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羽音さんに聞いておきたい。何があったのかと。しかし、こういう場で他の人の話題を出すのはいけないだろう。ましてや、修羅場ならばだ。
高野さんはがっかりしたような顔をしている。せっかくの良いムードだったのに、羽音さんのことを感じが悪いと判断したのだろう。これがお見合いでなければ、冗談の一つでも言って話題を変えることも出来る人だと思うが、今日はそういう席ではない。伴侶選びの場である。
「あああ……。人の恋路も七十五日と言いますから、だから、高野さん、どうか顔を上げて下さい……」
「悠人君。それを言うなら、人の噂も七十五日だ。馬に蹴られてしまうぞ」
「あああ……。三ヶ月も経たない恋なんて、なんて短いんだーーー」
どうしよう?瞬間的に訪れた恋が終わりを告げて、跡形もなく消え失せようとしている。高野さんが顔を上げて、羽音さんに微笑みかけたからだ。これでは、羽音さんは仕事の相手である。嫌な相手にも微笑む。R&W社で培った技なのだろう。その人になってしまった瞬間を、俺達は見てしまったわけである。
「羽音さん。是非とも、明日、ドールショップへ、ご一緒しましょう」
「もちろんです。さっき、そういう話になりましたよね?」
「うひぇーー?」
どうしよう?羽音さんが高野さんに感じの悪い問いかけをした。しかし、高野さんは微笑みを崩さずにスマホを取り出して、予定を入れ始めた。何時に待ち合わせをするのかと、その場所のことだ。そして、俺は羽音さんが嫉妬する場面を見てしまった。なんと、高野さんのスマホを取り上げたのである。
「見せて下さい。どんな写真を撮っているんですか?」
「大した物はありません。伊吹との釣りの写真です。ああ、船釣りの写真がありますよ。夜明け前に港を出発して、朝焼けを撮影しました。その日は空気が澄んでいましてね……。どうされたんですか?」
「ラインが入りましたよ。今度はどこに行く?って……」
「確認します。あなたとは違って、僕はその場で見ます。ああ、伊吹からです。次の釣りはどこに行くかという質問でした……。しかし、今はあなたと一緒に居るのだから、返事は後にします……」
「既読は付けたんでしょう?返事をしないのかな?」
「伊吹はそんなことは気にしません。今日のお見合いのことは言ってありますから、もっと後で返事が来ると思っているでしょう」
「だったら、僕のことを言えないだろう。僕だって、さっきのラインには返事をしなかった。君といるからだよ……」
「それは違いますよ。僕の場合は友人からです。しかも、親友です!」
「そう……。へえ……」
「あああ……。二人とも、そんなにムキにならずに……」
一体どうしたのだろうか。羽音さんが高野さんに感じ悪くしたことで高野さんのモードが変わり、それに対応する羽音さんが今度は嫉妬をする男に変化している。何が気に入らなかったのか。高野さんの反応だろうか。俺でも同じだと思う。返事をしないのは気になるだろう。そんなことを考えていると、早瀬が微笑んだ。そして、言った。お互いに気に入ったようだねと。
「まあまあ、二人とも。羽音さんがすぐに返事をしないことで高野が嫌な感じになって、羽音さんが機嫌を損ねたんだ。そうですよね?羽音さん……」
「いや、僕はそうじゃなくて、どうして嫌な顔をするのかなって思っただけです……」
「それなら説明できます。俺から見ると、高野は正直者で、思っていることが顔に出るんです。それはプライベートな場に限ります。今日はお見合いだから、素の顔になっているんですよ。生涯のパートナー選びだからです。それだけ真剣なんです。さあ、羽音さん、いちいちうるさいことを言う男だと思わずに、高野の顔を見てやって下さい。今は仕事の顔ですが、そのうちまた、プライベートに戻りますから……。けっこう可愛いところがあるんですよ?」
「そうですね。可愛い人のようだ……。僕、嫉妬深いんです。高野さんのスマホの写真が気になりましてね……。それだけ気に入ったからなんですけど、さっきまでの、高野さんの僕を批難する目は気に入らなかったんです……」
「あああ……」
どうしよう?羽音さんがはっきり言った。こういう人だとは知らなかった。知っていたら、今日の席をセッティングしなかったのに。そんなことを思ってしまった。
高野さんはがっかりしたような顔をしている。せっかくの良いムードだったのに、羽音さんのことを感じが悪いと判断したのだろう。これがお見合いでなければ、冗談の一つでも言って話題を変えることも出来る人だと思うが、今日はそういう席ではない。伴侶選びの場である。
「あああ……。人の恋路も七十五日と言いますから、だから、高野さん、どうか顔を上げて下さい……」
「悠人君。それを言うなら、人の噂も七十五日だ。馬に蹴られてしまうぞ」
「あああ……。三ヶ月も経たない恋なんて、なんて短いんだーーー」
どうしよう?瞬間的に訪れた恋が終わりを告げて、跡形もなく消え失せようとしている。高野さんが顔を上げて、羽音さんに微笑みかけたからだ。これでは、羽音さんは仕事の相手である。嫌な相手にも微笑む。R&W社で培った技なのだろう。その人になってしまった瞬間を、俺達は見てしまったわけである。
「羽音さん。是非とも、明日、ドールショップへ、ご一緒しましょう」
「もちろんです。さっき、そういう話になりましたよね?」
「うひぇーー?」
どうしよう?羽音さんが高野さんに感じの悪い問いかけをした。しかし、高野さんは微笑みを崩さずにスマホを取り出して、予定を入れ始めた。何時に待ち合わせをするのかと、その場所のことだ。そして、俺は羽音さんが嫉妬する場面を見てしまった。なんと、高野さんのスマホを取り上げたのである。
「見せて下さい。どんな写真を撮っているんですか?」
「大した物はありません。伊吹との釣りの写真です。ああ、船釣りの写真がありますよ。夜明け前に港を出発して、朝焼けを撮影しました。その日は空気が澄んでいましてね……。どうされたんですか?」
「ラインが入りましたよ。今度はどこに行く?って……」
「確認します。あなたとは違って、僕はその場で見ます。ああ、伊吹からです。次の釣りはどこに行くかという質問でした……。しかし、今はあなたと一緒に居るのだから、返事は後にします……」
「既読は付けたんでしょう?返事をしないのかな?」
「伊吹はそんなことは気にしません。今日のお見合いのことは言ってありますから、もっと後で返事が来ると思っているでしょう」
「だったら、僕のことを言えないだろう。僕だって、さっきのラインには返事をしなかった。君といるからだよ……」
「それは違いますよ。僕の場合は友人からです。しかも、親友です!」
「そう……。へえ……」
「あああ……。二人とも、そんなにムキにならずに……」
一体どうしたのだろうか。羽音さんが高野さんに感じ悪くしたことで高野さんのモードが変わり、それに対応する羽音さんが今度は嫉妬をする男に変化している。何が気に入らなかったのか。高野さんの反応だろうか。俺でも同じだと思う。返事をしないのは気になるだろう。そんなことを考えていると、早瀬が微笑んだ。そして、言った。お互いに気に入ったようだねと。
「まあまあ、二人とも。羽音さんがすぐに返事をしないことで高野が嫌な感じになって、羽音さんが機嫌を損ねたんだ。そうですよね?羽音さん……」
「いや、僕はそうじゃなくて、どうして嫌な顔をするのかなって思っただけです……」
「それなら説明できます。俺から見ると、高野は正直者で、思っていることが顔に出るんです。それはプライベートな場に限ります。今日はお見合いだから、素の顔になっているんですよ。生涯のパートナー選びだからです。それだけ真剣なんです。さあ、羽音さん、いちいちうるさいことを言う男だと思わずに、高野の顔を見てやって下さい。今は仕事の顔ですが、そのうちまた、プライベートに戻りますから……。けっこう可愛いところがあるんですよ?」
「そうですね。可愛い人のようだ……。僕、嫉妬深いんです。高野さんのスマホの写真が気になりましてね……。それだけ気に入ったからなんですけど、さっきまでの、高野さんの僕を批難する目は気に入らなかったんです……」
「あああ……」
どうしよう?羽音さんがはっきり言った。こういう人だとは知らなかった。知っていたら、今日の席をセッティングしなかったのに。そんなことを思ってしまった。
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