森林の星空少年~あの日のメエメエ

夏目奈緖

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24-7

 俺は月夢のことを励ました。この番組では新曲プロモが流れるというから宣伝になるし、番組に出るのは良い経験になるはずだと言った。月夢は俺の話をしっかりとした感じで聞いてくれて、何度も頷いていた。

「月夢。分かったかな?君には俺が付き添うから、リラックスしてオーディションにのぞんでもらいたいんだ」
「はい!ああ。続々と先輩方が観覧席に座り始めました」
「ふむふむ。IKU所属ミュージシャンも観覧席に無理矢理座らされているんだなーーー。久弥はいないんじゃ無いんだよ。控え室に居るんだ。あの人は大物だから、始まった後でダラダラとした感じで観覧席に座るからねーーー」
「はい。久弥さんにも会えるのが楽しみです!」
「元気が出たね」

 月夢に顔色が良くなったからホットした。これでひと安心である。 

さて。そろそろお見合いオーディションの開始である。俺達はそれぞれの持ち場に立ち、由良プロデューサーからの指示を待った。カメラマンが立ち動き、ポジショニングを行い、俺達の前には和室セットが組まれているから、そこに入る司会者の徳山さんの様子を見守った。

 さあ、開始である。オーディションはこの和室セットで行われる。羽音さんが座り、6人の候補者と話をするというものである。オーディションの目的としては、羽音さんのパートナー選びだ。しかし、それぞれの企業から強制的に参加されられた人が多いから、交際候補者に選ばれたとして喜ばないだろう。もうこれは高野さんと付き合うためのお膳立てである。

「ふむふむ。これで羽音さんと高野さんの話がまとまってくれたら、肩の荷が下りる感じだねーーー」
「そうだな。俺達も和室セットの中に入ろう。俺が羽音さんの付き添い役だ。君は月夢君に付き添う。出番までは俺の隣に座っているんだろう?」
「うん。そうするよ。オーディションで出すお茶菓子は、夏樹の家の近所にあるカンテールっていう洋菓子店の焼き菓子なんだ。珈琲か紅茶が選べるんだ」

 このオーディションは洋菓子店も協賛している。和室セットの中には協賛各社の商品が並べられている。テーブルの上にはカンテールの商品が、IKUからは新人ミュージシャンのブロマイド、そして、ベテルギウスの卓上カレンダー、ヴィジブルレイはこの間解散したが、次のバンドのTDDの写真も置いてある。R&W社の歩みというパンフレットと、黒崎製菓からはチョコレート菓子の詰め合わせセットだ。テレビカメラがそれぞれの商品を並べて映し終えた後、徳山さんが開始のゴングを鳴らした。

「では!みなさん、おまたせしました!」

 ババーーーン!チャララララーー。

 バッグミュージックと共に徳山さんの司会が始まり、観覧席からは歓声と拍手が起こった。早くもスタンディングオベーションをしている。由良さんの仕込みである。いかにこの日が待ち望まれていたかという演出である。

「みなさん。第一回、羽音のためのお見合いオーディションの開始です!この日のために、なんと大勢の方が応募して下さいました。その中から6名の方がお越しになられました!本来なら全員の方とお会いするべきところでしたが、介護のために都合が悪くなった方、急な入院をされることになった方、持病の腰痛が重くなった方など、家庭事情と体調の変化により辞退される方がいらっしゃいまして、本日は少人数で行います。応募総数は650人でした」
「ほおーーー」

 どうしよう?それは真っ赤なデタラメである。俺達が探し回って見つけた人達で6名だというのに、100倍以上の人数から応募があったなんて、よく言うと思った。

「あああ……。ケチを付けたらいけないんだーーー。主催者はIKU。俺の世話になっているレコード会社なのに……」
「悠人君。気持ちは分かるよ。さあ、徳山さんに拍手を送ろう」
「うん」

 パチパチパチ!

 俺達は和室セットの中に座り、徳山さんに拍手を送った。いよいよ始まりである。観覧席からはまた歓声が起こった。和室セットの中に羽音さんが入ってきたからである。華やかな演出である。

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