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正門からしばらく歩いた場所に、食堂やカフェが入っている建物がある。ちょうど大学の真ん中あたりになる。そこに、今居る学食がある。晩ご飯をここで済ませる学生が多く、建物の出入口付近が賑やかだった。
目的の店に到着して、銀杏並木沿いのテラス席に座った。テーブルには、サンドイッチとパンケーキ、コーヒーが並んでいる。パンケーキを森本と分けて食べることにした。大盛りサンドイッチは、悠人達の分だ。
「悠人。そんなに食べたら晩ご飯が入らないんじゃない?早瀬さんが作ってくれるんだろ?」
「食べておくと胃腸が活発になって、晩ご飯が美味しく食べられるんだ」
「食前酒みたいだな?夏樹、パンケーキを食べておけ」
「うん。うちの黒崎さんの話を聞いてよ~」
「いいぞ。何でも話してくれ」
「束縛がね。強すぎるんだ。連絡を忘れて心配をかけたのは悪かったけどさ。自分はどうなんだよ?って思うんだ」
他のテーブルでは、学生達が楽しそうに話している。このテーブルでは、俺の愚痴が吐き出されている。全部黒崎への文句だ。もう30分も話している。
真羽が俺の話を聞きながら、黒崎の束縛の強さに驚いていた。サンドイッチを食べる手が止まるほどだ。悠人と森本と山崎は俺の愚痴を聞き慣れているようで、パンケーキやサンドイッチを食べながら聞いてくれている。どうして束縛に耐えられているのか真羽から聞かれて、あっさりと答えた。黒崎のことが好きだからだ。そして、それを聞いた真羽が顔を赤くした。こんなにはっきり答えるのは照れないのかと聞かれて、俺は少しだけ恥ずかしくなった。
大学に入り、自由に友達付き合いをするようになった。高校生の時は、黒崎からは、自分が知っている子としか話すなと言われたことがあり、腹を立てたことがある。それがきっかけで実家に帰ろうかと思ったことがあり、黒崎が反省して、話す相手を限定させるようなことはもう言わないと約束してくれた。その代わりに、休みの日には護身術を教えて貰っている。なかなか上手にならない。でも、知らないよりは良いと思う。そのことを真羽に話すと、気をつけてくれているのだと言ってくれた。それを聞いて俺はホッとして、もっと黒崎の話をしたくなった。すると、森本がそろそろやめておけと言った。このままだと、真羽がサンドイッチを食べるタイミングがなくなってしまうからだ。
「俺は大丈夫。中山君。もっと話して良いよ!」
「俺のこと、夏樹って呼んでもらえると嬉しいよ」
「そっか。じゃあ、夏樹って呼ぶ。俺は名字で呼ばれることの方が多い」
「うん。じゃあ、真羽って呼ぶよ」
「ああ。よろしく。それで、付き合っている時は、黒崎さんは偉そうじゃ無かったんだな。結婚した後なのか?今みたいな人になったって言うのは……」
「あ!付き合っている時にも偉そうな時があったよ!喧嘩した時、『二度言わせるな』って言われたことがあるんだ。あの時に許さなかったら良かったよ~。好きだっていう気持ちの方が強くて許したんだよ。あれが失敗だった」
「真羽。このカツサンド、美味しいよ」
「ありがとう。いただきまーーす」
真羽が山崎からカツサンドを差し出されて、食べ始めた。とても真面目な子だと思った。そして、食べながら、俺の方を向いて、もっと話していいよとまで言ってくれた。
目的の店に到着して、銀杏並木沿いのテラス席に座った。テーブルには、サンドイッチとパンケーキ、コーヒーが並んでいる。パンケーキを森本と分けて食べることにした。大盛りサンドイッチは、悠人達の分だ。
「悠人。そんなに食べたら晩ご飯が入らないんじゃない?早瀬さんが作ってくれるんだろ?」
「食べておくと胃腸が活発になって、晩ご飯が美味しく食べられるんだ」
「食前酒みたいだな?夏樹、パンケーキを食べておけ」
「うん。うちの黒崎さんの話を聞いてよ~」
「いいぞ。何でも話してくれ」
「束縛がね。強すぎるんだ。連絡を忘れて心配をかけたのは悪かったけどさ。自分はどうなんだよ?って思うんだ」
他のテーブルでは、学生達が楽しそうに話している。このテーブルでは、俺の愚痴が吐き出されている。全部黒崎への文句だ。もう30分も話している。
真羽が俺の話を聞きながら、黒崎の束縛の強さに驚いていた。サンドイッチを食べる手が止まるほどだ。悠人と森本と山崎は俺の愚痴を聞き慣れているようで、パンケーキやサンドイッチを食べながら聞いてくれている。どうして束縛に耐えられているのか真羽から聞かれて、あっさりと答えた。黒崎のことが好きだからだ。そして、それを聞いた真羽が顔を赤くした。こんなにはっきり答えるのは照れないのかと聞かれて、俺は少しだけ恥ずかしくなった。
大学に入り、自由に友達付き合いをするようになった。高校生の時は、黒崎からは、自分が知っている子としか話すなと言われたことがあり、腹を立てたことがある。それがきっかけで実家に帰ろうかと思ったことがあり、黒崎が反省して、話す相手を限定させるようなことはもう言わないと約束してくれた。その代わりに、休みの日には護身術を教えて貰っている。なかなか上手にならない。でも、知らないよりは良いと思う。そのことを真羽に話すと、気をつけてくれているのだと言ってくれた。それを聞いて俺はホッとして、もっと黒崎の話をしたくなった。すると、森本がそろそろやめておけと言った。このままだと、真羽がサンドイッチを食べるタイミングがなくなってしまうからだ。
「俺は大丈夫。中山君。もっと話して良いよ!」
「俺のこと、夏樹って呼んでもらえると嬉しいよ」
「そっか。じゃあ、夏樹って呼ぶ。俺は名字で呼ばれることの方が多い」
「うん。じゃあ、真羽って呼ぶよ」
「ああ。よろしく。それで、付き合っている時は、黒崎さんは偉そうじゃ無かったんだな。結婚した後なのか?今みたいな人になったって言うのは……」
「あ!付き合っている時にも偉そうな時があったよ!喧嘩した時、『二度言わせるな』って言われたことがあるんだ。あの時に許さなかったら良かったよ~。好きだっていう気持ちの方が強くて許したんだよ。あれが失敗だった」
「真羽。このカツサンド、美味しいよ」
「ありがとう。いただきまーーす」
真羽が山崎からカツサンドを差し出されて、食べ始めた。とても真面目な子だと思った。そして、食べながら、俺の方を向いて、もっと話していいよとまで言ってくれた。
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