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さらに早瀬が月島さんの視線を橋本さんに向けさせまいと、グラスにシャンパンを注いだ。そして、閉めているネクタイをくつろげようと声を掛けた。
「月島さん、仕事帰りだったんですね」
「そうなんですよ。うちのキシヤマ味噌は、クリスマスイブの日にロビーにツリーを飾ってあります。たしか、黒崎製菓さんでもそうでは無かったですか?」
「そうです。明日になったら片付けるから、寂しくなります」
「そうですよね。賑やかな方が良い。そうだ。僕の話でしたね。僕がどこで今の力を習得したかと言うことでしたね」
「はい。是非ともお聞きしたいです」
「それは、僕が16歳の時のことになります。僕は高校は実家から離れて県外の学校に進学をしたため、母方の、月島家の祖父の家で暮らして、そこから通っていました。お恥ずかしながら、母は僕のことを未婚で産みましてね」
「僕も同じです。父がドイツ人です。相手に妻子がいることが分かりましてね。母が俺のことを妊娠したと分かったときに、そのことも分かったわけです」
「そうだったんですか!いやーー、奇遇ですね。いや、僕の場合は恥ずかしいですよ。僕のことを妊娠したと、母が相手の男に伝えたら、その男が逃げたから、母は未婚で僕のことを産んだんです。男のアパートに行ったらもぬけの殻で、全く居場所が分からなかったそうです。名前だけは知っているですけどね。そういわけで、母が僕が3歳の時に知り合った新しい男性と付き合い始めて、結婚をしました。僕の義理の父親になってくれましたが、僕は養子縁組をせずに、月島の姓を名乗り続けることになりました。その後、僕が5歳の時に妹が産まれましてね。幸せだったはずですが、母が父と離婚しまして、また母子家庭になりました。そして、僕が月島家に暮らし始めた時に、小学5年生だった妹が病気だということが発覚しました。椎間板ヘルニアです。病気が進行していました。医者が言うには、小学2年生頃から悪くなっていただろうということでした。痛みが起こったのはその当たりからなんです。かけっこがクラスで真ん中ぐらいの速さだったのに、急に足が遅くなったという話からも推測されました。そこで、妹には入院中に車椅子が用意されました。僕はそれを聞いたときに雷に打たれたように身体が震えあがり、ホログラム映像のようなオーラに包まれた家の中を見まして、その後、動けなくなり、何分か寝てしまい、気がついて起きた後、色んな人から声が聞こえるようになりました。これが霊能力ではないかと、僕は思っているわけです」
「なるほど。妹さんは長く入院されていたんですか?」
「いえ、一ヶ月で退院できました。その後はずっと体育の授業は見学ということになりましたが、本人は結果オーライだと言っていました。体育が苦手だったからです。それと、義理の父と母が復縁して、再婚しました。妹の病気を父が知り、心配になったからです」
「妹さんの病状はどうなんですか?」
「椎間板ヘルニアは落ち着いています。今は映像制作業をしていまして、ほとんど家の中での作業です。元は市役所で働いていた公務員でしたが、40歳で退職しましてね。うつ病が原因です。最後に所属していた課は税務管理課という名前でして、税の滞納整理を行う業務でした。あんなことやこんなこと、かくかくしかじかなことがありまして、その中で仕事に対するやる気だとか、喜びだとか感じていたのですが、なにせ人間関係が悪くて……。いや、妹をいじめていた年下の男性職員は異動したんですが、その彼が異動先でいじめを受けて、うつ状態になり、異動後の1週間後に朝起き上がれなくなり、休み始めて、3ヶ月後に異動になりました。妹はそういう職員に出くわすことがありましてねーーー。それで、自分も鬱が続いているからと、仕事を辞めることにしたわけです。退職金と投資で貯めた物を使い、2年間は療養しようと実家に帰ったところ、ユーチューブなどの動画配信に興味を持ち、それを始めたわけです。そして、収入が得られるようになりましてねーーー。いやーー、転んでもただでは起きない妹ですから、しかも、いじめてきた相手を自分と同じうつ病にさせるとかいう、セレンディピティーみたいなこともある妹でして、僕としては自慢でして……。そういうことが何度かあります。老後になった時に嫌なことが起こるという相手もいそうです。そんな妹です。いやーー。お恥ずかしいです!」
「いえ、そんなことはありません。もっと聞かせて下さい」
早瀬が話を聞きたいと微笑んだことで、月島さんがニコッと笑い、次から次へと妹さんのことが語られ始めた。ママの方は橋本さんに接近している。月島さんが気づいていないのか、頬を紅潮させて、話をしている。よっぽど妹さんのことが自慢なのだろう。その気持ちは分かる。
「月島さん、仕事帰りだったんですね」
「そうなんですよ。うちのキシヤマ味噌は、クリスマスイブの日にロビーにツリーを飾ってあります。たしか、黒崎製菓さんでもそうでは無かったですか?」
「そうです。明日になったら片付けるから、寂しくなります」
「そうですよね。賑やかな方が良い。そうだ。僕の話でしたね。僕がどこで今の力を習得したかと言うことでしたね」
「はい。是非ともお聞きしたいです」
「それは、僕が16歳の時のことになります。僕は高校は実家から離れて県外の学校に進学をしたため、母方の、月島家の祖父の家で暮らして、そこから通っていました。お恥ずかしながら、母は僕のことを未婚で産みましてね」
「僕も同じです。父がドイツ人です。相手に妻子がいることが分かりましてね。母が俺のことを妊娠したと分かったときに、そのことも分かったわけです」
「そうだったんですか!いやーー、奇遇ですね。いや、僕の場合は恥ずかしいですよ。僕のことを妊娠したと、母が相手の男に伝えたら、その男が逃げたから、母は未婚で僕のことを産んだんです。男のアパートに行ったらもぬけの殻で、全く居場所が分からなかったそうです。名前だけは知っているですけどね。そういわけで、母が僕が3歳の時に知り合った新しい男性と付き合い始めて、結婚をしました。僕の義理の父親になってくれましたが、僕は養子縁組をせずに、月島の姓を名乗り続けることになりました。その後、僕が5歳の時に妹が産まれましてね。幸せだったはずですが、母が父と離婚しまして、また母子家庭になりました。そして、僕が月島家に暮らし始めた時に、小学5年生だった妹が病気だということが発覚しました。椎間板ヘルニアです。病気が進行していました。医者が言うには、小学2年生頃から悪くなっていただろうということでした。痛みが起こったのはその当たりからなんです。かけっこがクラスで真ん中ぐらいの速さだったのに、急に足が遅くなったという話からも推測されました。そこで、妹には入院中に車椅子が用意されました。僕はそれを聞いたときに雷に打たれたように身体が震えあがり、ホログラム映像のようなオーラに包まれた家の中を見まして、その後、動けなくなり、何分か寝てしまい、気がついて起きた後、色んな人から声が聞こえるようになりました。これが霊能力ではないかと、僕は思っているわけです」
「なるほど。妹さんは長く入院されていたんですか?」
「いえ、一ヶ月で退院できました。その後はずっと体育の授業は見学ということになりましたが、本人は結果オーライだと言っていました。体育が苦手だったからです。それと、義理の父と母が復縁して、再婚しました。妹の病気を父が知り、心配になったからです」
「妹さんの病状はどうなんですか?」
「椎間板ヘルニアは落ち着いています。今は映像制作業をしていまして、ほとんど家の中での作業です。元は市役所で働いていた公務員でしたが、40歳で退職しましてね。うつ病が原因です。最後に所属していた課は税務管理課という名前でして、税の滞納整理を行う業務でした。あんなことやこんなこと、かくかくしかじかなことがありまして、その中で仕事に対するやる気だとか、喜びだとか感じていたのですが、なにせ人間関係が悪くて……。いや、妹をいじめていた年下の男性職員は異動したんですが、その彼が異動先でいじめを受けて、うつ状態になり、異動後の1週間後に朝起き上がれなくなり、休み始めて、3ヶ月後に異動になりました。妹はそういう職員に出くわすことがありましてねーーー。それで、自分も鬱が続いているからと、仕事を辞めることにしたわけです。退職金と投資で貯めた物を使い、2年間は療養しようと実家に帰ったところ、ユーチューブなどの動画配信に興味を持ち、それを始めたわけです。そして、収入が得られるようになりましてねーーー。いやーー、転んでもただでは起きない妹ですから、しかも、いじめてきた相手を自分と同じうつ病にさせるとかいう、セレンディピティーみたいなこともある妹でして、僕としては自慢でして……。そういうことが何度かあります。老後になった時に嫌なことが起こるという相手もいそうです。そんな妹です。いやーー。お恥ずかしいです!」
「いえ、そんなことはありません。もっと聞かせて下さい」
早瀬が話を聞きたいと微笑んだことで、月島さんがニコッと笑い、次から次へと妹さんのことが語られ始めた。ママの方は橋本さんに接近している。月島さんが気づいていないのか、頬を紅潮させて、話をしている。よっぽど妹さんのことが自慢なのだろう。その気持ちは分かる。
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