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今、早瀬の車に乗っている。マンションの敷地を出ると、目の前に湾沿いの光景が広がっていた。遠くの方には大きな橋が見えている。後ろを振り返ると、大きなマンションが建っている。自分たちが住んでいるマンションだ。
「わああ~、景色が良いねーー」
「昨日は曇っていたからね。向こうの橋はレインボーブリッジだよ」
「そうなんだ?」
「夜は部屋から見えるよ。遊覧船の灯りも見えて綺麗なはずだ。ああ、向こうの方にイヌが歩いているよ。大型犬だね」
「ホントだ!はしゃいでいるね。飼い主さんと走り出したよ」
「両方の足が速いね……」
男性がお腹を揺らしながら走っている。大型犬に負けないスピードだ。すると、早瀬が何かに気づいた様子だ。
「あの人はタレントさんだよ。ロケをやっているのかも知れない」
「『王妃様のブレックファースト』でもやっていたのに。人気スポットなんだねー」
「そうか。新しい施設が出来たからだ」
早瀬からの情報によると、IKUエンタテイメントが、コンサート施設を建てたそうだ。野外ライブ会場もあるという。さっそくスマホで検索すると、今日からオープンし、歌手やバンドの演奏があるという。
「誰か来るらしいよ……。高崎さんが来るって!好きなギタリストなんだ」
「新曲が出るだろう?」
「そうそう、今日から配信開始だよー。裕理さんは詳しいね」
「他には誰が来るんだ?」
「えーっとね……」
スマホで検索すると、イベントのページにはディアドロップのメンバーの写真が載っていた。ギタリストの佐久弥は、早瀬が5年前に別れた人だ。どうしよう?もう終わった話なのに、思い出してほしくない。しかし、慌てて誤魔化したところで、隠し通せるものではない。早瀬が運転席から身を乗り出して来たからだ。そして、手元のスマホを裏向けてしまったことで、怪しさが倍増した。
「どうしたんだー?」
「う、ううん。何でもないよ!」
「いい子だね。何が引っかかったのかを白状しなさい」
「何でもないよーー」
「嘘が下手すぎる」
小さく吹き出したのに、笑っていないから怖くなった。すると、車が交差点に入った。直進がナビに表示されているのに、車線変更をした。右折した後、湾沿いの駐車場へと入って行った。そして、堤防沿いに前進で停車した。これは警戒するパターンだ。
「裕理さん。じつは……」
「タイムオーバー。すぐに言わないからだよ」
「だって……」
「悪い子にはお仕置きだ」
早瀬がシートベルトを外した。俺も外そうとした時に手首を掴まれた。顔が近づいて来たから、片方の手で押しのけようとした。しかし、両手をシートに押し付けられて、身動きが出来なくなった。
「悠人、こっちを向け」
「だって!ちゃんと言おうとしているのに怒るなよ!話を聞いてよ……」
言わないままなら、叱られても仕方がない。さっきは打ち明けようとしたのに、一方的に話を切られた。こういう理由では、キスをしたくない。
「すぐに理由を話せるはずだ」
「言いづらいことだってあるよ」
「そう。次からはすぐに言ってほしい」
「ん……、キスしないから!」
「ダメだ。離したくないからキスする」
頬に手を添えられて、強引に早瀬の方へ向かされた。今度は下を向いてやった。目の前から笑い声が聞こえたが、優しいものではなかった。
「こういう時の裕理さんが嫌いだよ!」
「悠人……」
早瀬の声が戸惑ったものに変化した。最初からそうだったら良かったのに。今更だから、すぐに顔を上げる気にはなれない。
「さっきの理由を聞かせてくれ」
「もう言わないよ」
「こら」
顎を掴まれて強引に顔を上げさせられた。至近距離で真剣な眼差しだから胸が痛んだ。気まずくなり、足元へ視線を落とした。
「わああ~、景色が良いねーー」
「昨日は曇っていたからね。向こうの橋はレインボーブリッジだよ」
「そうなんだ?」
「夜は部屋から見えるよ。遊覧船の灯りも見えて綺麗なはずだ。ああ、向こうの方にイヌが歩いているよ。大型犬だね」
「ホントだ!はしゃいでいるね。飼い主さんと走り出したよ」
「両方の足が速いね……」
男性がお腹を揺らしながら走っている。大型犬に負けないスピードだ。すると、早瀬が何かに気づいた様子だ。
「あの人はタレントさんだよ。ロケをやっているのかも知れない」
「『王妃様のブレックファースト』でもやっていたのに。人気スポットなんだねー」
「そうか。新しい施設が出来たからだ」
早瀬からの情報によると、IKUエンタテイメントが、コンサート施設を建てたそうだ。野外ライブ会場もあるという。さっそくスマホで検索すると、今日からオープンし、歌手やバンドの演奏があるという。
「誰か来るらしいよ……。高崎さんが来るって!好きなギタリストなんだ」
「新曲が出るだろう?」
「そうそう、今日から配信開始だよー。裕理さんは詳しいね」
「他には誰が来るんだ?」
「えーっとね……」
スマホで検索すると、イベントのページにはディアドロップのメンバーの写真が載っていた。ギタリストの佐久弥は、早瀬が5年前に別れた人だ。どうしよう?もう終わった話なのに、思い出してほしくない。しかし、慌てて誤魔化したところで、隠し通せるものではない。早瀬が運転席から身を乗り出して来たからだ。そして、手元のスマホを裏向けてしまったことで、怪しさが倍増した。
「どうしたんだー?」
「う、ううん。何でもないよ!」
「いい子だね。何が引っかかったのかを白状しなさい」
「何でもないよーー」
「嘘が下手すぎる」
小さく吹き出したのに、笑っていないから怖くなった。すると、車が交差点に入った。直進がナビに表示されているのに、車線変更をした。右折した後、湾沿いの駐車場へと入って行った。そして、堤防沿いに前進で停車した。これは警戒するパターンだ。
「裕理さん。じつは……」
「タイムオーバー。すぐに言わないからだよ」
「だって……」
「悪い子にはお仕置きだ」
早瀬がシートベルトを外した。俺も外そうとした時に手首を掴まれた。顔が近づいて来たから、片方の手で押しのけようとした。しかし、両手をシートに押し付けられて、身動きが出来なくなった。
「悠人、こっちを向け」
「だって!ちゃんと言おうとしているのに怒るなよ!話を聞いてよ……」
言わないままなら、叱られても仕方がない。さっきは打ち明けようとしたのに、一方的に話を切られた。こういう理由では、キスをしたくない。
「すぐに理由を話せるはずだ」
「言いづらいことだってあるよ」
「そう。次からはすぐに言ってほしい」
「ん……、キスしないから!」
「ダメだ。離したくないからキスする」
頬に手を添えられて、強引に早瀬の方へ向かされた。今度は下を向いてやった。目の前から笑い声が聞こえたが、優しいものではなかった。
「こういう時の裕理さんが嫌いだよ!」
「悠人……」
早瀬の声が戸惑ったものに変化した。最初からそうだったら良かったのに。今更だから、すぐに顔を上げる気にはなれない。
「さっきの理由を聞かせてくれ」
「もう言わないよ」
「こら」
顎を掴まれて強引に顔を上げさせられた。至近距離で真剣な眼差しだから胸が痛んだ。気まずくなり、足元へ視線を落とした。
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