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お互いの気持ちを交換するように触れ合っていると、背後で夏樹の悲鳴が聞こえた。心配で振り返ると、植え込みに顔からツッコんでいて、黒崎さんが助け起こしていた。
「ぷぷぷっ」
「助けに行くのはやめておこう。こっちが優先だ」
「いい子マンはどこに行ったんだよー?」
「ここにいるよ……」
「よくぞ言った!褒めてつかわす!」
早瀬の頬をグリグリと撫でて褒めてやった。まるでいつもと逆パターンだ。笑いながら、されるがままになっている。
ミカリンの魔法は必要なさそうだな。そう思っていると、早瀬から肩を抱かれた。どこかへ促されようとしている。どこに行くのだろう?
「裕理さん、これからどこに行くんだよ?」
「……行けば分かるよ」
「ここで言ってよ」
「……ここじゃ言えない」
早瀬が俯きながら答えた。素っ気ないようなそうでないような、早瀬らしい二つの顔が見え隠れてしている。それは理解できたことだからいいとして、やっぱりドアが開いていないと思えた。きっと自分も同じだ。勇気を出してノックをしよう。早瀬の胸元へ向けて、左手の拳を突き付けた。ノックというよりパンチだ。
「コンコン、こんにちはーー」
「コンコン?」
「コンコン、裕理さーん?居るのは分かっているんですよー?」
「悪いことをした人みたいだね」
早瀬が苦笑して言い返してきた。そして、胸に当てている手を握られた。何をどうしたくて、どこへ連れて行こうというのか?行けば分かるなんて、まどろっこしい言い方だ。それこそ早瀬の心を表している。本心が言えなくて、相手に判断させている。
そんな早瀬の心のドアを破ってやろう。恥ずかしくて堪らないと、怒り出すかもしれない。笑い飛ばすだろうか?大喧嘩になっても構わない。こっちも恥ずかしい思いをしてやるのだから。まとめて全部、2人分のドアを爆破する。
「裕理さん、そこに立ってて!」
「こっちへ移動する。人の邪魔になる」
「いいから。そこに居てよ!」
「え?」
「俺らしくないだろ?もっとそれらしくないことをするからね」
普段の自分なら、こんな歩道の真ん中で立ち話などしない。通行人への迷惑だからだ。すでにキスシーンを見せつけたから、さらなる恥のかき捨てというものだ。
紙袋の中から、ミカリンのステッキを取り出した。トップのハートが点灯するか確認済みだ。スイッチを入れると、クリーム色の光が放たれた。
「クルクルー、クルクルーー」
さっと振り上げると、いろんな色が現れた。赤や白、青やピンク、黄色、緑色だ。早瀬がキョトンとしている。自分のパートナーが、これから何をしでかすのかと思っているだろう。度肝を抜かせてやる。
「ヒーロー・ユーリ!クラン・ユーリ!」
「どうした?」
「返事は、はいだよ!」
「はーい……」
「やる気がないねーー?」
「悠人、それを片づけてくれ」
「だめだだめだー!」
クルクルステッキを取り上げられそうになり、背後に下がって阻止した。念のために振り返り、人に当たらないか確認した。
スイッチを押して、光の出力を最大にした。ピカッと強く光っているステッキを夜空にかざすと、早瀬の顔がブルーに光った。空に向けてクルクルと振り、すうっと深呼吸した後、魔法を言い放った。
「……オープン・ザ・ドアーーー!……ユーリの心よ、ひらけ!」
「悠人、やめてくれ!」
「……クルクルステッキ、最大量ーー!……心を開くと楽だよ!人に戻れるよ!」
「最初から人だ!」
「……オープン・ザ・ドアーーー!」
「恥ずかしいから!!」
「おおー、ユーリ星人を倒した!」
ミカリンの話でも、相手が"恥ずかしい"と言えば成功だ。早瀬があたふたして向かって来ている。その姿はマジで恥ずかしそうだ。
「裕理さーーん!恥ずかしいよねーー?」
「恥ずかしいに決まっている!それをよこせ!」
「だめだだめだだめだー!!」
ガツン!バキ!
取り合いになった結果、ステッキがそばの外灯の柱に当たり、先が砕けてしまった。割れたプラスチックの間からは、白い光がチカチカと小さく点灯している。
「あああ……」
「ああ……」
「付かなくなったねー」
「そうだね……」
同じ物を見て、同じようなため息を吐いた。チカチカとした光が次第に小さくなり、最後は消えてなくなった。ダメもとで振っても、結果は同じだった。
「ぷぷぷっ」
「助けに行くのはやめておこう。こっちが優先だ」
「いい子マンはどこに行ったんだよー?」
「ここにいるよ……」
「よくぞ言った!褒めてつかわす!」
早瀬の頬をグリグリと撫でて褒めてやった。まるでいつもと逆パターンだ。笑いながら、されるがままになっている。
ミカリンの魔法は必要なさそうだな。そう思っていると、早瀬から肩を抱かれた。どこかへ促されようとしている。どこに行くのだろう?
「裕理さん、これからどこに行くんだよ?」
「……行けば分かるよ」
「ここで言ってよ」
「……ここじゃ言えない」
早瀬が俯きながら答えた。素っ気ないようなそうでないような、早瀬らしい二つの顔が見え隠れてしている。それは理解できたことだからいいとして、やっぱりドアが開いていないと思えた。きっと自分も同じだ。勇気を出してノックをしよう。早瀬の胸元へ向けて、左手の拳を突き付けた。ノックというよりパンチだ。
「コンコン、こんにちはーー」
「コンコン?」
「コンコン、裕理さーん?居るのは分かっているんですよー?」
「悪いことをした人みたいだね」
早瀬が苦笑して言い返してきた。そして、胸に当てている手を握られた。何をどうしたくて、どこへ連れて行こうというのか?行けば分かるなんて、まどろっこしい言い方だ。それこそ早瀬の心を表している。本心が言えなくて、相手に判断させている。
そんな早瀬の心のドアを破ってやろう。恥ずかしくて堪らないと、怒り出すかもしれない。笑い飛ばすだろうか?大喧嘩になっても構わない。こっちも恥ずかしい思いをしてやるのだから。まとめて全部、2人分のドアを爆破する。
「裕理さん、そこに立ってて!」
「こっちへ移動する。人の邪魔になる」
「いいから。そこに居てよ!」
「え?」
「俺らしくないだろ?もっとそれらしくないことをするからね」
普段の自分なら、こんな歩道の真ん中で立ち話などしない。通行人への迷惑だからだ。すでにキスシーンを見せつけたから、さらなる恥のかき捨てというものだ。
紙袋の中から、ミカリンのステッキを取り出した。トップのハートが点灯するか確認済みだ。スイッチを入れると、クリーム色の光が放たれた。
「クルクルー、クルクルーー」
さっと振り上げると、いろんな色が現れた。赤や白、青やピンク、黄色、緑色だ。早瀬がキョトンとしている。自分のパートナーが、これから何をしでかすのかと思っているだろう。度肝を抜かせてやる。
「ヒーロー・ユーリ!クラン・ユーリ!」
「どうした?」
「返事は、はいだよ!」
「はーい……」
「やる気がないねーー?」
「悠人、それを片づけてくれ」
「だめだだめだー!」
クルクルステッキを取り上げられそうになり、背後に下がって阻止した。念のために振り返り、人に当たらないか確認した。
スイッチを押して、光の出力を最大にした。ピカッと強く光っているステッキを夜空にかざすと、早瀬の顔がブルーに光った。空に向けてクルクルと振り、すうっと深呼吸した後、魔法を言い放った。
「……オープン・ザ・ドアーーー!……ユーリの心よ、ひらけ!」
「悠人、やめてくれ!」
「……クルクルステッキ、最大量ーー!……心を開くと楽だよ!人に戻れるよ!」
「最初から人だ!」
「……オープン・ザ・ドアーーー!」
「恥ずかしいから!!」
「おおー、ユーリ星人を倒した!」
ミカリンの話でも、相手が"恥ずかしい"と言えば成功だ。早瀬があたふたして向かって来ている。その姿はマジで恥ずかしそうだ。
「裕理さーーん!恥ずかしいよねーー?」
「恥ずかしいに決まっている!それをよこせ!」
「だめだだめだだめだー!!」
ガツン!バキ!
取り合いになった結果、ステッキがそばの外灯の柱に当たり、先が砕けてしまった。割れたプラスチックの間からは、白い光がチカチカと小さく点灯している。
「あああ……」
「ああ……」
「付かなくなったねー」
「そうだね……」
同じ物を見て、同じようなため息を吐いた。チカチカとした光が次第に小さくなり、最後は消えてなくなった。ダメもとで振っても、結果は同じだった。
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