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17-14(悠人視点)
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14時半。
南国温泉物語から出て来たところだ。これからショッピングビルへ移動して、パートナーの誕生日プレゼント選びをする。ここから近くにあるから、歩いて行くことにした。ざわざわと人が行きかっている歩道を並んで歩きながら、愚痴を吐き合った。
「ふう~、気持ち良かったね~」
「うん、久しぶりの温泉だったよー」
「黒崎さんはね、分からず屋なんだよ~。石頭で、頑固で……」
「裕理さんは優しいんだけどね。いじめっ子なんだよ。大人と子供が共存している人なんだ」
「この間、悠人が怪我をした時に迎えに来てくれてたじゃん。優しくて甘いムードだったのに?」
自分でもそうだと思う。どういうわけか、二つのパターンが存在している。甘くて優しいユーリ、素っ気ないユーリというものだ。素っ気ないのは、ラインを返してくれない程度だ。大したことはないだろう。仕事が忙しいし、けっこう面倒くさがりだ。
「夏樹こそだよ。黒崎さんって優しいと思うよ?ラインを返してくれているし……」
「んー?早瀬さんは返してくれないわけ?」
「けっこう面倒くさがりなんだよ……。前はそんなことなかったけど……、昼休みもマメにラインを送ってくれていたんだ。忙しくなったから仕方ないって思っているよ」
「そうだったね……、昇進したから、仕事内容が変わっただろうし」
この状況を夏樹は分かっている。すでに体験していることだからだ。黒崎さんの社長時代は、今よりも時間に融通が利いていたらしい。大きな違いがあると言っている。それを乗り越えたのか。
到着して向かったのは、ネクタイ売り場だ。夏樹が黒崎さんにプレゼントする候補のひとつだ。しかし、いいものが見つからないから移動した。
フロア内を回りながら、文房具のコーナーへ行った。仕事で使うものなら良さそうだと話し合った結果だ。自分は買うものを決めている。革製品のお手入れセットと、それについているクロスが目当てだ。ネットオーダーしてもよかったが、実際の商品を見たかった。ここにあるといいなと思って探している。
「ウーン……」
「ないね。黒崎さんも、ロゴなししか使わないもんね」
黒崎さんも早瀬と同じで、質が良くて、パッと見て、どのブランドなのか分からないものを使っている。ここに置いてあるものは、ブランドのロゴだらけだ。
「どれも入っているよねえ~」
「そうだよね。夏樹、お店を変えようか?」
「どこで買っているのか分からないんだよ。何年も使っているものが多いから、買っているところを見たことがないんだ。ネットでオーダーしているものもあるし。服のショップなら分かるけど」
「俺も同じだよ。ショップは行きづらいんだ」
「うーん」
店内をウロついていると、ラインの着信が鳴った。早瀬からのものだった。さすがにスルーする気にはなれず、返信しようかと思った。プレゼントを探しているうちに、早瀬の笑顔が頭に浮かんだからだ。
あの人には笑顔が似合う。夏の日の、晴れ渡った空だ。ひっそりと輝いている、三日月ではない。俺が雲で隠している状態だろう。
叱られるのを覚悟でラインを開いた。ドキドキしている鼓動が指先にまで伝わっている。こんなにも好きだったのか。分かっていても、忘れていた。
「『早瀬裕理 14:00 今日の待ち合わせ。無理に来なくてもいい。ごめんね』……え?来なくてもいいって……」
そうなのか。もう遅いのか。喧嘩が別れに繋がるのは、あの人にとってはいつものパターンだ。俺のことも同じなんだろう。今までの人と同じで、佐久弥よりも下の順位だ。5年後も気にしていることはないだろう。面倒くさがりだから、すぐに諦めるだろう。最後に気持ちだけでも伝えよう。
「ごめんね。ありがとう。お世話になりました。またね。明日連絡するよ。……何を書こうかな?……会って伝えるべきだよね。……またね、明日連絡するよ?明日なんかないよ。こう書こう。…待ち合わせ場所には行くよ。会って伝えたいことがあるから。じゃあね)送信……」
自分のせいだから仕方がないと諦めていると、ぽたぽたと涙がスマホに落っこちた。壊れてしまうから、コートの裾でふき取った。肩に温かい手がかかり、揺すられた。夏樹が心配そうな顔で覗き込んでいた。
「ゆうとー。どうしたんだよ?」
「……」
「ゆうとー?」
「ごめん……っ、平気だから!」
「そんなこと言っても、説得力がないよ。ここにいてもツラいだろ?どっか店に入ろうね」
夏樹に連れられてフロアを出た。その手は温かくて、自分はまだ大丈夫だと思えた。
南国温泉物語から出て来たところだ。これからショッピングビルへ移動して、パートナーの誕生日プレゼント選びをする。ここから近くにあるから、歩いて行くことにした。ざわざわと人が行きかっている歩道を並んで歩きながら、愚痴を吐き合った。
「ふう~、気持ち良かったね~」
「うん、久しぶりの温泉だったよー」
「黒崎さんはね、分からず屋なんだよ~。石頭で、頑固で……」
「裕理さんは優しいんだけどね。いじめっ子なんだよ。大人と子供が共存している人なんだ」
「この間、悠人が怪我をした時に迎えに来てくれてたじゃん。優しくて甘いムードだったのに?」
自分でもそうだと思う。どういうわけか、二つのパターンが存在している。甘くて優しいユーリ、素っ気ないユーリというものだ。素っ気ないのは、ラインを返してくれない程度だ。大したことはないだろう。仕事が忙しいし、けっこう面倒くさがりだ。
「夏樹こそだよ。黒崎さんって優しいと思うよ?ラインを返してくれているし……」
「んー?早瀬さんは返してくれないわけ?」
「けっこう面倒くさがりなんだよ……。前はそんなことなかったけど……、昼休みもマメにラインを送ってくれていたんだ。忙しくなったから仕方ないって思っているよ」
「そうだったね……、昇進したから、仕事内容が変わっただろうし」
この状況を夏樹は分かっている。すでに体験していることだからだ。黒崎さんの社長時代は、今よりも時間に融通が利いていたらしい。大きな違いがあると言っている。それを乗り越えたのか。
到着して向かったのは、ネクタイ売り場だ。夏樹が黒崎さんにプレゼントする候補のひとつだ。しかし、いいものが見つからないから移動した。
フロア内を回りながら、文房具のコーナーへ行った。仕事で使うものなら良さそうだと話し合った結果だ。自分は買うものを決めている。革製品のお手入れセットと、それについているクロスが目当てだ。ネットオーダーしてもよかったが、実際の商品を見たかった。ここにあるといいなと思って探している。
「ウーン……」
「ないね。黒崎さんも、ロゴなししか使わないもんね」
黒崎さんも早瀬と同じで、質が良くて、パッと見て、どのブランドなのか分からないものを使っている。ここに置いてあるものは、ブランドのロゴだらけだ。
「どれも入っているよねえ~」
「そうだよね。夏樹、お店を変えようか?」
「どこで買っているのか分からないんだよ。何年も使っているものが多いから、買っているところを見たことがないんだ。ネットでオーダーしているものもあるし。服のショップなら分かるけど」
「俺も同じだよ。ショップは行きづらいんだ」
「うーん」
店内をウロついていると、ラインの着信が鳴った。早瀬からのものだった。さすがにスルーする気にはなれず、返信しようかと思った。プレゼントを探しているうちに、早瀬の笑顔が頭に浮かんだからだ。
あの人には笑顔が似合う。夏の日の、晴れ渡った空だ。ひっそりと輝いている、三日月ではない。俺が雲で隠している状態だろう。
叱られるのを覚悟でラインを開いた。ドキドキしている鼓動が指先にまで伝わっている。こんなにも好きだったのか。分かっていても、忘れていた。
「『早瀬裕理 14:00 今日の待ち合わせ。無理に来なくてもいい。ごめんね』……え?来なくてもいいって……」
そうなのか。もう遅いのか。喧嘩が別れに繋がるのは、あの人にとってはいつものパターンだ。俺のことも同じなんだろう。今までの人と同じで、佐久弥よりも下の順位だ。5年後も気にしていることはないだろう。面倒くさがりだから、すぐに諦めるだろう。最後に気持ちだけでも伝えよう。
「ごめんね。ありがとう。お世話になりました。またね。明日連絡するよ。……何を書こうかな?……会って伝えるべきだよね。……またね、明日連絡するよ?明日なんかないよ。こう書こう。…待ち合わせ場所には行くよ。会って伝えたいことがあるから。じゃあね)送信……」
自分のせいだから仕方がないと諦めていると、ぽたぽたと涙がスマホに落っこちた。壊れてしまうから、コートの裾でふき取った。肩に温かい手がかかり、揺すられた。夏樹が心配そうな顔で覗き込んでいた。
「ゆうとー。どうしたんだよ?」
「……」
「ゆうとー?」
「ごめん……っ、平気だから!」
「そんなこと言っても、説得力がないよ。ここにいてもツラいだろ?どっか店に入ろうね」
夏樹に連れられてフロアを出た。その手は温かくて、自分はまだ大丈夫だと思えた。
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