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15-1 交通渋滞
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11月22日、月曜日。午前6時。
朝ごはんを食べ終えた。後片付けをしていると、早瀬が書斎からファイルを持ってきた。最近の習慣で、朝のうちに会議資料を読むようになった。とにかく数が多いから、オフィスでは、ゆっくり読めないようだ。本人は言わなくてもそう思った。
「ゆうりさーん。お茶と珈琲、どっちがいい?」
「珈琲がいい」
「はーい」
出勤までの時間は俺が世話をする。それ以外は早瀬の担当だ。お互いに世話焼きという面があり、言い合いになりかけている。こうしてルールを決めたわけだ。
今朝は美味しいトーストを作ってくれた。卵焼きを挟んだものだ。サラダには海藻とチキン、細かく切ったニンジンが山盛り入っていた。美味しいから積極的に食べている。通販で買った、あのミキサーのおかげもあるだろう。毎日のように、野菜とバナナのジュースを飲んでいる。
フレンチブレンドの珈琲を、リビングへ運んだ。早瀬が電子新聞を読んでいる。黒崎製菓の名前が出ているようだ。
「……黒崎製菓、第二四半期決算発表後の事業展開、海外への投資から国内へ。……黒崎製菓、好調。主力の、シャルロットシリーズ等の、チョコレート菓子が伸びる。レストラン事業展開、好調。市場調査、マーケティング能力において……」
「裕理さん。よかったね」
「いい結果が出た。これで何とか……」
「首がつながった?そんな事にならないだろ?」
「鬼が数人いるからだ」
「裕理さんのことだよね?枝川さんが断言していたよー」
「そんな事はないよ」
早瀬が嬉しそうに笑った。ひと段落といった感じだろうか?どこかへ出かけたいと言いかけて、すぐに口をつぐんだ。
今日の予定を伝え合いつつ珈琲を飲んだ。7時になる手前で、番組恒例の星占いが始まった。12匹のトラが、ゴールを目指して走り出した。
「裕理さんは射手座だね。俺はさそり座。……きたきた、やったーー!射手座が一位だよ。さそり座は……げえええっ」
「悠人君。明日は一等賞だ」
「うん。射手座は、言い過ぎないように。さそり座は、怪我に注意しましょうかー」
「天気は晴れの予報だ。でも、雨が降りそうだな」
リビングの窓から遠くの方を眺めた。黒い雲が見えている。こっちへ流れて来るのか?
「今日はレインコートを持って行け」
「面倒くさいよ。傘だけでいい」
「だめだ。曇ってきたら羽織っておけ」
「うん、ありがとう」
みっともない話だ。雨の日に混雑した駅の出入り口で、傘が人に当たりそうになった。そこでさっと横へ傾けると、壁に当たって落っこちそうになり、バランスを取ろうとして、自分自身が地面に転がった。その件があり、早瀬がレインコートを買ってくれた。混雑している手前から傘を畳むために。フードを被れば、わずかな距離なら平気だ。俺がそそっかしいことを責めずに、対策を考えてくれている。何でも方法はあるのだと、あっさりと言い切われて気分が楽になり、それを思い出して抱きついた。これぐらいなら、甘えてもいいだろう。
「どうしたんだ?」
「よかったねって、言いたいんだよ」
「そうか。今夜は期待する」
「そういう意味じゃないよ」
「今週末は本格的に落ち着くから、どこかへ出かけよう。行きたい場所を考えておけ」
「どこがいいかな……」
疲れているはずだから、近場を考えよう。大学へ到着した後、ラインを送っても、早瀬からの返信は少ない。それだけ忙しいということだ。
マグカップを洗って片づけた後、お互いに支度を始めた。早瀬がスーツに着替えている姿を見ていると、仕事モードに切り替わったのが分かった。ネクタイを締めて鏡で確認し、こっちを振り返った人は、いつもの早瀬だ。ヒーローとクランが混ざり合っている。
「もう出られるか?」
「OKだよー」
「レインコートを忘れるなよ」
「はーい」
レインコートが入ったバッグを肩に掛けた。チェック柄の女性物だ。メンズは丈が長めだから、階段でつまづくかもしれないからだ。ブルー系の柄ならいいだろうと選んでくれた。
ガチャ。
玄関を出ると、すぐに手を繋ぎ合った。こういう仕草が嬉しいのだと、口が裂けても言えない。照れくさいし、エレベーターの中で襲われそうだからだ。
駅までの散歩は、数日後に無くなる。その代わりに、休みの日は散歩をしようと話し合った。水辺が気持ちいいし、イベントもやっている。今日も強引に手を引かれた後、ブーブー文句を言いながら、駅へ向かった。
朝ごはんを食べ終えた。後片付けをしていると、早瀬が書斎からファイルを持ってきた。最近の習慣で、朝のうちに会議資料を読むようになった。とにかく数が多いから、オフィスでは、ゆっくり読めないようだ。本人は言わなくてもそう思った。
「ゆうりさーん。お茶と珈琲、どっちがいい?」
「珈琲がいい」
「はーい」
出勤までの時間は俺が世話をする。それ以外は早瀬の担当だ。お互いに世話焼きという面があり、言い合いになりかけている。こうしてルールを決めたわけだ。
今朝は美味しいトーストを作ってくれた。卵焼きを挟んだものだ。サラダには海藻とチキン、細かく切ったニンジンが山盛り入っていた。美味しいから積極的に食べている。通販で買った、あのミキサーのおかげもあるだろう。毎日のように、野菜とバナナのジュースを飲んでいる。
フレンチブレンドの珈琲を、リビングへ運んだ。早瀬が電子新聞を読んでいる。黒崎製菓の名前が出ているようだ。
「……黒崎製菓、第二四半期決算発表後の事業展開、海外への投資から国内へ。……黒崎製菓、好調。主力の、シャルロットシリーズ等の、チョコレート菓子が伸びる。レストラン事業展開、好調。市場調査、マーケティング能力において……」
「裕理さん。よかったね」
「いい結果が出た。これで何とか……」
「首がつながった?そんな事にならないだろ?」
「鬼が数人いるからだ」
「裕理さんのことだよね?枝川さんが断言していたよー」
「そんな事はないよ」
早瀬が嬉しそうに笑った。ひと段落といった感じだろうか?どこかへ出かけたいと言いかけて、すぐに口をつぐんだ。
今日の予定を伝え合いつつ珈琲を飲んだ。7時になる手前で、番組恒例の星占いが始まった。12匹のトラが、ゴールを目指して走り出した。
「裕理さんは射手座だね。俺はさそり座。……きたきた、やったーー!射手座が一位だよ。さそり座は……げえええっ」
「悠人君。明日は一等賞だ」
「うん。射手座は、言い過ぎないように。さそり座は、怪我に注意しましょうかー」
「天気は晴れの予報だ。でも、雨が降りそうだな」
リビングの窓から遠くの方を眺めた。黒い雲が見えている。こっちへ流れて来るのか?
「今日はレインコートを持って行け」
「面倒くさいよ。傘だけでいい」
「だめだ。曇ってきたら羽織っておけ」
「うん、ありがとう」
みっともない話だ。雨の日に混雑した駅の出入り口で、傘が人に当たりそうになった。そこでさっと横へ傾けると、壁に当たって落っこちそうになり、バランスを取ろうとして、自分自身が地面に転がった。その件があり、早瀬がレインコートを買ってくれた。混雑している手前から傘を畳むために。フードを被れば、わずかな距離なら平気だ。俺がそそっかしいことを責めずに、対策を考えてくれている。何でも方法はあるのだと、あっさりと言い切われて気分が楽になり、それを思い出して抱きついた。これぐらいなら、甘えてもいいだろう。
「どうしたんだ?」
「よかったねって、言いたいんだよ」
「そうか。今夜は期待する」
「そういう意味じゃないよ」
「今週末は本格的に落ち着くから、どこかへ出かけよう。行きたい場所を考えておけ」
「どこがいいかな……」
疲れているはずだから、近場を考えよう。大学へ到着した後、ラインを送っても、早瀬からの返信は少ない。それだけ忙しいということだ。
マグカップを洗って片づけた後、お互いに支度を始めた。早瀬がスーツに着替えている姿を見ていると、仕事モードに切り替わったのが分かった。ネクタイを締めて鏡で確認し、こっちを振り返った人は、いつもの早瀬だ。ヒーローとクランが混ざり合っている。
「もう出られるか?」
「OKだよー」
「レインコートを忘れるなよ」
「はーい」
レインコートが入ったバッグを肩に掛けた。チェック柄の女性物だ。メンズは丈が長めだから、階段でつまづくかもしれないからだ。ブルー系の柄ならいいだろうと選んでくれた。
ガチャ。
玄関を出ると、すぐに手を繋ぎ合った。こういう仕草が嬉しいのだと、口が裂けても言えない。照れくさいし、エレベーターの中で襲われそうだからだ。
駅までの散歩は、数日後に無くなる。その代わりに、休みの日は散歩をしようと話し合った。水辺が気持ちいいし、イベントもやっている。今日も強引に手を引かれた後、ブーブー文句を言いながら、駅へ向かった。
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