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21時。
ステージが終わった後の興奮冷めやらぬ中、俺は控え室のベッドで寝ている。山岸先生のマッサージを受けるためだ。そして、それを受けているところだが、ちっとも痛くない。力の加減は同じだと思うのに、不思議だ。
「うひぇーーー?どうしてでしょうか?」
「ステージの前と同じマッサージだよ。ギターを弾いて、筋肉がほぐれたんじゃないか」
「ふむふむ。俺はギタリストだなあ……」
そういうことである。ギターが生活に欠かせない。いつも一緒に居るギターは3本あり、部屋の中のスタンドに掛けてあった。そして、それらを早瀬がケースにしまってくれた。これで帰り支度の完了である。
クールなギタリストである俺は、ギター以外の荷物が無い。財布やスマホはマネージャーに預けてある。俺の人生はギターを弾くことだ。誰かと連絡を取るとか、コンビニで焼き鳥を買うなどではない。孤高のギタリストとして世から浮き上がっていなければならない。そういうことである。
「ふむふむ。ギタリスト人生だなあ……」
「悠人君。これは痛くないか?」
「痛くないですよ。良い感じに凝りがほぐれる気がします……」
「そうか。うひぇーーーとか、どひゃーーーとかいう反応が欲しいところだ」
「ふむふむ。ドSな先生ですねーーーー。ばし!」
俺は山岸先生に言葉だけで叩いた。こういうやり取りが出来るほどに打ち解けてある。それもこれも、ステージサイドで俺のことを見守ってくれていた先生からの熱い声援を受けてのことである。俺の頭のトゲトゲが誰かに刺さる度に、その人の手当てをしてくれていた先生だ。たとえ俺のトゲトゲが凶暴であろうとも、決して批難などしなかった。
さて、ローザーさんが同じ部屋の中にいる。ミカさんも一緒だ。俺のトゲトゲをほぐすつもりで待機してくれている。このまま家に帰っても、なかなかお風呂だけではムースやワックス、スプレーが落ちないのだという。落とすときには湯船に髪の毛を付けておき、徐々にほぐすしか無いそうだ。そこで、ヘアメイク用品として、分解ムースというものを取り出してきた。これはどんなに強いセットでも柔らかくするという商品だそうだ。
「よし。マッサージは終わりだ」
「ありがとうございました。ふむふむ。今度は椅子に座るんだね。どっこいしょ……」
どうしよう?俺は大忙しである。それもこれも、ヒットソングを出した男だからである。IKUから予算を使われている。そして、そんなことを考えて、床でつまずいた。
「うひぇーーーー!」
「キャッチ!」
「あ、ありがとう。裕理さん」
もうすぐで顔から床に転ぶところだった。慢心が招いたことであるから、気を引き締めることにした。何度も繰り返すようだが、俺が予算を使われているわけではない。IKUがみんなに予算を使っていると言うことだ。出演ミュージシャンのこともスタッフのことも大事にする会社である。
さて、鏡の前には椅子が置いてあり、ローザーさん達が待機している。俺はその椅子に座り、ヘアメイクを落とす作業に入った。ミカさんが髪の毛に分解ムースを付けて、顔のメイクはローザーさんが落としてくれた。これがもう鉄壁メイクというべき技であり、目元のアイラインを一度直しただけで、後は汗に落ちていない。ということは、風呂で湯を浴びても同じだということだ。
「ふむふむ。プロの技だなあ」
「悠人君。もうファムチキを食べても良いわよ」
「ありがとうございます」
「悠人君。君の財布から出しておいたぞ。はい。中身を確かめて、レシートも見るんだ。君は俗世にいるギタリストでないといけない」
「ふむふむ……」
どうしよう?早瀬からコンビニのレジ横で売っているキチンを受け取った。財布の中身も確かめるなんて、俺というギタリストには必要ないことだ。しかし、そんなことを考えながらも、早瀬からそうしろと言われたら、素直にそうする俺であった。
ステージが終わった後の興奮冷めやらぬ中、俺は控え室のベッドで寝ている。山岸先生のマッサージを受けるためだ。そして、それを受けているところだが、ちっとも痛くない。力の加減は同じだと思うのに、不思議だ。
「うひぇーーー?どうしてでしょうか?」
「ステージの前と同じマッサージだよ。ギターを弾いて、筋肉がほぐれたんじゃないか」
「ふむふむ。俺はギタリストだなあ……」
そういうことである。ギターが生活に欠かせない。いつも一緒に居るギターは3本あり、部屋の中のスタンドに掛けてあった。そして、それらを早瀬がケースにしまってくれた。これで帰り支度の完了である。
クールなギタリストである俺は、ギター以外の荷物が無い。財布やスマホはマネージャーに預けてある。俺の人生はギターを弾くことだ。誰かと連絡を取るとか、コンビニで焼き鳥を買うなどではない。孤高のギタリストとして世から浮き上がっていなければならない。そういうことである。
「ふむふむ。ギタリスト人生だなあ……」
「悠人君。これは痛くないか?」
「痛くないですよ。良い感じに凝りがほぐれる気がします……」
「そうか。うひぇーーーとか、どひゃーーーとかいう反応が欲しいところだ」
「ふむふむ。ドSな先生ですねーーーー。ばし!」
俺は山岸先生に言葉だけで叩いた。こういうやり取りが出来るほどに打ち解けてある。それもこれも、ステージサイドで俺のことを見守ってくれていた先生からの熱い声援を受けてのことである。俺の頭のトゲトゲが誰かに刺さる度に、その人の手当てをしてくれていた先生だ。たとえ俺のトゲトゲが凶暴であろうとも、決して批難などしなかった。
さて、ローザーさんが同じ部屋の中にいる。ミカさんも一緒だ。俺のトゲトゲをほぐすつもりで待機してくれている。このまま家に帰っても、なかなかお風呂だけではムースやワックス、スプレーが落ちないのだという。落とすときには湯船に髪の毛を付けておき、徐々にほぐすしか無いそうだ。そこで、ヘアメイク用品として、分解ムースというものを取り出してきた。これはどんなに強いセットでも柔らかくするという商品だそうだ。
「よし。マッサージは終わりだ」
「ありがとうございました。ふむふむ。今度は椅子に座るんだね。どっこいしょ……」
どうしよう?俺は大忙しである。それもこれも、ヒットソングを出した男だからである。IKUから予算を使われている。そして、そんなことを考えて、床でつまずいた。
「うひぇーーーー!」
「キャッチ!」
「あ、ありがとう。裕理さん」
もうすぐで顔から床に転ぶところだった。慢心が招いたことであるから、気を引き締めることにした。何度も繰り返すようだが、俺が予算を使われているわけではない。IKUがみんなに予算を使っていると言うことだ。出演ミュージシャンのこともスタッフのことも大事にする会社である。
さて、鏡の前には椅子が置いてあり、ローザーさん達が待機している。俺はその椅子に座り、ヘアメイクを落とす作業に入った。ミカさんが髪の毛に分解ムースを付けて、顔のメイクはローザーさんが落としてくれた。これがもう鉄壁メイクというべき技であり、目元のアイラインを一度直しただけで、後は汗に落ちていない。ということは、風呂で湯を浴びても同じだということだ。
「ふむふむ。プロの技だなあ」
「悠人君。もうファムチキを食べても良いわよ」
「ありがとうございます」
「悠人君。君の財布から出しておいたぞ。はい。中身を確かめて、レシートも見るんだ。君は俗世にいるギタリストでないといけない」
「ふむふむ……」
どうしよう?早瀬からコンビニのレジ横で売っているキチンを受け取った。財布の中身も確かめるなんて、俺というギタリストには必要ないことだ。しかし、そんなことを考えながらも、早瀬からそうしろと言われたら、素直にそうする俺であった。
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