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俺も聞き耳を立ててみると、久弥の手を握っている男性が、君もタワマンに住めるとか、月収56万円だとか言っている。そして、それにはこのセットを買ってもらい、知り合いに紹介してくれと言った。
それに対して久弥が相づちを打つと、男性が、君、頭が良いね、君ならすぐにタワマンに住めるよと言った。どこかで聞いたことがあるフレーズだ。
「あああ……。大学の危険回避講座で聞いた投資詐欺だよーーー。大学生の男の子を狙った投資話を持ちかける人がいるんだーーー」
「ああ。月収56万円どころの男じゃないんだけどなあ。それに、久弥は30代だぞ。そうか、勧誘が難しくなって、幅広い年代を狙うようにしたのか……」
「どうして一緒に居るのかな?」
「そうだなあ。街でうろついていて、声を掛けられて、この店に入ったとしか思えないんだけど。久弥がそうするかな。家の前の掃き掃除でしか外に出ないはずだ。車から降りてスタジオ入り、スタジオから出て車に入る生活だ。いや、蔵之介の家に行くときは歩いて行っているか……」
「俺が止めてくるよーーー」
「いや、待て。面白いから、このまま聞こう……」
「だめだだめだーーー」
ガタン!俺は席を立った。口の中にはマロンケーキが入ったままである。何か失礼になるといけないから、グラスの水で流し込み、口の中をスッキリさせた。さあ、久弥の救出作戦開始である。
「ひさやーーー!」
「ああーー、驚いた。お前か……」
「こんなところで何しているんだよ!そちらの方は?」
「ああ、こちらの方は、店の中で声を掛けてきた人だ。面白いから話したら、このキーホルダーを売ってくれと言うんだ……」
「ほお……」
久弥がそのキーホルダーを俺に見せてくれた。ごく普通の製品である。なぜこれが月収56万円になるのだろうか。怪しい話である。そこで俺は久弥の隣に立ち、それは詐欺ではありませんかと声を張り上げて言った。警察に通報も必要である。しかし、男性は知らぬふりをしている。キーホルダーを売ってくれと言っているだけだと言った。
「君、何か誤解をしていないか?僕はこれでも芸能人の知り合いがいるんだよ。歌手の羽音君とは、お互いに家族ぐるみの付き合いをしている。他にも居るんだよ。例えば、ディアドロップの佐久弥だ。ライブに招待されたことがある」
「……写真はありますか?」
「ひさやーー、話に乗るなよーー」
突っ込みどころ満載である。羽音さんは実家の家族とは仲が良くないし、ディアドロップは解散している。そして、目の前に居るのは本人であり、ヴィジブルレイだって解散した。次のバンドのTDDに向けて、ネットなどで宣伝中である。
「あるよ。この人が佐久弥だ」
「ネットに載っている写真を取ってきたんでしょう……」
「いや、そんなことはないよ。僕が彼の事を写したんだ。知り合いだからね」
「あああ……。ん?」
すると、俺の後ろでは早瀬がどこかに電話を掛けている声が聞こえてきた。キーホルダー販売の男性が月収56万円だと言って、友人のことを勧誘していると言っている。現場は渋谷交差点近くのスパゲッティハウス・石谷だと言った。そして、男性の特徴を話し始めた。それにはさすがに男性が表情を変えた。
「なんだって?警察に通報したのか?そんなことをするのは臆病者なんだぞ!」
「……」
久弥は何も言わない。そして、男性が席を立った。すると、ナポリタンが運ばれてきた。2人分である。しかし、彼はそれを食べずに店から出て行こうとした。そして、俺達に臆病者だと言っておきながら、千円札をカウンターに置き、走って店から出て行ってしまった。たしか、980円だった。無銭飲食ではない。
「逃走だーーー!」
「すぐに捕まるよ。特徴的な上着を着ていたからね。プラセルのブランドだ。銀色っぽい生地だから目立つよ」
「警察が来る前に食べておこうか……」
久弥がナポリタンを食べ始めた。男性の分もある。どうしたらいいのだろうか。すると、俺達が時間を稼いでいたようで、警察官が店に入ってきた。男性は捕まるだろうか。交番はすぐそばである。
それに対して久弥が相づちを打つと、男性が、君、頭が良いね、君ならすぐにタワマンに住めるよと言った。どこかで聞いたことがあるフレーズだ。
「あああ……。大学の危険回避講座で聞いた投資詐欺だよーーー。大学生の男の子を狙った投資話を持ちかける人がいるんだーーー」
「ああ。月収56万円どころの男じゃないんだけどなあ。それに、久弥は30代だぞ。そうか、勧誘が難しくなって、幅広い年代を狙うようにしたのか……」
「どうして一緒に居るのかな?」
「そうだなあ。街でうろついていて、声を掛けられて、この店に入ったとしか思えないんだけど。久弥がそうするかな。家の前の掃き掃除でしか外に出ないはずだ。車から降りてスタジオ入り、スタジオから出て車に入る生活だ。いや、蔵之介の家に行くときは歩いて行っているか……」
「俺が止めてくるよーーー」
「いや、待て。面白いから、このまま聞こう……」
「だめだだめだーーー」
ガタン!俺は席を立った。口の中にはマロンケーキが入ったままである。何か失礼になるといけないから、グラスの水で流し込み、口の中をスッキリさせた。さあ、久弥の救出作戦開始である。
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「ああーー、驚いた。お前か……」
「こんなところで何しているんだよ!そちらの方は?」
「ああ、こちらの方は、店の中で声を掛けてきた人だ。面白いから話したら、このキーホルダーを売ってくれと言うんだ……」
「ほお……」
久弥がそのキーホルダーを俺に見せてくれた。ごく普通の製品である。なぜこれが月収56万円になるのだろうか。怪しい話である。そこで俺は久弥の隣に立ち、それは詐欺ではありませんかと声を張り上げて言った。警察に通報も必要である。しかし、男性は知らぬふりをしている。キーホルダーを売ってくれと言っているだけだと言った。
「君、何か誤解をしていないか?僕はこれでも芸能人の知り合いがいるんだよ。歌手の羽音君とは、お互いに家族ぐるみの付き合いをしている。他にも居るんだよ。例えば、ディアドロップの佐久弥だ。ライブに招待されたことがある」
「……写真はありますか?」
「ひさやーー、話に乗るなよーー」
突っ込みどころ満載である。羽音さんは実家の家族とは仲が良くないし、ディアドロップは解散している。そして、目の前に居るのは本人であり、ヴィジブルレイだって解散した。次のバンドのTDDに向けて、ネットなどで宣伝中である。
「あるよ。この人が佐久弥だ」
「ネットに載っている写真を取ってきたんでしょう……」
「いや、そんなことはないよ。僕が彼の事を写したんだ。知り合いだからね」
「あああ……。ん?」
すると、俺の後ろでは早瀬がどこかに電話を掛けている声が聞こえてきた。キーホルダー販売の男性が月収56万円だと言って、友人のことを勧誘していると言っている。現場は渋谷交差点近くのスパゲッティハウス・石谷だと言った。そして、男性の特徴を話し始めた。それにはさすがに男性が表情を変えた。
「なんだって?警察に通報したのか?そんなことをするのは臆病者なんだぞ!」
「……」
久弥は何も言わない。そして、男性が席を立った。すると、ナポリタンが運ばれてきた。2人分である。しかし、彼はそれを食べずに店から出て行こうとした。そして、俺達に臆病者だと言っておきながら、千円札をカウンターに置き、走って店から出て行ってしまった。たしか、980円だった。無銭飲食ではない。
「逃走だーーー!」
「すぐに捕まるよ。特徴的な上着を着ていたからね。プラセルのブランドだ。銀色っぽい生地だから目立つよ」
「警察が来る前に食べておこうか……」
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