森林の星空少年~あの日のメエメエ

夏目奈緖

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 二人は知り合いなのだろうか。普通ならそう思うだろう。しかし、俺の目には、天使達がラッパを鳴らして下りてくる映像が見えた。そして、祝福されているように感じた。これはどういうことだろうか。運命の相手ということだろうか。しかし、ローザーさんには見えないようで、先生の肩を揉み続けている。

「センセ!紹介します。彼はアタシのアシスタントのミカです。この子、喉が弱いんですよ。先生に診て頂けたらって思いました」
「もちろんです。今日はメンバーさんのサポートですが、スタッフさんのフォローにも入りますので」
「整形外科の先生なのにすみません。内科や耳鼻科咽喉科の先生じゃないといけなかったかしら?」
「いえ、僕は医者です。喉も診ます」
「良かったわ。ミカちゃん。こっちに来て、ご挨拶して」
「はい!」

 ミカさんが元気の良い返事をして部屋の中に入ってきた。そして、ローザーさんのそばに行き、先生に挨拶した。可愛い感じの人だ。一見、女性のように見える人でもある。もしかして、先生はミカさんのことをそうだと思っただろうか。しかし、先生は男が好きだというから、女性に見えたとしてもローザーさんのライバルにならない。
 
 そのミカさんが先生の前に立った。年は25歳だ。40代の先生と25歳の彼だと年が離れている感じがあるが、見た感じ、違和感がない。そして、初めて会った二人という感じも無い。これを何というか。運命の相手という。やっぱりそうだと思った。

「こんにちは。先生のアシスタントのミカです」
「こんにちは。山岸です。今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします!先生、僕が山岸先生の肩をおもみします」
「いえ、いいのよ。オホホホホ。アタシ、山岸先生のことがタイプだから、いつまでも触っていたいわ」
「そうでしたか。では、僕は悠人君のヘアメイクの片付けをします」
「お願いするわね」

 そう言って、ローザーさんの手がいやらしく先生の背中に触れた。そして、見たことも無いようなマッサージを始めた。そして、手が前に回り、腹筋を刺激するように指先でもみ始めた。

「あああ……。セクハラ行為だーーーー」

 どうしよう?目の前でそういうことが行われている。ミカさんは見慣れているのか、驚いていない。この部屋の中にいる誰もがそうだ。ということは、俺の考えすぎだろうか。そう思って先生を見ると、ミカさんの姿を目で追っていた。恋をしたということなのか。

「あああ……。師匠と弟子で男の取り合いにーーーーー」

 どうしよう?そういうことである。いや、ミカさんが先生に恋をしたとは限らない。しかし、俺の目には天使が頭上に浮かび続けている。これを霊感というそうだ。月島さんがそう言っていた。カズさんの幽体離脱に関わり、力が増したそうだ。そんなことを思っていると、先生がローザーさんへ振り返った。

「ローザー先生。失礼します」
「あら、どうなさったの?」
「ミカ君の姿勢で気になることがあります」
「あらーーー」

 先生がローザーさんの手を握って、腹筋を触るのをやめさせた。これは口実だろうか。そう思った俺だったが、本当にそうだったらしく、先生がミカさんの後ろに立った。ミカさんはヘアメイクの後片付けをしていて、俺達に背を向けている。そして、先生がミカさんの腰に触れた。

「ミカ君。これは痛くないだろうか?」
「あ……。どうしたんですか?」
「これだよ。ここは痛くないか?」
「痛いです。僕、コタツテーブルを押し入れにしまうときに、テーブルの脚の上に転んでしまって、腰を打ったんです。その時から、時々痛くなります」
「そうだったのか。病院には行かなかったのか?」
「一度行きましたけど、何もありませんでした。でも、痛くって……」
「そうだろう。家はどこだ?」
「ここから自転車で10分のマンションです」
「それなら近山病院が近い。セカンドオピニオンということで、整形外科を受診した方が良い」
「やっぱりそうですか……」
「ほお……」

 先生がミカさんの腰に触れ続けた。それは医者として触っているのであり、決していやらしい意味ではない。そこで、さっきのローザーさんとの違いが分かった。彼は間違いなく、いやらしい意味だった。そして、ミカさんは傷むという腰をさすり始めた。
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