森林の星空少年~あの日のメエメエ

夏目奈緖

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 カズさんが挙動不審なのは、やましいことがあるからだ。ホテルの最上階の部屋に誘ったとか、酒を飲ませすぎたとか、そういうことをしたのだろう。しかし、水端さんのことは好みではないと言っていたのに、どうしたのだろうか。可愛い系の男性だった。接するうちに恋心が芽生えたのだろうか。

 しかし、カズさんには藤沢がいる。待っている身で焦れているとは言え、浮気に値するだろう。いけないことだ。
 
「カズさん!ばし!いけないことをしたのかなーーー?」
「ああーーー、しまった!どうして分かるんだ?」
「挙動不審だからだよ。その反応からも分かるよ。で、何をしたのかな?」

 俺はカズさんの目をじっと見つめた。カズさんの目が泳いでいる。まるで恋人に浮気がバレた男のようになっている。そこで、俺はさらに目を見つめた。

「カズさん。じーーーー……」
「ああーーー、しまった。僕の弱気なハートが潰されそうだ……」
「プラセルを潰すなんて言わないよ。貴方のハートも無事だよ。正直に言えばね……」
「ああーーー、しまった。かくかくしかじかなことがあったんだ」
「かくかくしかじかなことって?」
「かくかくしかじかはかくかくしかじかだ。では、かくかくしかじかな時間だから、かくかくしかじかなおやつを食べよう」
「じーーーーー……」

 どうしよう?カズさんが理由を言わないから、こっちも見つめ続けるしか出来ない。できあったフルーツッペは早瀨達がリビングに運び始めた。俺も早く食べたいが、カズさんが白状するまで待たないといけない。

「カズさん!フルーツッペを食べたくないの?」
「食べたい。かくかくしかじかな感じで混ぜたフルーツッペだ。かくかくしかじかな味がするだろう。水端君とは何でも無い。だから、だから……」
「何をしたのーー?じーーーー……」
「え、え、映画館の中で手を繋いだだけだ!友情のつもりだった!」
「うひぇーーー。気を持たせるようなことをするよねーーーー」

 どうしよう?カズさんは罪作りである。自分に恋心を寄せていると分かっている人にそういうことをするのだから。付き合うつもりは無くてもそうしたのだろう。早速それを聞くと、その通りだという回答を得た。どうしてそういうことをしたかというと、単純に、可愛かったからだという。

「カズさん!ばし!藤沢のことはどうするんだよーー」
「ほんの出来心だった。水端君にも理解してもらってある。ほら、この通り、何でも無かったかのようなラインだ。次はどの映画を見るかという内容だ。普通だ!」
「本当かなーーー?」
「本当だ。深い仲になっていれば、僕はもっとねっとりとしたやり取りをする。こんなに普通で爽やかなんかじゃない」
「ほお……。ねっとり……」
「昨夜の君は素敵だったとか、もっとああしてこうしたいとか、そういうことを書く。だから、何も無い。修輔君には言わないでくれ!」
「ふむふむ。そういうことならいいよ。言わないよーーー」

 どうしよう?カズさんが困っている。そこで、これ以上の追求をやめることにした。それに、冷めたい牛乳で作ったフルーツッペがぬくもってしまうから、早く食べたい。

「カズさん。食べに行こうよ。はいはい」
「ああーーー、良かった。バレるところだった……。ああーーー、しまった!うっかり喋りそうだ」
「ふむふむ。やっぱり食べながら話を聞くことにするよ」

 カズさんがまたバタバタし始めた。そこで、カズさんの手を引き、リビングに連れて行った。すでに早瀬と久弥は食べ始めており、俺達の分のフルーツッペの入った容器には水滴が付いて、汗を掻いていた。そこで、さっと座って食べ始めた。カズさんは額にも汗を掻いていた。

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