森林の星空少年~あの日のメエメエ

夏目奈緖

文字の大きさ
499 / 868

24-11

しおりを挟む
 羽音さんが高野さんからの視線に気がついた。そして、モジモジとしながら下を向いた。悪いと思ったのか。それを聞いてみると、頷いた。ということで、爛々さんに決めたのだと思った。

「ふむふむ。彼が良いんですね。あと4人に会って貰いますけど、パパッと見合いを済ませて、後の放送は由良プロデューサーと相談することにします」
「悠人君。普通に進めれば良いじゃないか。パパッと済ませなくても」
「だって、羽音さんの反応が分かりやすいんだもん。観客席だって、この人で決まりだっていう反応をしているよ。ほら……」

 俺は観客席を映したモニターを早瀬に見せた。観客席はリラックスモードに包まれている。これで決まりだな。そんな感じである。お菓子を食べている人もいる。隣同士で話している人も出てきた。

 これ以上引っ張ると観客が疲れてしまう。羽音さんの本命は高野さんだと思っていた俺としても、もういいのではないかと思っている。

「裕理さん。かくかくしかじなんだ」
「放送が困ってしまう。……羽音さん。かくかくしかじですから、後の人にも良い反応を見せて下さい」
「はい。分かりました」

 早瀨からの要望に羽音さんが頷いた。そして、もっと爛々さんと話したそうにするから、遠竹さんと話すべき時間を使って話して貰うことにした。こんなに好みなら、とうの昔に出会っているのに、どうして交際申し込みをしなかったのだろう。それは、身を固めるということをしたくなかったからに違いない。

「ふむふむ。今になってパートナーが欲しくなったというわけか。そうだよね。自由に恋愛をしていた時期を過ぎて、将来のことを考えてっていう風になったんだなーー」
「悠人君。二人を見て見ろ」
「うひぇ?なに?ほおーーーーー」

 俺が2人のこと見つめると、なんと、照明効果でハートが作られていた。すると、音声さんから指示がきた。さっきからこっちの音声が聞こえなくなっているのだという。そこで、マイクを取り替えるということになった。

 そして、その音声さんが和室セットの中にやって来た。カメラは作動したままだが、今は観客席を流すようにしているのだと思う。俺が音声さんにマイクを渡すと、羽音さんが前のめりになり、彼のことを見つめ始めた。

「ほお……」
「なんだか久弥に似ているなあ」

 その音声さんはかっこいい系だ。早瀬の言うとおり、久弥に似ている。バンドをやっているようで、髪の毛が長い。後ろでまとめたスタイルである。バンドマンだということは雰囲気で分かる。

 さっそくそれを聞いてみると、彼が俺のマイクを付け替えながら、頷いた。俺の目は正しかった。そして、羽音さんからの視線が彼に降り注いでいるのを感じ取り、爛々さんの反応を見てみた。ニコッとしている。ここでも無条件の愛を見つけてしまった。

「ふむふむ。羽音さん。どっちにするんですか?いや、音声さん、気にしないで下さい」

 音声さんが出て行こうとして足を止めたから、すみませんと言い、持ち場に戻って貰った。そして、羽音さんには爛々さんで決めて貰いたいと言うことにした。

「羽音さん。そういうことです。爛々さんに決めましょう」
「ああ。そうするよ。あれこれと見てごめんね。爛々君。こんなに輝いている君だから、色んな人から声が掛かっていると思うけど、僕は君を選びたい」
「ほおーーーー、良い感じです!」

 羽音さんがキメのセリフを言ったことで観客席から拍手が起きた。そこで、由良プロデューサーが和室セットの中に入ってきて、時間調整のために、もっと話してくれと言われた。そして、後の4人とは集団で話してもらうことになったと伝えられた。

 それでは月夢の出番が無いかも知れない。それでは困るだろう。他の3人はホッとしていると思うが、月夢に関しては、事務所が”待った”と言いたいと思う。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

守り守られ

ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師 患者 瀬咲朔 腸疾患・排泄障害・下肢不自由 看護師 ベテラン山添さん 準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん 木島 尚久 真幌の恋人同棲中

借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます

なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。 そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。 「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」 脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……! 高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!? 借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。 冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!? 短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き

toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった! ※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/100148872

処理中です...