森林の星空少年~あの日のメエメエ

夏目奈緖

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 そこで、俺はそっと月島さんの肩に触れた。こっちを向いて欲しい。せっかく好みの男に出会えたなら、もっと話をすると良いと思ったからだ。幸いにもユリウスさんも男性が好きなのだと、さっき言っていたところだ。これもお見合いだと言えるだろう。

「月島さん。かくかくしかじかですから、こっちを向いて下さい」
「そうよーー。月島君。話をしましょうよ」
「彼、どうしたんですか?」
「かっこいい人だから、恥ずかしいんですって……」

 ママが気を利かせるようにして場所を譲り、月島さんのことを今まで自分が座っていた場所に移動させた。これで向かい合わせになった。しかし、ニコッと笑っているユリウスさんとは反対に、月島さんは俯いたままである。

 そんな月島さんに気を利かせるようにして、今度は唐岩さんが場所を移動した。ママの隣に座り、彼らを二人きりにさせるようにしてくれた。

「ほお……。応援して下さるんですか?今日会ったばかりですが……」
「良いと思ったんですよ。ユリウスは霊が見えるんです。だから、話が合うと思います。ユリウス、露出狂の霊の男性のことは見えるのか?」
「ああ。見えるよ。僕に向かって、ロングコートを広げている。でも、下半身は透けていて見えない」
「うひぇーー。霊の彼も好みなのかーー。実はですね。あちらの高齢男性のそばには天使もいましてね。露出狂の霊の彼の成仏を願って、ここに来たわけなんですが、霊が見える人になかなか会えなくて、目的を達成できていないんです。そこで、わあ!っと驚いて、嫌がって貰いたいそうなんです」

 俺が事情を話すと、ユリウスさんが立ち上がった。そして、美しい裸体を間近で拝むことが出来た。本当にいい男である。俺がほおっとため息を漏らしていると、ユリウスさんが山本さんの隣に立っている霊に向かって挑発を始めた。手で行う挑発である。

「僕は露出狂に対しては、こんな反応しか出来ない」
「あああ……。意気消沈するでしょう。どうか怒りを静めて下さい。そして、わあ!っと驚いて、嫌そうにしてください」
「うーーん。そうやって頼まれたらそうするしかない。ああ、嫌だ嫌だ。わーーーーー……。これでどうだろうか……」

 ユリウスさんが本当に嫌そうにして湯船に戻ってきて、月島さんの前に座った。霊の彼はどんな反応をしているだろうか。そこで、月島さんに聞いてみることにした。

「月島さん。霊の彼の反応はどうでしょうか?」
「僕に伝わってくるのは、85%の満足度だ。後もう一回嫌がられたら、成仏できそうだと天使が言っている」
「ほおーーー。んん?月島さん、どうしたんですか?」
「僕は勇気を出すことにした……。こういう場において、マナーという物を見せたいと思う。僕のことはどうだろうか?とアプローチして楽しむのも良いが、直球で行きたい」
「ほお……。どのような……。うひぇーーー!」
「ユリウス君!僕の身体を見て、どうだろうか?僕に決めないか!」

 ザパーーーー!

 月島さんザバッと音を立てて立ち上がった。そして、ユリウスさんの顔の前に月島さんのダイナマイトフィーバー下半身があり、まるで見せつけるようになってしまった。初対面でこれはいけないだろう。いくら男同士とは言え、驚くだろう。

「月島さん!それはいけません!」
「僕は君にこの身体を見てもらいたい!どうだろうか!」
「ああ……。ここに来るんじゃなかった。こういうのって、僕は嫌なんだ」
「あああ……」

 俺の予想通りにユリウスさんが嫌がり、顔を背けて、ママの隣に移動した。すると、辺りが一瞬明るくなり、天井から光が注がれてきた。まるで太陽の光のようである。

「うひぇーーー?」

 そして、俺はこの時、さっきのユリウスさんの反応を見て、霊の彼が満足度100%に達したのだと分かった。すると、月島さんが立ったままで霊の彼の方を向き、微笑んだ。

 その理由を、俺もこの目で見てしまった。俺にも霊の彼の姿が見えた。辺り一面が光に包まれて、天から天使達がラッパを鳴らしながら下りてきて、乳母車のような乗り物を運んできた。そして、天使達が霊の彼のことを乗せて、天に昇っていった。成仏したということだろうか。
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