森林の星空少年~あの日のメエメエ

夏目奈緖

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24-1 お見合いオーディション

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 2月21日、土曜日。午前10時。

 今日は羽音さんのお相手探しのための、お見合いオーディションの当日である。その様子は動画配信されるため、数台のテレビカメラが用意されていて、リハーサルが終わったところだ。お見合いオーディションの最終候補者が決まっているわけではなく、出演者のインタビューや司会の進行などの練習だ。

 オーディションに応募してきた人は全部で6名だ。結局のところ、十数名が応募してきたのだが、羽音さんが変態らしいという噂が流れていき、応募者が減ってしまった状況だった。そこで、俺達は人数を増やすために、高野さんと橋本さんにも参加して貰うことにした。

 高野さんはすでに羽音さんとの友達づきあいをスタートさせてある。オーディションに出なくても良いが、場を仕切れる人だから参加して貰うことにした。橋本さんは月島さんという交際候補者がいるため、完全なフリーでは無い。しかし、もしかしたら、羽音さんと上手くいくかも知れないという思いと、コミュニケーションの橋本という名前通り、テレビカメラに映っても物怖じせず、堂々しているだろうという期待から、参加して貰った。

 その他のメンバーとしては、音楽関係者もいる。アンリミテッドというバンドで、久弥とは親しい仲にあるベーシストの爛々らんらんさんだ。年齢は32歳で、羽音さんとは年が近い。そして、同じバンドのドラムの遠竹兼光とおたけかねみつさんである。年齢は同じく32歳だ。

 羽音さんとしては年下の人も好きだということで、R&W社からは、1人の若手社員が参加している。高野さんから命令されて参加を強制された人だ。佐竹修吾さたけしゅうごさんという24歳だ。高野さんと同じチームで働いている後輩である。最後の1人はIKUからの参加で、多々良裕介たたらゆうすけさんという人だ。年は32歳だ。仕事内容は俺達のバンドの楽曲を売り出す内容だ。お世話になっている人である。

 そういうわけで、20代なのは佐竹さんだけであり、気後れしていそうだと思った。そこで、俺がオブザーバーとして参加することになった。つまりは、若い佐竹さんに付き添う仲人の役目である。しかし、そんな心配は要らなかったようで、テレビカメラの前では堂々としており、さすがは広告会社の人だと思った。

 オーディションは一時間後に始まる。会場はIKUの所有するホールで行われている。まるで体育館のような構成のホールであり、多方面、ぐるりと参加者のことが観察できるというわけだ。観客数は100人だ。どの人もIKUの関係者か黒崎製菓グループの社員で構成されている。

 番組のプロデューサーは、数々のコンサートを監督してきた由良ゆらさんという人が担当する。そして、その人が率いるスタッフの中には音声さんがいて、なんと、不思議な人がいる。栗下くりしたさんという男性だ。なんでも、彼がマイクを調節すると音声トラブルが起こらないというジンクスのある人だということだ。月島さんがお勧めする音響会社なのだという。

 そういうわけもあって、観客には月島さんも招待された。そして、栗下さんの弟子という人達も3名観客席にいる。そして、月島さんの妹も来ている。音響スタッフとして栗下さんに弟子入り希望だという。俺は妹というキーワードに弱い。賑やかなイベントを見て、心が晴れやかになると良い。

 そして、アキラママのお母さんも観客席にいる。隣にはママが居る。後ろの席には天使と守護霊の彼を連れた山本さんがいて、ママのお父さんと話しているところだ。その様子をテレビカメラが映していき、司会進行役のタレントの徳山さんが観客席とのコールとの練習を行っている。

「ふう……。なんとか無事にこの日を迎えられたねーー。裕理さん」
「そうだね。しかし、羽音さんには参ったなあ。10代の子もお見合いオーディションに入れてくれなんて。その年でお見合いはまだ早いだろう」
「でも、事務所の後輩なんだ。テレビに出したいっていうことで、事務所もオッケーしているなら、良いと思うよ」
「本当に羽音さんと付き合うことになったら、どうするんだ。彼は変態だ」
「ふむふむ。保護者のような意見だねーーー」

 羽音さんがある18歳の歌手の子を連れてきた。Tukimuという名前でデビューしたばかりの子だ。本名を山本月夢やまもとつきむという。ゲイというカテゴリーでオッケーだそうだ。趣味は配信を観ることだそうで、最近は心霊動画などがお気に入りだそうだ。そういうわけもあって、月島さんに会わせたいということという理由もあって、羽音さんが連れてきたわけだ。
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