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必死に平気なふりをして笑顔を浮かべたから、胸が痛くなった。どうしてここまで気を遣うのだろう?夏樹は人前でゲップをするし、鼻だってかむ。大欠伸をしながらケツまで掻く時もあるのに、どうも体調が悪いことを隠したがる。
「全部、裕理さんからだよ。気にするなよ。稼いでいるから使わせてあげて。忙しくて使う暇がないからって、楽しんでいたもん」
「そっかー。……仲良くやってる?」
「う、うん!」
ドキン。胸の鼓動が跳ね上がって、口から飛び出しそうだ。あの一連の流れを打ち明けるのは躊躇する。早瀬と出会う前、こう話していたからだ。まずは友達関係を続けて、お互いの気持ちを確認した後、恋人同士になるのだと。
(うちの親と似たようなルートだよ。どうしよう?みっともなくて言えない……)
夏樹なら理解してくれるのに、勇気が出ない。顔が熱くて堪らない。何かありましたと伝えているのも同じだ。すると、夏樹の目が優しいものに変化した。何でも話していいよと言われているかのようだ。
「あ……、えーっと……」
「ゆうとー?」
「あああ……」
パサ、バサバサバサ!持っていた紙袋を逆さまにして、入っていたものが床に落ちてしまった。ますます挙動不審だ。警察がいたら捕まってしまう。慌てて拾い上げようと体を屈めた。そして、くす玉を拾い上げて起き上がった瞬間、頭に衝撃が走った。
「ごん!いたたたーー」
どうしよう?いかにも痛そうな音が響き渡り、サイドテーブルの角に頭をぶつけたことが判明した。
「うーーっ」
「大丈夫!?」
「ううん。痛いよーー」
「見てみるから立って」
夏樹から促されて、ベッドの端に腰かけた。すると、額に夏樹の息が掛かり、彼がそっと覗き込んできた。夏樹の目が至近距離にあるから、思わず見惚れてしまった。
(綺麗な目だな。色気もあるし。本当にイケメンだなあ……。わわわ~、何を考えてるんだよ。裕理さんの毒牙のせいだーっ。女の子が好きだったのに……)
どうしよう?これでは変質者だ。早瀬が居れば、背中に抱きついて顔を隠しているところだ。誰かにナンパをされていないといいのに。そんな流暢な事を考えていると、夏樹が呻いた。
「赤くなってるよ。看護師さんに来てもらうよ」
「いいよー。平気。みっともないし……」
「だめだよ。血が滲んでいるかも……」
「マジで!?」
「この辺りが……」
「ひいいいっ」
そこは一番痛い場所だ。虫全般だけでなく、血も大の苦手だ。夏樹が背中を優しくさすってくれた。
「見てもらおうよ。何もなかったら安心だろー?」
「そうだけど……」
「大丈夫だよ。優しい人ばかりだからね」
「お願いしてみるよ。あ……」
ドアが開いたから顔を上げると、看護師さんが立っていた。俺と夏樹のこと見て、妙に顔を赤くしている。どうも誤解をされたらしい。
「これは違います!夏樹とは友達ですから!決まった人がいるんで!」
「そうです~、悠人とは友達で……」
全力で誤解だと言い合っていると、黒崎さんが入って来た。頭をぶつけて涙目になっている俺と、下着を追いかけて怪我をした夏樹のことを、いいコンビだと言い、微笑んでいた。
「全部、裕理さんからだよ。気にするなよ。稼いでいるから使わせてあげて。忙しくて使う暇がないからって、楽しんでいたもん」
「そっかー。……仲良くやってる?」
「う、うん!」
ドキン。胸の鼓動が跳ね上がって、口から飛び出しそうだ。あの一連の流れを打ち明けるのは躊躇する。早瀬と出会う前、こう話していたからだ。まずは友達関係を続けて、お互いの気持ちを確認した後、恋人同士になるのだと。
(うちの親と似たようなルートだよ。どうしよう?みっともなくて言えない……)
夏樹なら理解してくれるのに、勇気が出ない。顔が熱くて堪らない。何かありましたと伝えているのも同じだ。すると、夏樹の目が優しいものに変化した。何でも話していいよと言われているかのようだ。
「あ……、えーっと……」
「ゆうとー?」
「あああ……」
パサ、バサバサバサ!持っていた紙袋を逆さまにして、入っていたものが床に落ちてしまった。ますます挙動不審だ。警察がいたら捕まってしまう。慌てて拾い上げようと体を屈めた。そして、くす玉を拾い上げて起き上がった瞬間、頭に衝撃が走った。
「ごん!いたたたーー」
どうしよう?いかにも痛そうな音が響き渡り、サイドテーブルの角に頭をぶつけたことが判明した。
「うーーっ」
「大丈夫!?」
「ううん。痛いよーー」
「見てみるから立って」
夏樹から促されて、ベッドの端に腰かけた。すると、額に夏樹の息が掛かり、彼がそっと覗き込んできた。夏樹の目が至近距離にあるから、思わず見惚れてしまった。
(綺麗な目だな。色気もあるし。本当にイケメンだなあ……。わわわ~、何を考えてるんだよ。裕理さんの毒牙のせいだーっ。女の子が好きだったのに……)
どうしよう?これでは変質者だ。早瀬が居れば、背中に抱きついて顔を隠しているところだ。誰かにナンパをされていないといいのに。そんな流暢な事を考えていると、夏樹が呻いた。
「赤くなってるよ。看護師さんに来てもらうよ」
「いいよー。平気。みっともないし……」
「だめだよ。血が滲んでいるかも……」
「マジで!?」
「この辺りが……」
「ひいいいっ」
そこは一番痛い場所だ。虫全般だけでなく、血も大の苦手だ。夏樹が背中を優しくさすってくれた。
「見てもらおうよ。何もなかったら安心だろー?」
「そうだけど……」
「大丈夫だよ。優しい人ばかりだからね」
「お願いしてみるよ。あ……」
ドアが開いたから顔を上げると、看護師さんが立っていた。俺と夏樹のこと見て、妙に顔を赤くしている。どうも誤解をされたらしい。
「これは違います!夏樹とは友達ですから!決まった人がいるんで!」
「そうです~、悠人とは友達で……」
全力で誤解だと言い合っていると、黒崎さんが入って来た。頭をぶつけて涙目になっている俺と、下着を追いかけて怪我をした夏樹のことを、いいコンビだと言い、微笑んでいた。
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