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髪の毛に触ると、良いトリートメントだと分かった。スルスルと伸びるタイプである。しかし、もったりとした感触があり、しっかりと髪の毛に付いているのが分かった。すると、久弥が自分の髪の毛にトリートメントを馴染ませて、タオルをかぶった。そして、俺にもタオルを差し出してきた。
「これで3分おけ。本当は10分ぐらいおいた方が良いんだ」
「ふむふむ。話していたらそれぐらい経ちそうだよ。もう3分経ったと思うよ」
「そうだな。この家の風呂には掛け時計がある。昔の銭湯のようだ。長湯をして倒れないように設置してあるんだ」
「ふむふむ。お風呂のモニターはデジタルで見やすいけど、掛け時計はどこに居てもすぐに見られるよね」
「その通りだ。アンティークは便利だ」
ふむふむ。俺は久弥の話に納得し、ちょこんと椅子に座り続けた。6畳ほどの広さのある風呂の中はまるで銭湯のようであり、立ちこめる湯気と入浴剤の香りに心が癒やされた。
さて、俺はある疑問が浮かんだ。風呂の掃除は誰がしているかということだ。お母さんだろうか。しかし、彼女がここを1人で掃除するなんて大変すぎると思った。
「ひさやーー。ここの掃除って、誰がしているの?」
「主にお母さんだ。後は俺達が風呂から出るときに水滴を拭き取ったり、排水溝を洗ったりしている。まめにコツコツとやっていくスタイルだ。4ヶ月に一度、プロの掃除サービス会社に依頼して、掃除を頼んでいる。カビ取りがすごいんだぞーー。すっきり落としてくれる」
「ふむふむ。家事の代行サービスだね。うちも頼もうかと思っているんだ。裕理さんが大変だからさーー。俺が掃除をすると危険だって言うんだ。カビ取りの洗剤の匂いを嗅いで倒れそうになったから……」
「そうだったのか。肌がピリピリする人もいる。それなら業者に頼んだ方が良いな」
「うん。でも、裕理さんは掃除が好きだから、風呂掃除に気合いが入っているんだ」
「あいつはこだわりがある。それに細かい。さすだは元秘書だ」
「うん」
本当にその通りである。細かいところまで気がつき、対応が可能な人だ。掃除だってピカピカになるまでやり続ける。俺はその時、シンデレラに出てくる意地悪なお姉さんになった気分になるときがある。早瀬から聞かれて、俺から見てどこか汚れているところがないかと聞かれて、そこが汚れていると答えるときである。
さて、5分が過ぎた。そろそろ髪の毛を洗い流したくなった。それは久弥も同じなようで、まず先に俺の髪の毛に取りかかった。
「悠人。目を閉じておけ。ザーーーーー」
「ザーーーー、あああ……。お湯が口に入ったよ。うっぷ、また入った」
「口も閉じておけ。ザーーーーーー」
「……」
素直に口を閉じておくことにした。ついでに息も潜めるようにすると、だんだん苦しくなってきた。これでは倒れてしまう。そこで、顔をこするようにして湯を払いのけた。
「ぷはーーーーー!」
「まだトリートメントがついている。もう少し我慢してくれ」
「うん。ぷはーーーーー!」
「よしよし。いいぞーーー。もう洗い流せたぞ」
「ありがとう。ぷはーーーーー!」
キュ。久弥がお湯を止めた。そして、新しいタオルで俺の頭を拭いてくれた。久弥の方こそ、自分のことが出来ないだろう。
「ひさやーー。もう大丈夫だよ。世話をするのに慣れているんだね!理久とお風呂に入っていたの?」
「おおーー、あいつが小さいときはそうだった。お父さんとお母さんが助かるんだ。高校生の時は、俺が理久の風呂係だった」
「ふむふむ。良いお兄ちゃんだね!うひぇ?」
「しくしく、ぐすん」
「あああ……。どうしたの?うひぇ?枝川さんに盗られたって思っているのかーーー」
どうしよう?久弥が嫉妬に狂っているそうだ。手塩に掛けて面倒を見てきた理久が枝川さんという彼氏を見つけたことで、世話が焼けないことが増えたそうだ。それは久弥にとっては喪失の痛みであり、いつまでも理久の世話がしたかったそうだ。久弥こそ、秘書の仕事に向いていそうである。
「これで3分おけ。本当は10分ぐらいおいた方が良いんだ」
「ふむふむ。話していたらそれぐらい経ちそうだよ。もう3分経ったと思うよ」
「そうだな。この家の風呂には掛け時計がある。昔の銭湯のようだ。長湯をして倒れないように設置してあるんだ」
「ふむふむ。お風呂のモニターはデジタルで見やすいけど、掛け時計はどこに居てもすぐに見られるよね」
「その通りだ。アンティークは便利だ」
ふむふむ。俺は久弥の話に納得し、ちょこんと椅子に座り続けた。6畳ほどの広さのある風呂の中はまるで銭湯のようであり、立ちこめる湯気と入浴剤の香りに心が癒やされた。
さて、俺はある疑問が浮かんだ。風呂の掃除は誰がしているかということだ。お母さんだろうか。しかし、彼女がここを1人で掃除するなんて大変すぎると思った。
「ひさやーー。ここの掃除って、誰がしているの?」
「主にお母さんだ。後は俺達が風呂から出るときに水滴を拭き取ったり、排水溝を洗ったりしている。まめにコツコツとやっていくスタイルだ。4ヶ月に一度、プロの掃除サービス会社に依頼して、掃除を頼んでいる。カビ取りがすごいんだぞーー。すっきり落としてくれる」
「ふむふむ。家事の代行サービスだね。うちも頼もうかと思っているんだ。裕理さんが大変だからさーー。俺が掃除をすると危険だって言うんだ。カビ取りの洗剤の匂いを嗅いで倒れそうになったから……」
「そうだったのか。肌がピリピリする人もいる。それなら業者に頼んだ方が良いな」
「うん。でも、裕理さんは掃除が好きだから、風呂掃除に気合いが入っているんだ」
「あいつはこだわりがある。それに細かい。さすだは元秘書だ」
「うん」
本当にその通りである。細かいところまで気がつき、対応が可能な人だ。掃除だってピカピカになるまでやり続ける。俺はその時、シンデレラに出てくる意地悪なお姉さんになった気分になるときがある。早瀬から聞かれて、俺から見てどこか汚れているところがないかと聞かれて、そこが汚れていると答えるときである。
さて、5分が過ぎた。そろそろ髪の毛を洗い流したくなった。それは久弥も同じなようで、まず先に俺の髪の毛に取りかかった。
「悠人。目を閉じておけ。ザーーーーー」
「ザーーーー、あああ……。お湯が口に入ったよ。うっぷ、また入った」
「口も閉じておけ。ザーーーーーー」
「……」
素直に口を閉じておくことにした。ついでに息も潜めるようにすると、だんだん苦しくなってきた。これでは倒れてしまう。そこで、顔をこするようにして湯を払いのけた。
「ぷはーーーーー!」
「まだトリートメントがついている。もう少し我慢してくれ」
「うん。ぷはーーーーー!」
「よしよし。いいぞーーー。もう洗い流せたぞ」
「ありがとう。ぷはーーーーー!」
キュ。久弥がお湯を止めた。そして、新しいタオルで俺の頭を拭いてくれた。久弥の方こそ、自分のことが出来ないだろう。
「ひさやーー。もう大丈夫だよ。世話をするのに慣れているんだね!理久とお風呂に入っていたの?」
「おおーー、あいつが小さいときはそうだった。お父さんとお母さんが助かるんだ。高校生の時は、俺が理久の風呂係だった」
「ふむふむ。良いお兄ちゃんだね!うひぇ?」
「しくしく、ぐすん」
「あああ……。どうしたの?うひぇ?枝川さんに盗られたって思っているのかーーー」
どうしよう?久弥が嫉妬に狂っているそうだ。手塩に掛けて面倒を見てきた理久が枝川さんという彼氏を見つけたことで、世話が焼けないことが増えたそうだ。それは久弥にとっては喪失の痛みであり、いつまでも理久の世話がしたかったそうだ。久弥こそ、秘書の仕事に向いていそうである。
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