森林の星空少年~あの日のメエメエ

夏目奈緖

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 Tシャツのショップに到着した。周りでは、乗りたいアトラクションを目指して走って行く客がいる中、のんびりと園内を楽しんでいる客もいる。そんな客達に呼びかけるようにショップのプラカードを持っている店員がいた。よく見ると、六槍さんだった。今日は秘書では無く店員として仕事をするというわけだ。

「六槍さん!お久しぶりです!」
「こんにちは。ははは、今日は現場の仕事なんだ。社長のお伴でね」
「そうでしたか。実は、カズさんにはかくかくしかじかな関係を結べそうな人が現われました。紹介します。アキラママと、桟長ヒロシさんです。ヒロシさんはヘアメイクの仕事をされている方でして、カズさんと気が合っていました」
「はじめましてーーー。桟長ヒロシですーーーーー」

 ヒロシさんが六槍さんと握手を始めた。すると、六槍さんがMIDSHIPの服ですねと言った。さすがはプラセルの社員である。一発で見抜けるのか。

「はいーーー。そうなんですよーーー。お気に入りなんです。このポロシャツの襟がお洒落でーーー。一目惚れしたんですーーー」
「よくお似合いですよ。MIDSHIPでは秋冬物に襟に特徴のあるデザインを展開しますので、ぜひ、ショップに遊びに来て下さい」
「あらーーーん。そうなんですね。行きますーーーー」

 クネクネ。ヒロシさんが身をよじった。六槍さんもいい男だからに違いないと思ったのは、考えすぎだろうか。そんなことを考えていると、ヒロシさんがキャ!と悲鳴を上げた。一体どうしたのだろうか。そして、六槍さんがああ、なるほどと言った。

「あらーーーん。あの子イケメン!モデルさんですか?」
「あの子は僕のアシスタントの烏丸朝陽からすまるあさひです」
「朝陽だ!」

 烏丸朝陽。それは、黒崎さんの異父弟のことだ。お母さんの再婚相手との間に生まれた子だ。年は21歳だ。医学部で学んでいた学生だったが、不真面目であることから、黒崎さんが怒って、大学を休学させてプラセルでバイトをさせることにした。そこで、カズさんの秘書をしていると聞いている。六槍さんの弟子になったのか。

 朝陽がこっちに来た。トリンドランドコラボTシャツを着ている。遠目でもイケメンだったが、近くで見てもイケメンだ。黒崎さんの弟だとは一見して分からない。目元は似ているが、雰囲気が違う。もっと柔らかい印象だ。爽やかさもある。背がすらっと高くてスタイルがいい。休学前は女の子と遊びまくっていたというから、相当モテていたのだろう。

 すると、カズさんもそばにきた。朝陽のことを紹介してくれるのだろう。そう思っていたら、朝陽がタオルを取り出して、カズさんの額を吹き始めた。

「社長!汗を拭き終えました!」
「ありがとう。水が飲みたい」
「はい!」
「ほお……」

 どうしよう?朝陽が付き人状態である。ペットボトルの蓋を開けて、カズさんに差し出した。そして、それを二口飲んで朝陽に返し、店内に持って行った。それをニコニコと微笑みながら六槍さんが見守っている。

「この通り、朝陽君には細々としたことをやってもらっているんだ。可愛いだろう」
「ええ。可愛いと思います。あ、戻ってきた」

 朝陽が走って戻ってきた。汗を掻いている。それでも爽やかイケメンである。こんな子なら女の子が放っておかなかっただろう。しかし、いかにも真面目そうである。遊んでいたというのは誤解ではないだろうか。

「六槍さん。かくかくしかじかではありませんか?」
「ははは。それがね。けっこうすごかったんだ。身体の関係は無いんだよ。どの子ともね。色んな子と遊んでもその気にならなくて、そこで、気になっていることがあって、自分は男の方が好きなんじゃ無いかって思うようになったそうだ。それを打ち明けてくれてね。僕達、仲が良いんだ」
「ほおーーーー。そんなことを話せるまでになったんですか」

 その話を聞いて驚いた。朝陽は仲の良い子が少なくて、大学ではつまらなさそうにしていたそうだ。そして、今では深い話まで出来る人が出来て良かったと思った。そして、俺は六槍さんが朝陽を見る目が怪しいことに気づいた。可愛いを連呼している。
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