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キッチンからは、温めたスープの良い匂いがしている。俺も手伝いたいから、早瀬に声をかけた。
「裕理さーん、手伝うよ。ちょっと待っていてよ」
「今朝はいいから。これを飲んで、テレビを見てゆっくりしておいで」
カウンターの上には、アイスコーヒーが置かれていた。シャワーから出ると暑くて、いつも冷たい水を飲んでいる。珈琲が飲みたいと思っていた。一口飲むと、新しく買った珈琲豆で淹れたものだと分かった。とても美味しい。
「わあ。美味しい!」
「気に入ると思っていたよ」
「そうだ。夏樹、熱が下がったって」
「そうか。圭一さんも、少しは安心できただろう」
圭一さんとは、早瀬の上司であり、友人でもある黒崎さんのことだ。そのパートナーである夏樹が、2日前に大怪我をした。その日の朝のことだ。夏樹が庭で洗濯物を干していると、強風で下着が飛ばされてしまった。池に落ちそうだったから走って追いかけた時に、大きな花壇に躓いて転んだ。一時期は意識を失ったものの、回復している。
順調に進めば、明後日には退院ができるそうだ。その後、家に見舞いに行こうとしたが、夏樹の方から会いたいと言ってもらえて、明日、病院へ見舞いに行くことにしている。
「この豆、夏樹君に持って行こう」
「あの2人も珈琲が好きだもんね。裕理さんにも会いたがっていたのに。一緒に行こうよ」
「大変な時期に、何人も行かない方がいい。ロビーで待っているよ」
「そうだね。これからいつでも会えるし。頼まれた浴衣、いい物が見つかるといいな。どうして赤い浴衣なんだろう?女性物しかないと思うけど」
夏樹から、赤い浴衣を買って来てほしいと頼まれた。浅草で買うことにしたのは、夏樹が好きだからだ。海外からの観光客が多いから、和柄や力士のイラストのグッズが売られている。それも彼が好きな物だから、お見舞いに買っていこうと思っている。すると、早瀬が言った。
「テレビを見ておいで。この時間は動物のコーナーがあるよ」
「そうなんだ?8時前だけかと思っていたよ」
「君が好きそうだよ」
「ありがとう」
せっかくだから甘えよう。テレビをつけると、朝の情報番組が放送されていた。天気予報のコーナーだ。しかし、それらしいコーナーが流れていない。何度かチャンネルと変えると、ニュース番組があり、黒崎製菓の名前が聞こえて来た。早瀬の勤務先だ。
「『……東京証券取引所でピークを迎えた企業の決算発表がされました。黒崎製菓の……、新ブランド展開、合併後の業績好調……』」
良いニュースだ。大学で経済の授業を受けるようになり、内容が分かるようになた。会議中の様子が映し出されて、副社長のインタビューが流れた。早瀬の名前もテロップに出ている。
学生の俺とは世界が違う。それはそうだろう。早瀬は12歳も年上であり、社会経験の違いは大きい。俺は将来、どうしようかと思っている。いいニュースが聞けて嬉しいのに、焦りと不安が起きた。
すると、早瀬が背後から抱きついて来た。俺の焦りとネガティブに傾いた気持ちを察したからだ。大丈夫だよと言われているかのようだ。こうして抱きつくことで気持ちが伝わる。そう教えてもらった。
「裕理さーん、手伝うよ。ちょっと待っていてよ」
「今朝はいいから。これを飲んで、テレビを見てゆっくりしておいで」
カウンターの上には、アイスコーヒーが置かれていた。シャワーから出ると暑くて、いつも冷たい水を飲んでいる。珈琲が飲みたいと思っていた。一口飲むと、新しく買った珈琲豆で淹れたものだと分かった。とても美味しい。
「わあ。美味しい!」
「気に入ると思っていたよ」
「そうだ。夏樹、熱が下がったって」
「そうか。圭一さんも、少しは安心できただろう」
圭一さんとは、早瀬の上司であり、友人でもある黒崎さんのことだ。そのパートナーである夏樹が、2日前に大怪我をした。その日の朝のことだ。夏樹が庭で洗濯物を干していると、強風で下着が飛ばされてしまった。池に落ちそうだったから走って追いかけた時に、大きな花壇に躓いて転んだ。一時期は意識を失ったものの、回復している。
順調に進めば、明後日には退院ができるそうだ。その後、家に見舞いに行こうとしたが、夏樹の方から会いたいと言ってもらえて、明日、病院へ見舞いに行くことにしている。
「この豆、夏樹君に持って行こう」
「あの2人も珈琲が好きだもんね。裕理さんにも会いたがっていたのに。一緒に行こうよ」
「大変な時期に、何人も行かない方がいい。ロビーで待っているよ」
「そうだね。これからいつでも会えるし。頼まれた浴衣、いい物が見つかるといいな。どうして赤い浴衣なんだろう?女性物しかないと思うけど」
夏樹から、赤い浴衣を買って来てほしいと頼まれた。浅草で買うことにしたのは、夏樹が好きだからだ。海外からの観光客が多いから、和柄や力士のイラストのグッズが売られている。それも彼が好きな物だから、お見舞いに買っていこうと思っている。すると、早瀬が言った。
「テレビを見ておいで。この時間は動物のコーナーがあるよ」
「そうなんだ?8時前だけかと思っていたよ」
「君が好きそうだよ」
「ありがとう」
せっかくだから甘えよう。テレビをつけると、朝の情報番組が放送されていた。天気予報のコーナーだ。しかし、それらしいコーナーが流れていない。何度かチャンネルと変えると、ニュース番組があり、黒崎製菓の名前が聞こえて来た。早瀬の勤務先だ。
「『……東京証券取引所でピークを迎えた企業の決算発表がされました。黒崎製菓の……、新ブランド展開、合併後の業績好調……』」
良いニュースだ。大学で経済の授業を受けるようになり、内容が分かるようになた。会議中の様子が映し出されて、副社長のインタビューが流れた。早瀬の名前もテロップに出ている。
学生の俺とは世界が違う。それはそうだろう。早瀬は12歳も年上であり、社会経験の違いは大きい。俺は将来、どうしようかと思っている。いいニュースが聞けて嬉しいのに、焦りと不安が起きた。
すると、早瀬が背後から抱きついて来た。俺の焦りとネガティブに傾いた気持ちを察したからだ。大丈夫だよと言われているかのようだ。こうして抱きつくことで気持ちが伝わる。そう教えてもらった。
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