒に付き合うようになりました。しかし、彼には好きな相手がいて、想い続けていました。ところが……」
「ふむふむ……」
「想っている相手に恋人ができたことを目の当たりにして、嫉妬に狂い、彼の恋人をイジりました。まだ関係が続いているかのようなニュアンスで話しかけたのです。しかし、相手はしっかりした子だったので、拍子抜けした彼は、自分の行いが恥ずかしくなりました……」
「ほお……」
「そのことがきっかけて、なんて自分はダメな奴なんだと思った彼は、ある先輩に相談しました。羽音さんという人です」
「うひぇ?相手が悪かったんじゃ……、食べられてしまうよーー」
「羽音さんは彼のファンだったので、近づくチャンスだと思い、丁寧に話を聞いて接しました。そこで、彼の幼なじみが食事の席に割り込むようになり、羽音さんと2人きりにさせないようにしました。奪われないようにするためです」
「ほお、蔵之介さん、勝負をかけにきたなーー」
「そうです。勝負をかけにきたのです。毎日の電話連絡、好物を用意して待っていること、肩たたき、ボディーマッサージ、イケメンに保つための美容グッズを用意すること、彼のお母さんに自分の存在をアピールすること、愚痴を聞くこと、絵本の読み聞かせ、UFO特集の録画など、あらゆることを使って、彼の気を引きました。そして、幼なじみは、自分のマンションから彼が仕事に出かけるように仕向けたのです。楽しいから一緒に居る、そういう風に持っていくことにしました……」
「ふむふむ。この人と居ると楽しいし、楽だなっていうやつかなーー?」

 どうしよう?蔵之介さんのマメな性格が出ていて、リスペクトした。そして、あることを聞いて仰天した。なんと、蔵之介さんが占い師に恋愛相談をしたというからだ。

「蔵之介さんが、女性達が集まる場所に行ったのーー?」
「そうです。幼なじみは、彼の気持ちをゲットできる方法を探るために、数々の縁結びの実績を残しているという占い師の元に行き、アドバイスを受けたのです。占いの結果はこうでした。……とっても繊細な彼には、いつでも待っている存在だと伝えること。そして、8月がチャンスの月だから、再度、告白をするように鑑定を受けたのです。そこで、幼なじみはその通りにしました。占いの結果のことも正直に伝えました。すると、彼はそういう幼なじみの愛情に心を打たれて、俺にはお前しかいないという返事を貰ったのです」
「ほおーーーー。どこの占い師さんなのかなーー?」

 どうしよう?俺も占ってもらいたい。仕事運はどうだろうか。早瀬との恋愛運にも興味がある。いや、まずは仕事運だろう。早速俺は、その占い師のいるお店のことを聞くことにした。

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